| 授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科 | 全担当教員 | 単位数 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 50494:[2025 春セメスター]雇用政策論(P) | 2025 | 春セメスター | 木3 | 政策科学部 | 柴田 義雄 | 2 |
キャンパス
授業施設
授業で利用する言語
授業の概要と方法
受講生の到達目標
② 日本の雇用制度がどのような経済状況、労使関係、そして雇用政策を含む社会政策との関連性の下で成立したか、またその特徴はなにかを説明することができる。
③ 日本の女性労働および非正規雇用の制度的特徴と問題点を、正社員の雇用制度との深い相互関連性において理解したうえで、政策的対応のあり方を考えることができる。
④ 全体的な雇用システムおよび雇用政策のあり方が、格差社会、貧困、女性差別、少子化、過労死など、労働以外の領域も含めた様々な社会問題や個々人の「生きづらさ」とどの様に関連しているかを、俯瞰的な視点から説明することができる。
⑤ そのことと関連して、雇用政策が対象とする領域が、社会保障政策など他の社会政策が対象とする領域と複雑に関連していること、したがって特定領域に関する政策立案においても包括的・総合的な社会科学的認識が要求されることを理解できる。そのうえで、雇用制度・政策についての知識を、他の政策領域について考える時にも役立てる事が出来る。
⑥ 国際比較と歴史的な社会変動の視点を持ち、現在の日本の雇用システムの現実を「自然なもの、固定的なもの」と当然視しないで、多様な可能性の一つに過ぎない事を理解したうえで、別の可能性を探って行くことができる。
⑦ 様々な政府統計や国際機関が提供するデータに親しむことができ、データを解釈することができる。また、雇用政策を評価あるいは立案するために、どのようにデータが生かされなければならないかを理解できる。
⑧ 日本の雇用政策に関して、理論的・倫理的な違い、そして目標の違いによって対立する立場があることを理解したうえで、自分の意見や考え方を構築できる。
事前に履修しておくことが望まれる科目
(体系的な履修が望まれるため、できればこれらは先に履修しておくことが望ましい。ただし絶対条件ではない。)
授業スケジュール
| 授業回数/ 担当教員(複数担当の場合) |
テーマ |
|---|---|
| キーワード・文献・補足事項等 | |
| 1 |
授業への導入(【+R 授業】の動画と、その続き)
|
【+R 授業】詳細は manaba+R を参照。
|
|
| 2 | 労働法、労使関係、労働組合 |
何が労働条件を決定するのか(一律および個別決定要因) 雇用に関するルールとしての労働法とその特徴(国際条約と国内法) ILO条約批准の傾向 国民・労働者の権利としての「ディーセント・ワーク」 集団的労使関係とはなにか 産業民主主義とはなにか 日本の労使関係の特徴(労働組合組織率、労働協約適用率などの国際比較) 戦後日本の労使関係の展開(闘争-妥協-制度化) 日本の労働組合の制度的特徴と問題点 雇用政策決定の政労使三者交渉原則と現実 |
|
| 3 | 日本の雇用システムと労務管理(正社員を中心に) |
日本の雇用者の全体像 「内部労働市場」とは 内部労働市場の欧米との比較 「年功制」としての職能給システム 職能資格制度 査定制度の問題点 「遅い選抜」制度(「メンバーシップ型」雇用における競争) 「賃金後払い」システム |
|
| 4 | 雇用システムと労務管理の改変 |
バブル崩壊後の労務管理の方向転換 「新時代の『日本的経営』」以後の変化 成果主義 目標管理制度 リストラ 競争主義 新たな賃金・昇進制度の問題点と模索の状況(「役割・職務給」「ジョブ型雇用」など) 労働生産性と能力開発 |
|
| 5 | 女性労働① |
ジェンダーの視点 生産労働・再生産労働・性別役割分業 M字型就労カーブの国際比較 育児休暇取得の現状 介護と仕事 性別職業分離と感情労働 賃金や役職における格差の実際 コース別管理 限定正社員 非正規率の男女間格差 同一価値労働同一賃金原則の欠如 女性のライフコースとL字カーブ 雇用制度と家庭の関係 「新性別役割分担」 |
|
| 6 |
女性労働②
|
性別役割分業と少子化 雇用政策と社会保障政策の日欧比較 「日本型福祉社会」論と社会政策 103万円、106万円、130万円の壁 平等化に向けた法整備の歴史および残された課題
|
|
| 7 |
非正規労働②
|
有期雇用の問題点 偽装請負 雇止めの判例法理 キャリア展開の可能性の欠如 賃金レベルと年収 均等待遇の欠如(「同一労働同一賃金」の現実) 非正規増加の理由(「調整弁」か「置き換え」か) 「不本意」非正規 階層としての固定化 コロナ禍における「調整弁」 諸外国との比較 |
|
| 8 | 社会階層と貧困問題 |
所得の推移と国際比較 「格差社会化」のマクロデータ 相対的貧困率とその国際比較 ワーキングプアの比率と国際比較 貧困と独身率(少子化) 誰が貧困か 母子家庭窮状の複合的要因 最低賃金制度の国際比較 セイフティネットの穴 生活保護制度の問題点と不正受給バッシング コロナ禍における貧困と格差の拡大 |
|
| 9 | 若者の雇用問題 |
「就職率」関連データと推移 若年層の早期離職データ 早期離職の原因(企業規模、産業、労働時間) 若者の失業率 奨学金の問題 新規学卒者一括採用制度とその問題点 就活の国際比較 就活スケジュールの変遷 採用基準の曖昧さ(「コミュニケーション能力」ってなんだ?) 新入社員採用状況 教育から職場への接続の問題 |
|
| 10 | 労働時間① |
労働時間問題の重要性 日本の法的労働時間規制とその穴 時間外割増賃金の国際比較 「過労死ライン」とは 日本の労働時間の現実(労働時間の2極化とサービス残業) 性別・年齢階級別過労死予備軍データ 長時間労働の実態と国際比較 有給休暇取得率の国際比較 過労死・過労自殺の社会問題化と労災認定の推移 長時間労働の原因 |
|
| 11 |
労働時間②
|
「働き方改革」としての労働時間規制のあり方 「高度プロフェッショナル制度」と裁量労働制拡大 長時間労働が多い職種(医師、官僚、教員、運転手)
|
|
| 12 | 職場のトラブルと対処法② |
「退職」の類型 不当解雇テクニックの多様性(「退職勧奨」や「自己都合退職」の偽装) 解雇規制法制 内定取り消しとオワハラ ブラック企業の常套手段 ブラックバイト 身を護る手段としての労働法 労働相談制度と不平申し立て制度 さまざまな個人救済機関 |
|
| 13 | 外国人労働者政策と高齢者雇用政策 |
少子高齢化による労働力人口減少のインパクトと外国人労働者の増加 在留外国人の現状 外国人労働者受け入れ体制の二重性 「サイドドア」からの受け入れ 外国人労働者への人権侵害の現状 技能実習制度代わる新制度 「外国人労働者」は「移民ではない」のか?
|
|
| 14 |
新たな状況と課題
|
テレワークの現状・利点・問題点 個人事業主(UberEats 配達員など)における課題(責任の所在、労災など) 「副業解禁」の利点と問題点(労働時間管理など)
|
授業実施形態
授業外学習の指示
成績評価方法
| 種別 | 割合(%) | 評価基準等 |
|---|---|---|
| 定期試験(筆記) | 0 | 無し |
| レポート試験 (統一締切日を締切とするレポート) |
0 | 無し |
| 上記以外の試験・レポート、平常点評価 (日常的な授業における取組状況の評価) |
100 | *理解度の確認のために、テスト(選択式問題)を2回行う。7回目と14回目の授業後の予定。テストはManaba +Rを通して出題・解答するテイクホームエグザムの予定。割合はそれぞれが全体の30%。(2回の合計で全体の60%)
|
成績評価方法(備考)
ただし、A+は受講者全体の上位10%以下に限られ、その部分だけは相対評価になる。
受講および研究に関するアドバイス
教科書
教科書(使用頻度、その他補足)
参考書
| 書名 | 著者 | 出版社 | ISBNコード | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 『良く分かる社会政策―雇用と社会保障―』[第3版] | 石畑良太郎, 牧野富夫, 伍賀一道編著 | ミネルヴァ書房 | 9784623085620 | 特に雇用政策のテーマを網羅的にカバーしている。役に立つテーマについては授業で参考にする予定。 |
| 『格差社会ニッポンで働くということ』 | 熊沢誠 | 岩波書店 | 9784000224789 | 新しい本ではないが、日本の雇用制度の根本的性格を理解するのに役立つ本。本講義では正社員の雇用制度を取り扱う上で参考にする。 |
| 『人権としてのディーセント・ワーク』 | 西谷敏 | 旬報社 | 9784845112074 | 本講義では主に諸外国の雇用制度や政策のあり方を知る上で、また今後の制度改革の方向性を論じる上で参考にする。 |
| 『労働法 第3版』 | 西谷敏 | 日本評論社 | 9784535524217 | 本講義では、労働法の基本的な考え方についての点で参考にする。(高価な本であり、ごく一部を参考にするだけなので買う必要はない。) |
| 『働く女子の運命』 | 濱口桂一郎 | 文芸春秋 | 9784166610624 | 女性労働を論じる上で参考にする。 |
参考書(使用頻度、その他補足)
参考になるwwwページ
どの省庁が実施している調査でもここで探せる。(ただし、使いこなすには慣れが必要)。
独立行政法人 労働政策研究・研修機構 http://www.jil.go.jp/
労働・雇用に関する様々な独自調査を行い、結果を公表。
ILOの統計データベース(英語) https://www.ilo.org/ilostat/
労働に関する様々な国際比較データ。
OECD Data Explorer https://data-explorer.oecd.org/
雇用統計や貧困率などを含む、様々な国際比較データの入り口。(ただし、使いこなすには慣れが必要。)
法政大学大原社会問題研究所 http://oisr-org.ws.hosei.ac.jp/
社会問題、特に労働問題に関する豊富な文献を提供。
授業内外における学生・教員間のコミュニケーションの方法
備考
メールアドレス:ysr12073@fc.ritsumei.ac.jp
URL:https://secure.ritsumei.ac.jp/students/pathways-future/course/curriculum.html/