Course Name Year Term Period Faculty / Graduate School All Instructors Credits
13130:History of Media Technology (S) 2022 Fall Fri1 College Of Social Sciences IIDA YUTAKA 2

Campus

KIC

Class Venue

IGAKUKAN IG402

Language

日本語

Course Outline and Method

【授業の概要】
「新しい○○が△△を変える」という言い回しが、世の中にはいろいろとある。たとえば、Twitterが政治を変える、ビッグデータが経済を変える、AI が仕事を変える、オンライン授業が教育を変える、マッチングアプリが恋愛を変える、メタバースが社会を変えるなど、とくにデジタルメディアに関する事例は枚挙にいとまがない。それにともなって、新聞やテレビなどが伝える情報を批判的に読み解くという意味でのメディア・リテラシーだけでなく、インターネットを基盤とするデジタルメディアが遍在する社会を生き抜くための素養を身につけることが、小学校から大学にいたるまで、教育の現場で重視されるようになってきた。

もっとも、新しいメディアの「新しさ」を深く追究しようと思えば、結局のところ、古いメディアとの比較を避けて通ることはできない。新しいメディアをめぐるさまざまな現象に興味をもち、積極的に解釈や分析を積極的に試みることは重要だが、同時に、目の前で起こっていることを近視眼的にとらえるのではなく、過去の事例から学び、現在にいかす思考を身につけることが望ましい。

したがって、メディアについて理解するうえで、技術史の思考法はきわめて有用である。電話やラジオ、テレビが日常生活と不可分に結びついた20世紀を経て、インターネットやスマートフォンが普及した現在、メディアと人間、あるいは技術と社会の関係はどのように変わってきたのだろうか。この授業では、われわれの日常に根ざしたさまざまなメディア技術の成り立ちに目を向け、その将来までを展望する。

【授業の方法】
本科目は大学設置基準および立命館大学産業社会学部則において、区分を面接授業とする。詳細な実施方法については、manaba+Rのコースニュース、「授業スケジュール」および「授業実施形態」欄を確認のこと。

Student Attainment Objectives

(1)近代社会におけるメディア・コミュニケーションの発展が、どのようにして技術的に実現されてきたのかを理解し、それを適切に説明できるようになる。

(2)「メディア」と「技術」の相互関係に対する理解を深め、それを適切に説明できるようになる。

(3)メディアの技術変容と不可分に関わりながら発展してきたメディア論、情報社会論の基礎的な思考法を理解し、それを適切に説明できるようになる。

Recommended Preparatory Course

Course Schedule

Lecture/Instructor(When there are multiple instructors) Theme
Keyword, References and Supplementary Information
1<対面授業>

イントロダクション ―メディア技術史とは何か

メディアとは、メディア技術史とは、技術決定論、技術の社会的構成、メディア・リテラシー

2

技術としての書物 ―紙の本 VS 電子本への古くて新しい回答

J. グーテンベルク、活版印刷、42行聖書、標準化、声の文化と文字の文化、W. オング、M. マクルーハン、E. アイゼンスタイン、B. アンダーソン、大分水嶺理論

3

写真はどこにあるのか ―イメージを複製するテクノロジー

カメラ・オブスキュラ、J. ニエプス、L. ダゲール、ダゲレオタイプ、フォトジェニック・ドローイング、カロタイプ、写真幻燈、スクリーン・プラクティス、写真製版、写ルンです、写メール

4

映画の歴史を巻き戻す ー現代のスクリーンから映像の幼年時代へ (1)社会的側面

マジック・ランタン、アートフル・サイエンス、ファンタスマゴリア、初期映画、G. メリエス

5

映画の歴史を巻き戻す ―現代のスクリーンから映像の幼年時代へ (2)技術的側面

ソーマトロープ、フェナキスティスコープ、ゾートロープ、パノラマ、ジオラマ、E. マイブリッジ、T. エジソン、リュミエール兄弟、W. ベンヤミン、アウラ

6

音楽にとっての音響技術 ―歌声の主はどこにいるのか

初音ミク(ボーカロイド)、フォノトグラフ、フォノグラフ(蓄音機)、グラモフォン、マイクロフォン、磁気テープ、多重録音

7

声を伝える/技術を楽しむ (1)電話のメディア史

腕木式通信、電信、G. ベル、テレフォン・ヒルモンド、町飛脚と郵便制度、御巡幸線、官私設専用電話、テレホンカード、コードレス電話、遊戯的コミュニケーション

8

声を伝える/技術を楽しむ (2)ラジオのメディア史

エレクトリシャン、G. マルコーニ、アマチュア無線、KDKA、放送局、工作文化、BLC、エアチェック、ラジカセ

9

テレビジョンの初期衝動 ―「遠く(tele)を視ること(vision)」」の技術史 (1)戦前・戦中期

機械式とブラウン管、河原田政太郎、高柳健次郎、博覧会、公開実験、テレビジョン電話、テクノ・ナショナリズム

10

テレビジョンの初期衝動 ―「遠く(tele)を視ること(vision)」の技術史 (2)戦後期

正力松太郎、メガ論争、NTSCとPAL、VHSとベータマックス、事実上の標準(デファクト・スタンダード)、街頭テレビ

11

ローカルメディアの技術変容 (1)ケーブルテレビの考古学

農村有線放送電話、自主放送、ニューメディア、地域メディア、市民メディア、パブリック・アクセス

12

ローカルメディアの技術変容 (2)ミニFMという実践を補助線に

混線遊び、伝言ダイヤル、アマチュア無線、CB無線、パーソナル無線、 海賊放送、自由ラジオ、阪神・淡路大震災

13

文化としてのコンピュータ ―その「柔軟性」はどこからきたのか

機械式計算機と電子式計算機、階差機関、ABC、ENIAC、J. フォン・ノイマン、V. ブッシュ、memex、D. エンゲルバート、A. ケイ、ダイナブック、B. ゲイツ、Microsoft、S. ジョブズ、Apple、シリコンバレー、カリフォルニアン・イデオロギー

14

開かれたネットワーク ―インターネットをつくったのは誰か

パソコン通信、J. リックライダー、ハイパーテキスト、ARPANET、R. ストールマン、フリーソフト、オープンソース、L. トーバルズ、Linux、伽藍とバザール、ハッカー思想、生み出す力

15

誰のための技術史? ―アマチュアリズムの行方

アマチュア、科学技術リテラシー、メディア・リテラシー、プロシューマー

Class Format

【授業形態】
BCPレベル1~2:対面授業
BCPレベル3~4:メディアを利用した授業(ライブ配信)

【配慮要件】
以下の要件に該当する学生に対しては、「ライブ配信」での配慮を行う。
 ①基礎疾患や持病がある等、感染した場合に重症化するリスク(呼吸器疾患、糖尿病、心不全等の国が定める基礎疾患を有する場合)の高い学生
 ②基礎疾患や持病がある等、感染した場合に重症化するリスク(呼吸器疾患、糖尿病、心不全等の国が定める基礎疾患を有する場合)の高い同居家族がいる学生
 ③海外との往来制限により、学生本人が渡日・入国できない場合

【備考】
※「授業スケジュール」は、BCPレベル1~2を想定して記載している。変更があった際は別途manaba+Rに周知を行う。
※受講登録の結果によっては、出席調整またはメディアを利用した授業に切替えを行う場合がある。

Recommendations for Private Study

授業で使用するプリントは事前に配布することがあるので、当日までに一読しておき、忘れずに持参してください。プリントに記載されているWWWページには、事前にアクセスしておくことが望ましいです。

Grade Evaluation Method

Kind Percentage Grading Criteria etc.
Final Examination (Written) 0

Report Examination
(A report to be submitted by the unified deadline)
60

メディア技術史に関する基礎的な知識に加えて、メディア論や情報社会論の思考法について、総合的な理解ができているかどうかを評価します。事象を論理的に説明できているかどうか、要領よくまとめて書けているかどうか、自分の考えを述べることができているかどうかを重視します。

Exams and/or Reports other than those stated above, and Continuous Assessment 
(Evaluation of Everyday Performance in Class)
40

コミュニケーションペーパーの提出を求め、その内容にもとづいて平常点評価をおこないます。たんなる出席による加点措置はおこないません。

Grade Evaluation Method (Note)

BCPレベルの変更にともなって、成績評価方法が変わることはありません。

Advice to Students on Study and Research Methods

Textbooks

Title Author Publisher ISBN Code Comment
メディア技術史 ―デジタル社会の系譜と行方[改訂版] 飯田豊編著 北樹出版 9784779305320

Textbooks (Frequency of Use, Note)

①原則として、教科書の章構成にそくして、授業を進行します。②したがって、該当箇所をあらかじめ読んだうえで、授業に臨むようにしてください。③毎週利用します。

Reference Books

Title Author Publisher ISBN Code Comment
テレビが見世物だったころ ―初期テレビジョンの考古学 飯田豊 青弓社 9784787233998
メディア論の地層 ―1970大阪万博から2020東京五輪まで 飯田豊 勁草書房 9784326654253
現代文化への社会学 ―90年代と「いま」を比較する 高野光平・加島卓・飯田豊編著 北樹出版 9784779305870
新版 メディア論 水越伸・飯田豊・劉雪雁 放送大学教育振興会
古いメディアが新しかった時 ―19世紀末社会と電気テクノロジー キャロリン・マーヴィン 新曜社 9784788508682

Reference Books (Frequency of Use, Note)

①授業内容を発展的に学ぶための参考書であり、授業で利用するわけではありません。②上記は一例。授業内で随時、紹介します。

Web Pages for Reference

How to Communicate with the Instructor In and Out of Class(Including Instructor Contact Information)

Communication Paper,Learning Management System (manaba+R),Talk with Students

Other Comments

【科目ナンバリング・カリキュラムマップはこちらから/Click here to see the Curriculum-Map and Course-Numbering】
URL:http://www.ritsumei.ac.jp//students/pathways-future/course/curriculum.html