授業科目名 年度 学期 開講曜日・時限 学部・研究科 全担当教員 単位数
15952:[2025 秋セメスター]自我論(S) 2025 秋セメスター 木4 産業社会学部 小森 達郎 2

キャンパス

衣笠

授業施設

以学館IG403号教室

授業で利用する言語

日本語

授業の概要と方法

自我論という科目は、私たちの自我のありようを個人心理学的なまなざしから解放し、広く社会的文脈のなかで捉え直すことを目標としています。この目標のもと、今年度は「権威主義的パーソナリティ」を考察の主題とします。社会学では、20世紀初頭の西欧社会で勃興した大衆社会的状況において「権威主義的パーソナリティ」が問題とされてきたという経緯があります。本講義ではナチス・ドイツ政権下の中堅官僚アドルフ・アイヒマンの生涯に焦点を当て、彼の経歴や言動、そして彼の置かれた社会的状況を社会学的かつ哲学的に考察することを通して「権威主義的パーソナリティ」が孕むさまざまな問題を浮かび上がらせることを試みます。アイヒマンという人物像が提起した「権威主義的パーソナリティ」をめぐる諸問題とは、過ぎ去った過去の問題として片づけられる類いのものでは決してなく、未解決の「アイヒマン問題」として今もなお私たちの社会につきまとう「悪霊」だと言えます。本講義を通して、受講者のみなさんとともに切実な当事者意識を抱きつつ、この「悪霊」と批判的に対峙する方途を考えてみたいと思います。

受講生の到達目標

(1)アドルフ・アイヒマンの生涯について社会学的かつ哲学的に考察することを通して「権威主義的パーソナリティ」が孕むさまざまな問題について理解を深めることができる。
(2)アイヒマンという人物像が提起した「権威主義的パーソナリティ」をめぐる諸問題——現代社会における未解決の「アイヒマン問題」——について自身もまた問題当事者であるという認識のもと、これらの諸問題について粘り強く批判的に考え抜き、自らの立場を言明することができる。

事前に履修しておくことが望まれる科目

本講義を受講するにあたって、とくに履修しておくべき科目を指定しませんが、本講義内容に関連すると思われる科目としては「社会学理論」、「社会学史」、「社会倫理学」、「社会文化論」などが挙げられます。それゆえ講義内容をより深く理解するうえで、これらの科目を履修しておく、もしくはこれから履修することが望ましいでしょう。

授業スケジュール

授業回数/
担当教員(複数担当の場合)
テーマ
キーワード・文献・補足事項等
1【対面授業】

イントロダクション

講師自己紹介、評価方法および授業スケジュールの説明、導入:なぜ「権威主義的パーソナリティ」を取り上げるのか?
導入コメントペーパーの実施(予定):あなたは「権威主義」と聞いて、どのようなイメージを抱くだろうか?

2【対面授業】

導入コメントペーパーの紹介(予定)
アドルフ・アイヒマンとは何者か(1):ナチス体制下での「ユダヤ人問題専門家」になるまで

ナチス体制下でのアイヒマンの位置、ホロコーストへの関与などを中心に、アイヒマンの前半生について伝記的資料や先行研究をもとに概説

3【対面授業】

アドルフ・アイヒマンとは何者か(2):ナチス敗戦後の国外逃亡と捕縛、エルサレムでの裁判と処刑まで

ナチス敗戦後のアルゼンチンでの逃亡生活やイスラエルによる捕縛作戦、エルサレム裁判での言動などを中心に、アイヒマンの後半生について伝記的資料や先行研究をもとに概説

4【対面授業】

アドルフ・アイヒマンとは何者か(3):アイヒマンのおかれた時代状況・社会背景を探る

第一次世界大戦後のドイツ社会の変動、ドイツ中間層に蔓延する無力感や敵意、権威主義の志向、ナチス・ドイツの政治的台頭、反ユダヤ主義、アーレントの「全体主義」論

5【対面授業】

ハンナ・アーレント『エルサレムのアイヒマン』を読む(1)

アイヒマンという人物に対するアーレントの評価について、アーレントのアイヒマン論に対する批判的な反響(「アイヒマン論争」)
『エルサレムのアイヒマン』第6、7、8章を中心にアーレントの議論を紹介(予定)

6【対面授業】

ハンナ・アーレント『エルサレムのアイヒマン』を読む(2)

『エルサレムのアイヒマン』第14、15章を中心にアーレントの議論を紹介(予定)

7【対面授業】

ハンナ・アーレント『エルサレムのアイヒマン』を読む(3)

『エルサレムのアイヒマン』「エピローグ」でのアーレントの議論を紹介
ここまでの講義内容をふまえた「コメントペーパー」の実施(予定)

8【対面授業】

「アイヒマン問題」としての「権威主義的パーソナリティ」を考えるための関連映像資料の視聴(予定)

*ただし講義の進捗状況次第では、映像資料の視聴ではなく、アーレント『エルサレムのアイヒマン』の議論紹介に充てる場合がある

9【対面授業】

ここまでの講義内容のふりかえり

提出された「コメントペーパー」からいくつかを紹介・応答し、「アイヒマン問題」として現出した「権威主義的パーソナリティ」をめぐる問題を考察するための諸論点を共有
本講義後半のテーマについて紹介

10【対面授業】

日本人特派員はアイヒマンをどう見たのか:犬養道子と松村剛のアイヒマン裁判傍聴記から

アイヒマンの行動原理とはなにか、アーレントのアイヒマン論との異同とは、『アイヒマンと日本人』

11~12【対面授業】

現代社会における「権威主義的パーソナリティ」の問題を考える:曽良中清司『権威主義的人間』を読む(1)・(2)

現代社会における未解決の「アイヒマン問題」について、当事者認識をもち批判的に考察するための視座や方法を検討

13【対面授業】

本講義後半のふりかえり

提出された「コメントペーパー」からいくつかを紹介・応答し、現代社会における「権威主義的パーソナリティ」をめぐる問題を考察するための諸論点を共有

14【対面授業】

半期講義のまとめ:「権威主義的パーソナリティ」と批判的に対峙するために

授業実施形態

第1~14回いずれも対面で実施します。
【+R授業】は第14回授業で実施します。詳細については、manaba+Rにて周知します。

授業外学習の指示

事前に資料を配布する場合もあります。配布資料については、講義前に必ず目を通して予習をし受講準備を整えておくように。また受講後は、数回予定しているコメントペーパーや期末レポートの執筆を念頭に置いて授業資料の復習を行うようにしてください。
また講義内容に関連する諸論点について、参考文献も適宜紹介します。自分の興味関心と符合する文献については図書館等で探して読んでみるなど、授業外での能動的な学習のツールとしてぜひ活用してください。

成績評価方法

種別 割合(%) 評価基準等
定期試験(筆記)

レポート試験
(統一締切日を締切とするレポート)

上記以外の試験・レポート、平常点評価
(日常的な授業における取組状況の評価)
100

成績評価は、①講義内で数回実施予定の「コメントペーパー」の提出と、②「期末レポート」の提出によって行います(いずれもmanaba+R上での提出を予定。それぞれの配点割合については、初回でアナウンスします)。
「コメントペーパー」、「期末レポート」ともに、講義内容をふまえたうえで、論点をめぐって何を・どのように考えたのか、受講者各位のオリジナルな考察を求めます。自身の経験談に基づいたたんなる感想文は評価の対象とは見なしません。なお提出された「コメント」については、いくつかを選定し、後日の授業で紹介し共有する予定です。複数の視点や考察に触れることで、講義内容や諸論点についてより深い理解を促したいと考えています。

成績評価方法(備考)

受講および研究に関するアドバイス

教科書

教科書(使用頻度、その他補足)

とくに指定しません。講義は、基本的にスライド資料を用いて行う予定です。

参考書

書名 著者 出版社 ISBNコード 備考
【新版】全体主義の起原3——全体主義 ハンナ・アーレント(大久保和郎・大島かおり訳) みすず書房 978-4-622-08627-7
【新版】エルサレムのアイヒマンーー悪の陳腐さについての報告 ハンナ・アーレント(大久保和郎訳) みすず書房 978-4-622-08628-4
権威主義的人間——現代人の心にひそむファシズム 曽良中清司 有斐閣 978-4641023123
アイヒマンと日本人 山崎雅弘 祥伝社新書 978-4396116842

参考書(使用頻度、その他補足)

上記以外にも、講義のなかで適宜参考文献を紹介していきます。

参考になるwwwページ

授業内外における学生・教員間のコミュニケーションの方法

コミュニケーションペーパー,manaba+R

備考

【科目ナンバリング・カリキュラムマップはこちらから/Click here to see the Curriculum-Map and Course-Numbering】
URL:https://secure.ritsumei.ac.jp/students/pathways-future/course/curriculum.html/