授業科目名 年度 学期 開講曜日・時限 学部・研究科 全担当教員 単位数
17750:科学・技術と社会(GC) 2023 秋セメスター 火2 法学部,産業社会学部,国際関係学部,文学部,映像学部 兵藤 友博 2

キャンパス

衣笠

授業施設

敬学館KG108号教室

授業で利用する言語

日本語

授業の概要と方法

1)科学・技術の発達は社会の進歩に大きく貢献する一方で、さまざまな社会問題も生みだしている。そういった諸問題に対処し、科学・技術の健全な発達をはかるためには、人類が科学・技術の発達を方向付け、制御していくことが求められている。
 本講義では、1-:現代産業文明と科学技術、2-:重化学工業と大量生産方式の功罪、3-:科学・技術の軍事利用、4―:国策としての原子力開発の実態、5-:学術制度、科学・技術政策、6-:感染症が21世紀を生きる人類に問うていることなどのテーマを切り口にして、科学・技術と社会の関係、技術の確実性と安全性について検討する。また、科学者・技術者・専門家・企業などの倫理、社会的責任についても考察する。

2)履修生の皆さんは、毎回の授業内容に対応する教科書の該当箇所を学習してください。その上で授業では、授業内容のポイント、またアドバンストな内容も含めて解説を行う。そして学生の皆さんと質疑、意見など双方向に交流し、授業内容の理解を深めようと考えている。すなわち、教科書の該当箇所に示した授業内容の理解を講義のみならず、学生の皆さんとの質問・意見を交えて理解を深められるように努める。

受講生の到達目標

・産業技術の構造、その社会的な発達要因についての基本的知見を理解すること
・科学・技術の発達が社会・経済に与えた影響を理解すること
・科学・技術の軍事利用、技術の確実性と安全性についての理解を深めること
・科学・技術政策、学術体制などに関する基本的知見を理解すること
・科学者・技術者の社会的責任の重要性について自覚的に考えられるようになること

事前に履修しておくことが望まれる科目

学部の教養科目「科学と技術の歴史」を履修しておくことが望ましい。

授業スケジュール

授業回数/
担当教員(複数担当の場合)
テーマ
キーワード・文献・補足事項等
1

1-1 科学技術と社会:産業経済社会の現局面に見られる諸問題と科学的・技術的解決の可能性 ~現代文明はどのような局面にさしかかっているのか~

(1)なぜアジアはことに20世紀前半GDPシェアを減らし、欧米は拡大させたのか
(2)産業活動はこれまで地球環境にどのような負荷、歪みをもたらしたのか
(3)20世紀、ことに20世紀後半の特異性「地下資源依存型の大量生産・流通・消費」と私たちの責任

2

1-2 科学技術と社会:産業経済社会の現局面に見られる諸問題と科学的・技術的解決の可能性 ~現代文明はどのような局面にさしかかっているのか~ (その2)

(4)エネルギーの資源種は適正か、エネルギー生産・消費は果たして効率的なのか
(5)世界の火力発電技術の効率と日本における火力発電技術の改良とは
(6)地下資源の埋蔵量・可採年数と社会的規制、科学力・工学力による解決の期待

3

2-1 大量生産方式、デュアルユース型研究開発と軍需―アメリカ型技術革新―

(1)大量生産とその功罪をめぐって
(2)大量生産方式とは
(3)デュアルユース型研究開発と軍民転換
(4)軍民融合か軍民分離か

4

2-2 日本における欧米技術の導入と「高度経済成長」の功罪

(1)「高度経済成長」とGDPの成長の問題の所在―    
(2)戦後の旺盛な技術導入と技術の国産化
(3)製鉄業に見る生産の大規模化
(4)各種生産部門、流通部門の大規模化―技術の体系の波及効果―
(5)エネルギー多消費型産業としての重化学工業と地球環境問題

5

2-3 経済の国際化の進行と産業経済の今後の展開をどう考えるか

(1)変動為替相場制と生産拠点の海外展開
(2)産業構造の転換とその学説
(3)エネルギー多消費型の産業構造の世界的展開について
(4)事態の分析と改善策の事例研究 1)電力分野 2)製紙分野

6

3-1 経済不況と戦争、政府、そして軍需生産への科学・技術の動員
   ー第2次世界大戦期のアメリカの戦時経済を事例に―

(1)世界主要国の軍事費の現状
(2)なぜアメリカは軍事大国にいたる道に入ったのか
(3)企業による軍需生産と科学研究開発局による軍事的研究開発
(4)経済の軍事化による企業業績の好転の背景:膨大な戦時経済の政府予算

7

 3-2 原爆開発の現代戦に対する科学者の行動と責任―軍産学複合体の進展の中で―

(1)戦時に製造され使用された原爆のタイプ ーなぜヒロシマ、ナガサキなのか
(2)どのように原爆計画は始まったのか
 1)ドイツの隣国侵攻とドイツ原爆に先越されまいとする「抑止論」 
 2)実現可能な「超爆弾」構想と英米協定
 3)原爆製造計画実現の可能性と経済力と組織力、資源は
(3)科学者たちの原爆製造計画・原爆投下への対応
 1)主な出来事 2)科学者らしい科学的見通しに立っ行動 3)科学者の群像

8

3-3 戦後にツケを残した生物化学兵器の開発、AIDSと「ミドリ十字」の企業体質

(1)生物化学兵器禁止の国際条約について
(2)秘匿名称「満州第731部隊」と日本政府、そしてその後の「裁判」
(3)戦後、エイズ・ウイルスに汚染された血液製剤を販売した企業:ミドリ十字
(4)非加熱製剤と業績優先の「隠ぺい体質」—旧・厚生省と医学者、メーカーとの癒着構造
(5)ミドリ十字の経営路線/利益優先、安全無視の在庫減らし
(6)今日までのHIV感染者およびAIDS患者報告数の推移

9

4-1 国策としての原子力発電、その事故を振り返る

(1)東京電力福島第一発電所の事故・放射能飛散
(2)福島第一原発事故と住民避難の実態
(3)福島第一原発事故のメルトダウン・水素爆発によって飛散した放射性物質の量は
(4)世界と日本の使用済み核燃料の蓄積とその処理・保管問題

10

4-2 原発事故のリスクとその安全性を考える

(1)放射線被曝と放射線障害の概要について
(2)東電福島原発事故にともなう規制緩和とリスク規制基準
(3)原発の事故確率をどう考えるか
(4)原発稼働に当っての安全基準/新規制基準

11

5-1 科学・技術の20世紀的展開と競争政策下の世界市場の形成、軍事的覇権の常態化

(1)ヤングレポート、バブル経済崩壊後の日本の国際的指標の低下
(2)「知識基盤」強化立国策と科学技術基本法の改正と基本計画の変貌
(3)研究開発力強化法と「科学技術イノベーション政策」による産官学連携推進
(4)研究開発政策の重点化、競争化の功罪/研究力の低下、研究不正

12

5-2 「研究力劣化」を招いた競争資金政策―「研究大学」「公的研究機関」構想と財政基盤の格差

(1)科学技術指標が示す「研究力の劣化」の概況と科学技術政策
(2)欧米主要国との日本の資金政策の違い
(3)日本の科学技術関係予算の推移と学術研究環境の国内の格差構造

13

5-3 「安全保障」研究と科学・技術

(1)研究開発モデルのせめぎ合い
(2)デュアルユース型研究開発モデルと防衛計画大綱における「研究開発」
(3)学術研究型研究開発モデルの政策的推進 —日本学術会議の2017年声明
(4)日本学術会議の声明発信は功を奏したか
(5)学術の政治との相克 ―統合型イノベーション型研究開発モデルの推進

14

6-1 AIの時代の「到来」を考える

(1)AIとは何か、AIで何ができるか
(2)AIの「到来」の実相はどういうものなのだろうか。
(3)機械技術の自動化・体系化、その延長線上にあるAI
(4)自動制御技術の発達と新産業の成立
(5)生産の自動化・デジタル化の普及条件
(6)生産の自動化にともなう労働の変容と労働者
(7)AI、IoTと連携した技術システムの危険性 
(8)AIとの「共生」

15

6-2 感染症が21世紀を生きる人類に問うていること
    ――産業社会の「質」の転換が求められている

(1)社会的分業の人類史と都市化
(2)近代産業革命とその後の重化学工業化
(3)産業構造の転換と人口の都市集積、インバウンド効果とコロナ禍
(4)資源採掘の大規模化と地球的自然の壊変、そして感染症―野生種と家畜品種
(5)自然との間合いと産業社会の「質」の転換

授業実施形態

BCP停止の場合は、BCPレベル0~2の記載どおりに授業が行われます。
During the suspension period of BCP, classes will be as described in BCP levels 0-2.

1)授業は、基本的に対面授業を行なうが、Webライブ型の遠隔講義を行なうこともある。BCPレベル1~2の場合は、対面授業を行う。BCPレベル3~4の場合は、基本的にWeb(ライブ型)での実施となる。どの授業形態になるかは、どちらにしてもmanaba+Rのコースニュースにて連絡する。Web(ライブ型)授業を行なう場合のZOOMのID等は、当該授業の時間割の開始時間前にコースニュースにて連絡する。
2)履修生のみなさんは、上記の「授業の概要と方法」でも示したように、毎回の授業内容に対応する教科書の該当箇所(コースニュースで指示する)の学習を行ってください。また、各授業回の関連情報、授業レポートの課題等については必要に応じてmanaba+Rでお知らせする。
3)その上で、時間割にしたがった時間帯に、対面授業の場合は指定された教室で、またはWeb授業(ライブ型:ZOOM利用)を行う。授業では、先に記したように、教科書の該当箇所のエッセンス、アドバンストな事柄を取り上げ解説する。そして、履修生のみなさんの質問・意見を、対面授業の場合は口頭での発言によっての交流で授業内容の理解を図ると共に、コミュニケーションペーパー等を活用し、授業時間内に教室において集約する。またWebを利用した遠隔講義の場合は、授業時間内にzoomシステム上において集約し、授業内容の理解が深められるように努める。
 なお、授業時間外の質問、意見は、manaba+Rの掲示板で交流し理解を深める。
4)既往症等の健康状態、国外から受講する等で、対面授業に参加が困難な学生について、授業をレコーディングしたオンデマンド配信の配慮を行う。オンデマンド配信のURL等は各回の授業の後日に、mabana+Rのコースニュースにて案内する。

授業外学習の指示

1.各回の授業テーマの基本的枠組みについて理解をおこない、具体的な事例について自分で調べ、整理しておくことが望ましい。
2.理解をより深めるためには、科目内容に関連する文献や新聞の関連記事を読んだり、テレビ放送で放映される産業技術関連の番組を視聴することを望む。またその他の文献も読みたい学生は直接尋ねてほしい。

成績評価方法

種別 割合(%) 評価基準等
定期試験(筆記)

レポート試験
(統一締切日を締切とするレポート)

上記以外の試験・レポート、平常点評価
(日常的な授業における取組状況の評価)
100

基本的に、manaba+Rの[レポート]に提出された授業レポートなどの提出状況や出来具合、加えて、コースニュース教材へのアクセスの状況や、授業内容にかかわる質問・意見、掲示板へのスレッド投稿などの取組み等も考慮し、総合的に評価する。

成績評価方法(備考)

授業レポートは随時(おおすじ授業4回に1回程度の割合で)おこなう。課されたレポートはmanaba+Rのレポートにアクセスして指定された日限までに提出する。指定された日限を越えての提出、また再提出は認められないので注意してください。

受講および研究に関するアドバイス

 将来の社会人、すなわち市民ならびに様々な職業人として、後者の場合は自らの専門性を社会でどのように活用するのかを考える素材、場となるように、本科目を利用していただきたい。

教科書

書名 著者 出版社 ISBNコード 備考
現代産業社会の展開と科学・技術・政策 ―人類社会形成の新しい時代に向けて― 兵藤友博 晃洋書房 9784771037908

教科書(使用頻度、その他補足)

上記のテキストは9月20日頃に大学生協の店頭に並ぶ予定です。

参考書

書名 著者 出版社 ISBNコード 備考
揺籃の実験科学 兵藤友博 ムイスリ出版 978-4-89641-314-4
科学・技術と社会を考える 兵藤友博編著 ムイスリ出版 978-4-89641-190-4
科学技術史概論 山崎俊雄ほか共編 オーム社
科学の社会的機能 J・D・バナール著/坂田昌一ほか訳 勁草書房
新版 自然科学概論 加藤邦興・慈道裕治、山崎正勝編著 青木書店 4-250-91016-4
戦後日本科学者運動史 大沼正則・藤井陽一郎・加藤邦興著 青木書店

参考書(使用頻度、その他補足)

その他、参考になる文献等については講義中に推薦する。

参考になるwwwページ

この科目は、教養教育における6つの科目群のうち、「立命館科目」に位置付けられています。詳しくは、http://www.ritsumei.ac.jp/liberalarts/course/course-r.html/

授業内外における学生・教員間のコミュニケーションの方法

manaba+R,学生との直接対話,その他(教員より別途指示)

備考

E-mailアドレス:hyodot@ba.ritsumei.ac.jp
【科目ナンバリング・カリキュラムマップはこちらから/Click here to see the Curriculum-Map and Course-Numbering】
URL:https://secure.ritsumei.ac.jp/students/pathways-future/course/curriculum.html/