授業科目名 年度 学期 開講曜日・時限 学部・研究科 全担当教員 単位数
11853:法哲学(J) 2021 秋セメスター 金1-2 法学部 菊地 諒 4

キャンパス

衣笠/衣笠

授業施設

存心館ZS310号教室/存心館ZS310号教室

授業で利用する言語

日本語

授業の概要と方法

基礎法学の一つに数えられる法哲学(または法理学)は、法というものを哲学的に探究する分野であり、法システムの構造や法規範の性質の解明を通じて「法とは何か」を考えたり、自由や平等といった正義の理念の検討を通じて「法とはどのようにあるべきか」を考えたりと、現代社会において人間が直面する諸問題の根本的かつ原理的な部分を考察するものです。この授業では、法哲学の分野における主要な議論を紹介し、受講者と一緒に検討することを通じて、標準的な法哲学の知見を獲得するとともに、法哲学の視点から現代社会における諸問題を考察する能力を涵養することを狙いとします。
授業内容に関する質問はメールで随時受け付け、回答します。また、提出課題に関しては全体講評を行います。

受講生の到達目標

1. 法思想の歴史、現代の法理論および正義論に関する知見を活用できる
2. 現代社会を法哲学の視点から俯瞰し、何が問題なのかを把握できる
3. 法に対する基本的な理解に基づき、具体的な問題に対する解決案を提示できる

事前に履修しておくことが望まれる科目

授業スケジュール

授業回数/
担当教員(複数担当の場合)
テーマ
キーワード・文献・補足事項等
1

法哲学とはどのような分野か

法哲学の位置づけ、法哲学の主な問題領域

2

古代~近世の法思想

古代ギリシアの法思想、古代ローマの法思想、中世の法思想、近世の法思想

3

近代の法思想(1)

イングランドの自然権思想、ドイツ啓蒙の法思想、スコットランド啓蒙の法思想、フランス啓蒙の法思想

4

近代の法思想(2)

カントの法思想、ヘーゲルの法思想、サヴィニーの法思想

5

近代の法思想(3)

ベンサムの法思想、ミルの法思想、オースティンの法思想、メインの法思想

6

近代の法思想(4)

サヴィニー以後の歴史法学、イェーリングの法思想、自由法運動、ドイツ公法学

7

リアリズムの法思想

アメリカ法の草創期、ホームズの法思想、リーガル・リアリズム、社会科学と法

8

ケルゼンの法思想

純粋法学、事実と規範の区別、シュミットによる批判

9

ラートブルフの法思想

価値相対主義、法理念論、ラートブルフ定式、再生自然法論

10

ハートの法思想

分析法理学、法と道徳の分離、フラーによる批判

11

ドゥオーキンの法思想

ルールと原理、解釈的アプローチ、原理の共同体

12

ポストモダンの法思想

ポストモダン、批判法学、法システム論、フェミニズム法学

13

法と経済学

コースの定理、ポズナーの「富最大化」理論、厚生経済学的アプローチ

14

法的議論の理論

法学的ヘルメノイティク、トピクとレトリック、実践的討議の理論

15

法理論――小括

法とは何か、法の妥当性、法の三類型モデル

16

正義論序説

正義とは何か、法と正義

17

古典的功利主義

功利主義とは何か、功利主義の展開

18

現代的功利主義

功利主義の特徴、ヘアの二層理論、シンガーの包括的功利主義

19

ロールズの正義論(1)

ロールズの『正義論』、原初状態、正義の二原理

20

ロールズの正義論(2)

ロールズの『政治的リベラリズム』、ロールズの『諸国民の法』

21

平等主義的リベラリズム

センのケイパビリティ・アプローチ、ドゥオーキンの資源平等主義、平等の制度化

22

リバタリアニズム

ノージックの最小国家論、ロスバードの無政府資本主義、ハイエクの古典的自由主義、リバタリアン・パターナリズム

23

多文化主義

文化の共存、テイラーの多文化主義、キムリッカのリベラルな多文化主義、モーリス=スズキの内なる多文化主義

24

コミュニタリアニズム

マッキンタイアのコミュニティ論、ウォルツァーの財の理論、サンデルのコミュニタリアニズム

25

グローバルな正義

国境を越える正義、コスモポリタニズム、正戦論

26

ジェンダーの正義

婚姻制度、議会におけるクォータ制

27

世代間の正義

世代を越える正義、将来世代の特徴、将来世代への配慮の正当化論

28

生命倫理

人工妊娠中絶、代理出産、臓器移植、安楽死

29

正義論――小括

多元的社会における正義、正義論の展開

30

再び、法哲学とはどのような分野か――総括

自然法論、法実証主義、法哲学とは何か

授業実施形態

【BCPレベル1〜2 の場合】
この授業が予定されている曜日時限にオンラインでライブ配信形式で実施します。ただし、配信は教室から行い、希望者には教室での受講を認めます。やむを得ない理由により当該授業の時間にライブ配信も含め受講できなかった者に対し、録画データ等の授業資料をオンラインで提供します。原則として、すべての授業回でこの形態で実施します。オンラインでの授業資料の提供方法は別途指示します。
教室での受講希望者は、担当者が別途指示する方法で事前に申請を行う必要があります。教室で受講する者に対して紙媒体でのレジュメの配布はしないので、各自でダウンロードして印刷するか、PC等の自分の端末で閲覧してください。

【BCPレベル3~4 の場合】
この授業が予定されている曜日時限にオンラインでライブ配信形式で実施します。

授業外学習の指示

授業の内容を必要に応じて復習し、理解の定着に努めてください。分野の性質上、学説や用語を暗記することはあまり意味がありません。参考書(シラバス記載のほか、授業中に指示します)を手がかりとしながら、授業で取り扱った問題に対して自分の意見を述べられるようにしてください。

成績評価方法

種別 割合(%) 評価基準等
定期試験(筆記)

レポート試験
(統一締切日を締切とするレポート)

上記以外の試験・レポート、平常点評価
(日常的な授業における取組状況の評価)
100

授業内容に沿ったレポート課題(複数回実施)を通じて、上記の到達目標がどの程度達成されているかを評価します。すなわち、1. 法哲学に関する知見の活用、2. 法哲学的な問題の把握、3. 問題の分析と解決案の提示の三点につき、十分な水準に達しているかが評価の基準となります。

成績評価方法(備考)

受講および研究に関するアドバイス

教科書

教科書(使用頻度、その他補足)

特に指定しません。授業ではレジュメを配布します。

参考書

書名 著者 出版社 ISBNコード 備考
法哲学 瀧川裕英, 宇佐美誠, 大屋雄裕 有斐閣 9784641125674
法思想史 中山竜一, 浅野有紀, 松島裕一, 近藤圭介 有斐閣 9784641221338

参考書(使用頻度、その他補足)

参考になるwwwページ

授業内外における学生・教員間のコミュニケーションの方法

学生との直接対話,その他(教員より別途指示)

備考

【科目ナンバリング・カリキュラムマップはこちらから/Click here to see the Curriculum-Map and Course-Numbering】
URL:http://www.ritsumei.ac.jp//students/pathways-future/course/curriculum.html