授業科目名 年度 学期 開講曜日・時限 学部・研究科 全担当教員 単位数
13895:法哲学(J) 2022 秋セメスター 木1,金2 法学部 菊地 諒 4

キャンパス

衣笠/衣笠

授業施設

存心館ZS310号教室/存心館ZS310号教室

授業で利用する言語

日本語

授業の概要と方法

基礎法学の一つに数えられる法哲学(または法理学)は、法というものを哲学的に探究する分野であり、法システムの構造や法規範の性質の解明を通じて「法とは何か」を考えたり、自由や平等といった正義の理念の検討を通じて「法とはどのようにあるべきか」を考えたりと、現代社会において人間が直面する諸問題の根本的かつ原理的な部分を考察するものです。この授業では、法哲学の分野における主要な議論を紹介し、受講生と一緒に検討することを通じて、標準的な法哲学の知見を獲得するとともに、法哲学の視点から現代社会における諸問題を考察する能力を涵養することを狙いとします。

この授業は対面授業です。レジュメは事前にmanaba+Rに掲載し、授業当日、教室でも配布します。授業内容に関する質問は教室またはメールで随時受け付けます。授業の課題については授業内またはmanaba+R上で解説する形でフィードバックを行います。

受講生の到達目標

1. 法思想の歴史、現代の法理論および正義論に関する知見を活用できる
2. 現代社会を法哲学の視点から俯瞰し、何が問題なのかを把握できる
3. 法に対する基本的な理解に基づき、具体的な問題に対する解決案を提示できる

事前に履修しておくことが望まれる科目

特にありません。

授業スケジュール

授業回数/
担当教員(複数担当の場合)
テーマ
キーワード・文献・補足事項等
1

法哲学とはどのような分野か

法哲学の位置づけ、法哲学の問題領域

2

古代~近世の法思想

古代ギリシアの法思想、古代ローマの法思想、中世の法思想、近世の法思想

3

近代の法思想(1)

イングランドの自然権思想、ドイツ啓蒙の法思想、スコットランド啓蒙の法思想、フランス啓蒙の法思想

4

近代の法思想(2)

カントの法思想、ヘーゲルの法思想、サヴィニーの法思想

5

近代の法思想(3)

ベンサムの法思想、オースティンの法思想、メインの法思想、ホランドの法思想

6

近代の法思想(4)

パンデクテン法学、イェーリングの法思想、自由法運動、ドイツ公法実証主義

7

現代の法理論(1)――ケルゼン

純粋法学、事実と規範の区別、シュミットによる批判

8

現代の法理論(2)――ラートブルフ

価値相対主義、自然法の再生、第三の道

9

現代の法理論(3)――リアリズム

アメリカ法の形成、プラグマティズム法学、社会学的法学、リーガル・リアリズム

10

現代の法理論(4)――ハート

現代分析法理学、法と道徳の分離、ハート=フラー論争

11

現代の法理論(5)――ドゥオーキン

ハート=ドゥオーキン論争、解釈的アプローチ、原理の共同体

12

現代の法理論(6)――ポストモダン

批判法学、システム理論、フェミニズム法学

13

法的思考(1)

法と経済学、富最大化基準、実定法への経済学的視座

14

法的思考(2)

法律学的ヘルメノイティク、トピクとレトリック、法的議論の理論

15

法理論――小括

法とは何か、なぜ法に従わなければならないのか、法と道徳はどのような関係にあるのか

16

正義論序説

正義とは何か、法と正義、実質的正義の基準

17

功利主義(1)

功利主義の誕生、功利主義の展開、功利主義の倫理学

18

功利主義(2)

現代的功利主義、二層功利主義、シンガーの功利主義

19

ロールズの正義論(1)

公正としての正義、原初状態、正義の二原理

20

ロールズの正義論(2)

『正義論』の社会制度、『政治的リベラリズム』における展開、『諸国民の法』における拡張

21

平等主義的リベラリズム

平等主義的な分配、運平等主義、平等とは何か

22

リバタリアニズム

リバタリアンの諸類型、ノージックの最小国家論、ロスバードの無政府資本主義、ハイエクの古典的リベラリズム

23

コミュニタリアニズム

リベラル=コミュニタリアン論争、マッキンタイアのコミュニティ論、ウォルツァーの分配的正義、サンデルのリベラリズム批判

24

多文化主義

マイノリティの位置づけ、テイラーのコミュニタリアン多文化主義、キムリッカのリベラル多文化主義

25

正義論上の諸問題(1)

グローバルな正義、コスモポリタニズム、ステイティズムとナショナリズム

26

正義論上の諸問題(2)

ジェンダーの正義、婚姻制度、クォータ制

27

正義論上の諸問題(3)

世代間正義、将来世代への配慮、AI時代における失業

28

正義論上の諸問題(4)

生命倫理とは何か、生命倫理上の諸問題、環境倫理

29

正義論――小括

正義論はどのように展開してきたか、多元的社会において正義を論じることはできるか、正義を論じる際の基準は何か

30

再び、法哲学とはどのような分野か――総括

法の全体像を描く、法の支配を実現する、デモクラシーとの相克を超える

授業実施形態

【BCP レベル 1〜2 の場合】
原則として対面授業を実施します。ただし、大学の定める配慮事由に該当するとして対面受講への配慮を申し出た者に対しては、ライブ配信を提供します(さらにやむを得ない理由によりライブ配信を受講できなかった者に対し、録画データ等をオンラインで提供します)。
原則として、すべての授業回でこの形態で実施します。オンラインでの録画データ等の提供方法は授業内で別途指示します。

【BCPレベル3~4 の場合】
この授業が予定されている曜日時限にオンラインでライブ配信形式で実施します。

授業外学習の指示

授業の内容を必要に応じて復習し、理解の定着に努めてください。分野の性質上、学説や用語を暗記することはあまり意味がありません。参考書(シラバス記載のほか、授業中に指示します)を手がかりとしながら、授業で取り扱った問題に対して自分の意見を述べられるようにしてください。

成績評価方法

種別 割合(%) 評価基準等
定期試験(筆記)

レポート試験
(統一締切日を締切とするレポート)

上記以外の試験・レポート、平常点評価
(日常的な授業における取組状況の評価)
100

授業内容に沿った小テスト・レポート課題(複数回実施)を通じて、上記の到達目標がどの程度達成されているかを評価します。すなわち、1. 法哲学に関する知見の活用、2. 法哲学的な問題の把握、3. 問題の分析と解決案の提示の三点につき、十分な水準に達しているかが評価の基準となります。

成績評価方法(備考)

受講および研究に関するアドバイス

「法哲学」というと難しそうな印象を受けるかもしれませんが、事前の知識は特に必要ありません。毎回の授業に出席していただくことで、しっかりと理解していただけるような内容になっています。
授業で学んだ内容をもとに、各自の問題意識に基づき、現実社会の諸問題について自分なりに考察していただくことで、さらに授業への理解が深まると思います。

教科書

教科書(使用頻度、その他補足)

特に指定しません。授業ではレジュメを配布します。

参考書

書名 著者 出版社 ISBNコード 備考
法哲学 瀧川裕英, 宇佐美誠, 大屋雄裕 有斐閣 9784641125674
法思想史 中山竜一, 浅野有紀, 松島裕一, 近藤圭介 有斐閣 9784641221338

参考書(使用頻度、その他補足)

参考になるwwwページ

授業内外における学生・教員間のコミュニケーションの方法

学生との直接対話,その他(教員より別途指示)

備考

【科目ナンバリング・カリキュラムマップはこちらから/Click here to see the Curriculum-Map and Course-Numbering】
URL:http://www.ritsumei.ac.jp//students/pathways-future/course/curriculum.html