授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科 | 全担当教員 | 単位数 |
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10334:比較家族論(S) | 2019 | 秋セメスター | 金4 | 産業社会学部 | 村上 潔 | 2 |
キャンパス
授業施設
授業で利用する言語
授業の概要と方法
本授業は、「マザリング[Mothering]の現在――をめぐる議論と実践の動向」をテーマとする。
イギリス・アメリカなど諸外国において、
(1)革新的かつ自律的な「母」・「母性」規定
(2)ラディカルな共同保育実践
(3)オルタナティブなケアの体系構築
が、いかように構想され・模索され・取り組まれ・共有され・問題化されてきた/いるのかを確認し、日本の歴史・現状と比較することを通して、家族・育児・ケア・労働・再生産・コミュニティ(共同性)・ジェンダー・セクシュアリティに関する新たな/オルタナティブな/本質的かつ内在的な知見を得ることを目的とする。
その際、第2波フェミニズム/第3波フェミニズム、新自由主義以前/以後、といった歴史的な比較の観点と、歴史的な流れにともなう思想・実践・運動の変容過程/実態、という観点を導入する。よって、この授業では、①歴史的、②地域的、③思想・実践・運動的、な意味での「比較」検証を展開していくことになる。
そして最終的には、私たちが前提としている「家族」のありかたならびにその機能・役割を批判的に捉え直し、状況の変革に向けた何らかの実践を模索していく視座を獲得することを目標とする。
■方法
授業方法としては、最新の英語文献各種の検討を中心とするが、比較対照の目的から、最新の日本語文献も検討対象とする。文献講読の形式ではなく、各回のテーマに応じた文献の要点ならびにそこから引き出し/敷衍しうる問題点を担当教員がまとめ、提示する。受講生がリアリティをもって各論点に向き合えるよう、具体的な事例の紹介も交えつつ講義を進めていく。
■参考――扱うこと・扱わないこと
以下に、本授業で扱う内容・扱わない内容をキーワードで列挙する。受講を決める際の参考にしてほしい。
◆扱うこと
①資本主義と性(ジェンダー/セクシュアリティ)
②家父長制[Patriarchy]
③性役割[Gender Role]
④労働/再生産労働[Reproductive Labor]
⑤身体性[Embodiment]
⑥人種・階級[Race/Class]
⑦ケア[Care]の社会化/民主化
⑧第2波フェミニズム・第3波フェミニズム
⑨エコフェミニズム[Ecofeminism]
⑩アナキズム[Anarchism]
◆扱わない――もしくは批判的に扱う――こと
①少子化対策
②子育て支援
③待機児童問題
④「保活」・「ママ活」
⑤「イクメン」
⑥「女性活躍」
⑦「ワーク・ライフ・バランス[Work-life Balance]」
⑧福祉政策[Welfare Policy]
⑨生殖医療[Reproductive Medicine]
⑩リベラル・フェミニズム[Liberal Feminism]
受講生の到達目標
◇授業内容の理解を通して、授業テーマに関する自らの問題意識を形成する。
◇自らが従来無条件に前提としていた「家族/母性/育児」などに関するイメージを、批判的に相対化する。
◇オルタナティブかつ抵抗的な育児/ケア/コミュニティ形成の実践を、主体的(・共同的)に構想する。
◇①授業を通して得られた知見、②それに連関する自らの問題意識、③ならびに実践的な模索の内容(構想)、の3要素すべてを、自身の言葉で整理し表現できる段階に到達する。
事前に履修しておくことが望まれる科目
授業スケジュール
授業回数/ 担当教員(複数担当の場合) |
テーマ |
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キーワード・文献・補足事項等 | |
1 | オリエンテーション |
◇担当教員紹介
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2 | なぜいま「マザリング」なのか |
「マザリング」・「母/母性」・「産むこと・育てること」について――全般的な前提の説明
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3 | フェミニズムと母性 |
フェミニズムは「母性」をどう位置づけてきたか/いるか――総論
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4 | 資本主義と性(1) |
資本主義は女性が「産む」こと/「母」になること/「母」という役割を果たすことに対し、どう(身体的・社会的)影響を及ぼしてきたか。
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5 | 資本主義と性(2) |
資本主義は女性が「産む」こと/「母」になること/「母」という役割を果たすことに対し、どう(身体的・社会的)影響を及ぼしてきたか。
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6 | 第2波フェミニズムと「母」なるもの(1) |
第2波フェミニズムは「母」・「家族」をどのように問題化し、運動を展開したか。
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7 | 第2波フェミニズムと「母」なるもの(2) |
第2波フェミニズムは「母」・「家族」をどのように問題化し、運動を展開したか。
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8 | 第3波フェミニズムと「母」なるもの |
第3波フェミニズムは「母性」をめぐる問題とどう向き合ってきたか
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9 | 現在の日本における「母/母性」の問題化 |
現在の日本において「母/母性」はどう問題化されているか
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10 | マザリングの最前線(1) |
いま世界ではどのようなマザリングをめぐる思想・議論が展開されているのか
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11 | マザリングの最前線(2) |
いま世界ではどのようなマザリングをめぐる実践・運動が展開されているのか
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12 | 新自由主義とマザリング――抑圧と困難 |
新自由主義はマザリングにいかなる影響を及ぼしているのか
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13 | 新自由主義とケア――抑圧と困難 |
新自由主義はケアにいかなる影響を及ぼしているのか
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14 | ケアの民主化に向けて――家族の枠を越えた戦略/抵抗としてのケア |
ケアの社会化/民主化はどのように目指され・取り組まれているのか
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15 | エピローグ――全体の総括 |
◇第2波フェミニズムが残したもの――現在的意義と課題
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授業実施形態
授業外学習の指示
◇授業で言及された記事・書籍・映画・芸術作品などを積極的に読み・鑑賞すること。
成績評価方法
種別 | 割合(%) | 評価基準等 |
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定期試験(筆記) | 100 | 講義内容の理解度と到達目標の達成度を測る筆記試験により、評価を決定する。 |
レポート試験 (統一締切日を締切とするレポート) |
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上記以外の試験・レポート、平常点評価 (日常的な授業における取組状況の評価) |
成績評価方法(備考)
受講および研究に関するアドバイス
教科書
教科書(使用頻度、その他補足)
参考書
参考書(使用頻度、その他補足)
参考になるwwwページ
【2019/09/25追記:授業用WebページURL→http://www.arsvi.com/d/2019cafs.htm】