授業科目名 年度 学期 開講曜日・時限 学部・研究科 全担当教員 単位数
16087:IR18‐HJ301 専門演習(61) § 16088:IR-GR301 専門演習(61) 2022 春セメスター 月5 国際関係学部 本山 央子 2

キャンパス

衣笠

授業施設

諒友館RY207号教室

授業で利用する言語

日本語

授業の概要と方法

学問として「ジェンダー」という用語を用いる時には大きく分けて二つの意味で用いられます。一つ目の意味とは、性別に関わる構造化された格差です。雇用における性別差別、議員数における性別間不均衡、家庭内暴力、あるいは性的マイノリティの権利といった問題は、「ジェンダーイシュー(ジェンダー的課題)」と呼ばれることがあり、この時使われる「ジェンダー」が指しているのが、性別に関わる構造化された格差です。二つ目の意味とは、格差を問う、という物の見方(視角)です。物事を学術的に分析する際に用いる視点としての、ジェンダー視座、あるいはジェンダー視点、と言われる場合には、こちらの意味で用いられます。ここで問う格差は、性別に関わるものだけでなく、経済状態、人種、宗教、国籍といったありとあらゆる格差を含みます。学問分野としての「ジェンダー学」は、この二つの両方を包括するものとして発展してきました。むしろ、一つ目に挙げた性別に関わる格差を考える中で発展し、重視されるようになったのが二つ目の視座としての「ジェンダー」だ、といった方が正確かもしれません。
 このゼミでは、現代社会に見られる性別に関わる格差を検討するのはもちろんのことながら、格差を問う視点という二つ目の意味の「ジェンダー」を意識しながら現代社会の諸問題を考えます。格差は、私たちが考えるより多くのできごとに、外から見えやすい形を取らずに埋め込まれているものです。私たちは多くの場において、そうした格差を、当たり前で、当然のものとみなす、差別をする側の「強者の論理」を社会的に正しいものとして学んでいます。格差は、私たちが前提としている社会構造に組み込まれているものであるだけに、同じ社会構造を基盤とする「常識」から物事を眺めても、格差を見ることはできません。そこにあるのが当然なものにあえて注意を払うことしないのは当たり前でしょう。そのため、構造化された格差を見るためには自分自身のこれまでの当たり前を離れる必要があります。その方法としてジェンダー学では、社会一般に広く流通する「強者の論理」だけでなく、自分自身で差別される側の「弱者の論理」を見出す訓練をします。ジェンダー学を学べば、世界の見え方は大きく変わってくるでしょう。
 この訓練のことを、ジェンダー学では、個々人の経験や体験に基づく批判的思考の重視ということがあります。学問として、それを学ぶ一人ひとりの個性と関心の持ち方に大きな比重が与えられているのです。そのため、各自の研究テーマは自ら関心があるものを選んでください。それぞれのテーマについての発表、討論、応答を通じて、自分自身との関係の中で、研究テーマを深め、これまでに言われてきたのではない、自分なりの物事の解釈を発展させていきましょう。

2022年度は、鳥山が学外研究に従事するため、代理の講師が担当します。

受講生の到達目標

ジェンダーという概念とそれが拠って立つ理念を理解する
ジェンダー視座を用いて、物事を批判的に検討できるようになる
ジェンダーという視座から私たちが生きる現代社会の問題を考えられるようになる

事前に履修しておくことが望まれる科目

ジェンダー論 /Introduction to Gender Studies

授業スケジュール

授業回数/
担当教員(複数担当の場合)
テーマ
キーワード・文献・補足事項等
1~15

ゼミの運営方法

3回生前期:文献研究(輪読、文献表の作成)、テーマ設定
3回生後期:各自のテーマについての調査報告、討論
4回生前期:各自のテーマについての分析、論文構成についての発表、討論
4回生後期:各自のテーマについての論文報告、討論

授業実施形態

BCPレベルに応じて教員から説明します

授業外学習の指示

課題文献を指示しますので、必ず精読をお願いします。授業時間は議論にあてるため、文献の内容紹介は行いません。担当発表になった場合には、レジュメの作成をお願いします。
質問、相談がある場合には、担当教員に積極的に質問し、助言をもとめてください。

成績評価方法

種別 割合(%) 評価基準等
定期試験(筆記)

レポート試験
(統一締切日を締切とするレポート)
40

タームペーパー

上記以外の試験・レポート、平常点評価
(日常的な授業における取組状況の評価)
60

プレゼンテーション30%、授業への貢献30%を目安に評価します

成績評価方法(備考)

受講および研究に関するアドバイス

新聞、テレビ、インターネット、書籍でアクセスできる、既存の情報に不満を感じてください。不満を感じるためには、その情報とは違った価値基準が必要になります。何に不満を感じるのか、それが何に基づくものなのか、どうすればそれを解消できるのか、常に考える姿勢を養ってください。

教科書

教科書(使用頻度、その他補足)

特に指定しません

参考書

書名 著者 出版社 ISBNコード 備考
政治学の批判的構想 ジェンダーからの接近 衛藤幹子 法政大学出版局 4588625357
他者の苦しみへの責任 ソーシャルサファリングを知る A.クラインマン他 みすず書房 462207592X
ジェンダーにおける「承認」と「再分配」 格差、文化、イスラーム 越智博美、河野真太郎編著 彩流社 4779120810

参考書(使用頻度、その他補足)

参考になるwwwページ

授業内外における学生・教員間のコミュニケーションの方法

学生との直接対話,その他(教員より別途指示)

備考

【科目ナンバリング・カリキュラムマップはこちらから/Click here to see the Curriculum-Map and Course-Numbering】
URL:http://www.ritsumei.ac.jp//students/pathways-future/course/curriculum.html