Course Name Year Term Period Faculty / Graduate School All Instructors Credits
50494:[2025 Spring]Employment Policy (P) 2025 Spring Thu3 College Of Policy Science SHIBATA YOSHIO 2

Campus

OIC

Class Venue

AC230

Language

Japanese

Course Outline and Method

本講義では、雇用政策を、社会保障との関わりにおいて、主に被雇用者の視点から検討する。戦後日本は「日本型雇用システム」のもとで高度経済成長を遂げてきており、その中で独自の雇用制度を発達させてきた。しかし経済や労働市場などの変化に伴い、雇用の安定性、雇用の多様性と平等性、労働時間、労働者の保護、雇用の創出、職業教育など、雇用に関わる様々な課題も出てきている。それらの現状・ 仕組みや課題を分析し、社会を支える一員して「働くということ」や「働き方」を再考する。また、キャリア形成に必要な基礎知識および多角的・批判的思考を身につけることを目標とする。さらには、雇用制度のあり方が、家庭内の男女分業、少子化、老後の生活や介護の問題なども含め、雇用政策以外の社会政策が対象とする「生活」の領域といかに密接にかかわっているかを分析する。

Student Attainment Objectives

① 労働者に一定の保護を与える労働法などを含め、雇用政策や社会保障政策の必要性がどのように発生したのか、長期的な歴史変動の視点から説明できる。
② 日本の雇用制度がどのような経済状況、労使関係、そして雇用政策を含む社会政策との関連性の下で成立したか、またその特徴はなにかを説明することができる。
③ 日本の女性労働および非正規雇用の制度的特徴と問題点を、正社員の雇用制度との深い相互関連性において理解したうえで、政策的対応のあり方を考えることができる。
④ 全体的な雇用システムおよび雇用政策のあり方が、格差社会、貧困、女性差別、少子化、過労死など、労働以外の領域も含めた様々な社会問題や個々人の「生きづらさ」とどの様に関連しているかを、俯瞰的な視点から説明することができる。
⑤ そのことと関連して、雇用政策が対象とする領域が、社会保障政策など他の社会政策が対象とする領域と複雑に関連していること、したがって特定領域に関する政策立案においても包括的・総合的な社会科学的認識が要求されることを理解できる。そのうえで、雇用制度・政策についての知識を、他の政策領域について考える時にも役立てる事が出来る。
⑥ 国際比較と歴史的な社会変動の視点を持ち、現在の日本の雇用システムの現実を「自然なもの、固定的なもの」と当然視しないで、多様な可能性の一つに過ぎない事を理解したうえで、別の可能性を探って行くことができる。
⑦ 様々な政府統計や国際機関が提供するデータに親しむことができ、データを解釈することができる。また、雇用政策を評価あるいは立案するために、どのようにデータが生かされなければならないかを理解できる。
⑧ 日本の雇用政策に関して、理論的・倫理的な違い、そして目標の違いによって対立する立場があることを理解したうえで、自分の意見や考え方を構築できる。

Recommended Preparatory Course

「現代の福祉問題」「VB特殊講義(ジェンダー学)」
(体系的な履修が望まれるため、できればこれらは先に履修しておくことが望ましい。ただし絶対条件ではない。)

Course Schedule

Lecture/Instructor(When there are multiple instructors) Theme
Keyword, References and Supplementary Information
1

授業への導入(【+R 授業】の動画と、その続き)
近代化における労働の変化と雇用政策の誕生

【+R 授業】詳細は manaba+R を参照。
労働力の商品化による労働と社会の大転換(生産/消費/再分配/家庭の誕生/ジェンダー関係/労働の質) 戦後日本における雇用関係の広がり、都市化および産業構造の歴史的変化 雇用関係の広がりと社会政策の起源

2

労働法、労使関係、労働組合

何が労働条件を決定するのか(一律および個別決定要因) 雇用に関するルールとしての労働法とその特徴(国際条約と国内法) ILO条約批准の傾向 国民・労働者の権利としての「ディーセント・ワーク」 集団的労使関係とはなにか 産業民主主義とはなにか 日本の労使関係の特徴(労働組合組織率、労働協約適用率などの国際比較) 戦後日本の労使関係の展開(闘争-妥協-制度化) 日本の労働組合の制度的特徴と問題点 雇用政策決定の政労使三者交渉原則と現実

3

日本の雇用システムと労務管理(正社員を中心に)

日本の雇用者の全体像 「内部労働市場」とは 内部労働市場の欧米との比較 「年功制」としての職能給システム 職能資格制度 査定制度の問題点 「遅い選抜」制度(「メンバーシップ型」雇用における競争) 「賃金後払い」システム 

4

雇用システムと労務管理の改変

バブル崩壊後の労務管理の方向転換 「新時代の『日本的経営』」以後の変化 成果主義 目標管理制度 リストラ 競争主義 新たな賃金・昇進制度の問題点と模索の状況(「役割・職務給」「ジョブ型雇用」など) 労働生産性と能力開発

5

女性労働①

ジェンダーの視点 生産労働・再生産労働・性別役割分業 M字型就労カーブの国際比較 育児休暇取得の現状 介護と仕事 性別職業分離と感情労働 賃金や役職における格差の実際 コース別管理 限定正社員 非正規率の男女間格差 同一価値労働同一賃金原則の欠如 女性のライフコースとL字カーブ 雇用制度と家庭の関係 「新性別役割分担」

6

女性労働②  
非正規労働①

性別役割分業と少子化 雇用政策と社会保障政策の日欧比較 「日本型福祉社会」論と社会政策 103万円、106万円、130万円の壁 平等化に向けた法整備の歴史および残された課題
非正規労働者増加の推移と男女・年齢構成 非正規雇用の類型と比率 間接雇用の問題点

7

非正規労働②  
前半の理解度確認テスト(第7回講義分までの予定)

有期雇用の問題点 偽装請負 雇止めの判例法理 キャリア展開の可能性の欠如 賃金レベルと年収 均等待遇の欠如(「同一労働同一賃金」の現実) 非正規増加の理由(「調整弁」か「置き換え」か) 「不本意」非正規 階層としての固定化 コロナ禍における「調整弁」 諸外国との比較

8

社会階層と貧困問題

所得の推移と国際比較 「格差社会化」のマクロデータ 相対的貧困率とその国際比較 ワーキングプアの比率と国際比較 貧困と独身率(少子化) 誰が貧困か 母子家庭窮状の複合的要因 最低賃金制度の国際比較 セイフティネットの穴 生活保護制度の問題点と不正受給バッシング コロナ禍における貧困と格差の拡大

9

若者の雇用問題

「就職率」関連データと推移 若年層の早期離職データ 早期離職の原因(企業規模、産業、労働時間) 若者の失業率 奨学金の問題 新規学卒者一括採用制度とその問題点 就活の国際比較 就活スケジュールの変遷 採用基準の曖昧さ(「コミュニケーション能力」ってなんだ?) 新入社員採用状況 教育から職場への接続の問題

10

労働時間①

労働時間問題の重要性 日本の法的労働時間規制とその穴 時間外割増賃金の国際比較 「過労死ライン」とは 日本の労働時間の現実(労働時間の2極化とサービス残業) 性別・年齢階級別過労死予備軍データ 長時間労働の実態と国際比較 有給休暇取得率の国際比較 過労死・過労自殺の社会問題化と労災認定の推移 長時間労働の原因

11

労働時間②
職場のトラブルと対処法①

「働き方改革」としての労働時間規制のあり方 「高度プロフェッショナル制度」と裁量労働制拡大 長時間労働が多い職種(医師、官僚、教員、運転手)
労働相談から見える職場の人権侵害 職場のいじめとパワーハラスメント(定義、現状、原因) セクシャルハラスメント(定義、現状、防止策) マタニティハラスメント(考え方と現状、類型、原因) SOGIハラスメント(考え方と類型、新たな法的規制)

12

職場のトラブルと対処法②

「退職」の類型 不当解雇テクニックの多様性(「退職勧奨」や「自己都合退職」の偽装) 解雇規制法制 内定取り消しとオワハラ ブラック企業の常套手段 ブラックバイト 身を護る手段としての労働法 労働相談制度と不平申し立て制度 さまざまな個人救済機関 

13

外国人労働者政策と高齢者雇用政策

少子高齢化による労働力人口減少のインパクトと外国人労働者の増加 在留外国人の現状 外国人労働者受け入れ体制の二重性 「サイドドア」からの受け入れ 外国人労働者への人権侵害の現状 技能実習制度代わる新制度 「外国人労働者」は「移民ではない」のか?
少子高齢化による高齢者向け社会保障費用の上昇 高齢者就業率の国際比較 就業意欲データ 雇用延長制度の現状 高齢者雇用政策の根本的問題

14

新たな状況と課題
雇用政策の現在と未来(総括) 
後半の理解度確認テスト

テレワークの現状・利点・問題点 個人事業主(UberEats 配達員など)における課題(責任の所在、労災など) 「副業解禁」の利点と問題点(労働時間管理など)
現在の日本の雇用制度の問題点の総括 「ディーセント・ワーク」の実現に向けて 雇用制度改革の福祉制度改革との関連性および全体的プラン

Class Format

対面授業14回、メディア授業0回

Recommendations for Private Study

2回のテストを節目として、レジュメとノートを基にしてこまめに復習してほしい。その時に、各回での議論の相互関連性を理解して、日本の雇用制度の全体像のイメージを創り上げていく努力をして欲しい。

Grade Evaluation Method

Kind Percentage Grading Criteria etc.
Final Examination (Written) 0

無し

Report Examination
(A report to be submitted by the unified deadline)
0

無し

Exams and/or Reports other than those stated above, and Continuous Assessment 
(Evaluation of Everyday Performance in Class)
100

*理解度の確認のために、テスト(選択式問題)を2回行う。7回目と14回目の授業後の予定。テストはManaba +Rを通して出題・解答するテイクホームエグザムの予定。割合はそれぞれが全体の30%。(2回の合計で全体の60%)
*授業の内容に関連した調査を行い、レポートにまとめて提出する。割合は全体の40%。授業の内容に関連したものであれば、テーマは自由。全体の論理構成および主張の明確さや論拠の説得性が評価基準の中心になる。主張に含まれる個人の価値判断や政治思想によってレポートの採点が左右されることはない。詳細については前半の授業で説明する。
*出欠は取らない。
*授業の進行を妨げるほどの私語がある場合、退席をお願いすると同時に平常点を大幅に減点する可能性有り。

Grade Evaluation Method (Note)

総合的な評価基準は、80~100点がA、70~79点をB、60~69点をC、60点以下を F(不合格)とする絶対評価。相対評価ではない。(つまり「Aはクラスの~%」というような分布を前もって決めたりしない。)したがって、クラスの全員がAであることも、あるいは全員Fであることも理論的には可能。他人の成績は自分の成績には影響しないので、授業内容についてクラスメイトと議論するなど、互いに協力し合って皆で良い成績を目指してほしい。
ただし、A+は受講者全体の上位10%以下に限られ、その部分だけは相対評価になる。

Advice to Students on Study and Research Methods

特別な知識は要求しないが、普段から労働や雇用政策および社会保障政策に関するニュースや新聞記事に問題意識を持って注意しておいてほしい。また、就活やインターンシップ、バイトなどの労働に関する実体験を、授業で学んでいる内容と結びつけて、自分なりに分析したり、問題点の解決のための個人的対処法や政策を考えてみるなど、実生活上の問題と社会科学的視点をつなげる努力をしてほしい。

Textbooks

Textbooks (Frequency of Use, Note)

教科書は指定せず、講義のレジュメをプリントとして配布する。

Reference Books

Title Author Publisher ISBN Code Comment
『良く分かる社会政策―雇用と社会保障―』[第3版] 石畑良太郎, 牧野富夫, 伍賀一道編著 ミネルヴァ書房 9784623085620 特に雇用政策のテーマを網羅的にカバーしている。役に立つテーマについては授業で参考にする予定。
『格差社会ニッポンで働くということ』 熊沢誠 岩波書店 9784000224789 新しい本ではないが、日本の雇用制度の根本的性格を理解するのに役立つ本。本講義では正社員の雇用制度を取り扱う上で参考にする。
『人権としてのディーセント・ワーク』 西谷敏 旬報社 9784845112074 本講義では主に諸外国の雇用制度や政策のあり方を知る上で、また今後の制度改革の方向性を論じる上で参考にする。
『労働法 第3版』 西谷敏 日本評論社 9784535524217 本講義では、労働法の基本的な考え方についての点で参考にする。(高価な本であり、ごく一部を参考にするだけなので買う必要はない。)
『働く女子の運命』 濱口桂一郎 文芸春秋 9784166610624 女性労働を論じる上で参考にする。

Reference Books (Frequency of Use, Note)

ここに挙げた参考書は、中には高価な本もあり、受講のために買う必要は特にない。授業内容をさらに深く理解するために役立つ本として、参考にしてほしい。テーマ毎に参考になる文献に関しては、授業でもさらに紹介していく。

Web Pages for Reference

政府統計の総合窓口(e-Stat) https://www.e-stat.go.jp/   
どの省庁が実施している調査でもここで探せる。(ただし、使いこなすには慣れが必要)。

独立行政法人 労働政策研究・研修機構 http://www.jil.go.jp/  
労働・雇用に関する様々な独自調査を行い、結果を公表。

ILOの統計データベース(英語) https://www.ilo.org/ilostat/   
労働に関する様々な国際比較データ。

OECD Data Explorer https://data-explorer.oecd.org/ 
雇用統計や貧困率などを含む、様々な国際比較データの入り口。(ただし、使いこなすには慣れが必要。)

法政大学大原社会問題研究所 http://oisr-org.ws.hosei.ac.jp/   
社会問題、特に労働問題に関する豊富な文献を提供。

How to Communicate with the Instructor In and Out of Class(Including Instructor Contact Information)

Learning Management System (manaba+R),Talk with Students,Other (Separate instructions will be provided)

Other Comments

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