Course Name Year Term Period Faculty / Graduate School All Instructors Credits
32697:[2025 Summer(Intensive)1]Professional Lectures (Advanced)Ⅱ (T2) 2025 Summer(Intensive)1 College of Science and Engineering KONISHI TETSURO 2

Campus

BKC

Class Venue

Prism111

Language

日本語

Course Outline and Method

【非線形物理学】
【概要】
ハミルトン系のダイナミクス、特にそのカオス的振舞いについて、その概要を講義します。

ここで、ハミルトン系とは、摩擦のない力学モデルと考えてください。ハミルトン系の例としては、調和振動子のような1変数(1自由度)で記述されるものと、気体や固体のモデルの様に、多くの自由度を持つ系があります。調和振動子の運動は単純で周期的です。一方、固体のモデルでは原子たちは乱雑な熱運動をしていることが期待されます。

ところで、固体のモデルを作ろうとして質点を線形なバネでつなぎ合わせただけでは、運動は規則的なままであり、また、緩和も起きません。また、運動方程式は微分方程式ですから、初期値を決めれば将来の状態は確定してしまいます。ハミルトン系のダイナミクスでは、熱運動のような乱雑な振舞いは期待できないのでしょうか。

実は、質点間の相互作用を調和振動子的なものに限らず、より一般的な場合で考えれば、運動方程式の解として不規則でかつ実質的に予測不能な運動が発生します。この種の運動は「カオス」と呼ばれています。外部からノイズのような乱雑さを導入しなくとも、運動方程式から生じる解が自発的に乱雑になってしまうのです。

講義ではハミルトン系において生じるカオスについて、下記のような話題を紹介しながら解説していきます。進度に応じて内容は取捨選択する予定です。

・簡単な例題
・運動方程式、微分方程式とベクトル場
・「解ける」ハミルトン系
・カオスの発生
・カオスを特徴づける特性量
・遅い緩和
・カオスと化学反応
・カオスと天体力学、三体問題と探査機の軌道設計
・ハミルトン系の運動方程式の数値積分とその背景
・離散力学系とその相空間
・エネルギー等分配則、拘束系、Boltzmann-Jeans則


【方法】
授業は対面で実施する。講義中に簡単な例題、実物によるデモンストレーション、簡単なシミュレーションも必要に応じて取り入れる。また、可能であれば受講者にも実施してもらう。

Student Attainment Objectives

(1) ハミルトン力学系において複雑で予測困難な運動「カオス」が生じる理由を説明することができる。
(2) 簡単な系においてカオスの特性量をいくつか計算することができる。
(3) 具体的な系においてカオス的な挙動を示すものをあげることができる。

Recommended Preparatory Course

大学初年次での微分積分学、線形代数学、力学を履修してあると役に立ちます。また、微分方程式論(常微分方程式)、解析力学で教えられる内容についての理解もあると有益です。ただし、これらは必須ではありません。必要に応じて講義の中で初等的なところから解説します。

Course Schedule

Lecture/Instructor(When there are multiple instructors) Theme
Keyword, References and Supplementary Information
-

+R授業対象科目。第2回に+R授業を実施。詳細はmanaba+Rを参照。

1

イントロダクション

簡単な例題をもとに、力学で扱われる系の運動には、規則的なものとそうではないもの(カオス的なもの)があるように見えることを紹介する。ノイズが加えられていないのに複雑に見える運動があることの不思議について述べる。
【キーワード】規則的、不規則的、決定論

2

ハミルトン系とその運動方程式の解

ハミルトン系の運動方程式について復習する。1自由度の運動方程式は必ず解けることを解説する。
【キーワード】ハミルトニアン、等エネルギー曲線、正準方程式、正準変数

3

微分方程式とベクトル場

微分方程式を、状態を指定する空間(「相空間」)の中の流れを規定するものとしてとらえなおす。また、相空間の中で重要な役割を果たす「不動点」「不変多様体」(安定多様体、不安定多様体)について解説する。不動点とその安定性について述べる。
【キーワード】正準座標、正準運動量、正準変換、不動点、安定多様体、不安定多様体、リウヴィユの定理

4

「解ける」ハミルトン系

運動方程式を具体的に解くことができる系(可積分系)を紹介し、その性質を理解する。
【キーワード】求積法、可積分系、保存量、作用変数、角変数

5-7

カオスの発生

カオスがどのようにして発生するのかを摂動論的なアプローチから理解する。
【キーワード】摂動論、安定多様体、不安定多様体、ホモクリニック点、ホモクリニック交差

8-9

カオスを特徴づける特性量

リヤプノフ数、ポアンカレ写像など、カオスを特徴づける特性量と手法について解説する。
【キーワード】リヤプノフ数、リヤプノフスペクトル、リヤプノフベクトル、Fast Lyapunov Indicator、KSエントロピー、ポアンカレ写像、パワースペクトル、エルゴード性、混合性、ポアンカレの再帰定理、KAM定理

10

ハミルトン系の運動方程式の数値積分とその背景

ハミルトン系の運動方程式を数値積分する際に用いられる方法「シンプレクティック積分法(symplectic integrator)」について紹介し、それがなぜ有効であるのかを解説する。
【キーワード】シンプレクティック積分法、symplectic integrator、正準変換

11

遅い緩和

相空間の階層性とべき型の緩和、アーノルド拡散、Nekhoroshev不等式、Boltzmann-Jeans則など、遅い緩和について解説する。
【キーワード】ポアンカレ=バーコフの定理、アーノルド拡散、Nekhoroshev不等式、Boltzmann-Jeans則

12

カオスと化学反応、カオスと天体力学、三体問題と探査機の軌道設計

カオスおよび力学系の理論の応用として、化学反応と天体力学について述べる。相空間内での輸送を相空間の構造と不変集合に基づいて理解することを解説する。また、三体問題とは何かを述べ、太陽系内の探査機の軌道設計とのかかわりを概説する。
【キーワード】化学反応論、RRKM理論、三体問題、円平面制限三体問題、ラグランジュ点、安定多様体、不安定多様体

13

離散力学系の相空間

相空間構造を理解するための離散力学系について解説する。
【キーワード】アーノルドの猫写像

14

拘束系および擬似拘束系における熱平衡状態と準平衡状態

一般化されたエネルギー等分配則により生じる運動エネルギーの自発的不均一性とBoltzmann-Jeans的な遅い緩和について解説する。
【キーワード】エネルギー等分配則、一般化されたエネルギー等分配則、ホロノミックな拘束を持つ系、Boltzmann-Jeans則

Class Format

全て対面授業で実施します

Recommendations for Private Study

必要に応じて講義中に指示し、また、manaba+Rにて課題を課します。

Grade Evaluation Method

Kind Percentage Grading Criteria etc.
Final Examination (Written)

Report Examination
(A report to be submitted by the unified deadline)

Exams and/or Reports other than those stated above, and Continuous Assessment 
(Evaluation of Everyday Performance in Class)
100

受講生の到達目標(1),(2),(3)に関連したレポート課題をいくつか実施して受講者の理解度を確認します。

Grade Evaluation Method (Note)

Advice to Students on Study and Research Methods

聞くだけでなく、簡単な例題・モデルを自分で動かしてみると理解に大いに役立ちます。

Textbooks

Textbooks (Frequency of Use, Note)

Reference Books

Title Author Publisher ISBN Code Comment
力学【現代物理学叢書】 (岩波オンデマンドブックス) 大貫義郎、吉田春夫 岩波書店 978-4007304644 本書収録のうち、 II 展開編 https://www.amazon.co.jp/dp/4007304645
Regular and Chaotic Dynamics A.J. Lichtenberg,‎ M.A. Lieberma Springer New York 978-1441931009 https://www.amazon.co.jp/dp/1441931007
物理学最前線〈30〉 斎藤 信彦 (他) 共立出版 978-4320032736 本書収録のうち、「カオスの物理」https://www.amazon.co.jp/dp/432003273X
重点解説ハミルトン力学系 数理科学 別冊 2016年 12 月号 柴山允瑠 サイエンス社 https://www.amazon.co.jp/dp/B00B3ELLAU/
常微分方程式と解析力学 伊藤 秀一 共立出版 978-4320015630 https://www.amazon.co.jp/dp/4320015630/
天体力学のパイオニアたち(上)(下) F.ディアク、P.J.ホームズ 丸善出版 978-4621063910 読み物として。 https://www.amazon.co.jp/dp/462106391X/
Order and Chaos in Dynamical Astronomy George Contopoulos Springer Berlin Heidelberg 978-3642077708 https://www.amazon.co.jp//dp/3642077706
Essentials of Hamiltonian Dynamics John H. Lowenstein Cambridge University Press 978-1107005204 https://www.amazon.co.jp/dp/1107005205/
力学系入門 ―微分方程式からカオスまで Hirsch・Smale・Devaney 共立出版; 978-4320111363 https://www.amazon.co.jp/dp/4320111362/
解析力学II 山本義隆、中村孔一 朝倉書店 978-4254136722 https://www.amazon.co.jp/dp/4254136722/
Stability and Chaos in Celestial Mechanics Alessandra Celletti Springer 978-3642261565 https://www.amazon.co.jp/dp/3642261566
Dynamical Chaos in Planetary Systems Ivan I. Shevchenko Springer 978-3030521431 https://www.amazon.co.jp/dp/3030521435
Celestial Mechanics and Astrodynamics: Theory and Practice Pini Gurfil and P. Kenneth Seidelmann Springer 978-3662503683 https://www.amazon.co.jp/dp/3662503689/
解析力学講義 近藤慶一 共立出版 978-4320036178 https://www.amazon.co.jp/dp/4320036174/
Dynamical Systems with Applications using Python Stephen Lynch Birkhaeuser 978-3319781440 https://www.amazon.co.jp/dp/3319781448/
天体力学講義 C. L. ジーゲル、J. K. モーザー 丸善出版 978-4-621-30913-1 https://www.maruzen-publishing.co.jp/item/b295253.html
フロー式物理演習シリーズ「解析力学」 綿村 哲 共立出版 9784320035164 https://www.kyoritsu-pub.co.jp/book/b10025214.html

Reference Books (Frequency of Use, Note)

講義内容をより深く理解するために参考となる図書を列挙します。これらの図書が無いと困るということはありません。

Web Pages for Reference

How to Communicate with the Instructor In and Out of Class(Including Instructor Contact Information)

Learning Management System (manaba+R),Talk with Students

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URL:https://secure.ritsumei.ac.jp/students/pathways-future/course/curriculum.html/