授業科目名 年度 学期 開講曜日・時限 学部・研究科 全担当教員 単位数
14641:東洋史概論Ⅲ(L) 2020 秋セメスター 火3 文学部 牛根 靖裕 2

キャンパス

衣笠

授業施設

研心館KE302号教室

授業で利用する言語

日本語

授業の概要と方法

〈講義テーマ:10世紀〜14世紀のユーラシア東方史〉(オンライン授業)
 本講義は、10世紀〜14世紀のユーラシア東方の歴史について概説する。五代十国時代から元朝時代までの中国史を中心に、中央ユーラシア史、海域アジア史等との関わりも視野に入れつつ概観する。
 中国では唐末宋初の頃から商業都市である市鎮や村落において、流通の発達、産業の分業化によって物流経済の発展が著しく、江南の開発とともに経済の重心は南に移るものの、政治・軍事の中心は黄河流域あるいは北京にあったため、両者を連結する交通・漕運が国家における重要性を帯びるようになっていった、大きな変化の時代でもある。
 一方、唐が衰退した後のユーラシア東方では、長く中国の国家体制の中心だった華北の外の各地、とりわけ長江中下流域や南シナ海沿海地域、そして大興安嶺山脈周辺の諸集団が自立を果たし、独自の国家・文化・経済圏を築き、そして自らの歴史を文字で記した時代である。
 現代にも通じるアジア各地の「伝統社会」が成立するすこし前のユーラシア東方社会がどのような歴史的変遷を経たのか、その特徴とはどのようなものであったのかを、具体的な歴史事象の学習を通じて考えていきたい。

〈授業の実施形態〉
 授業はオンラインでの講義型式で行ないます。各回の授業時に OneDrive 上に講義資料[講義レジュメ(PDF)、スライド(PDF)、音声付スライド動画、音声ファイル等]をアップデートして、共有リンクを manaba +R の「コースニュース」に掲示します。
 受講生は立命館大学のアカウントにサインインして、各回の講義資料を閲覧してください。スライド動画・音声ファイルを視聴する際は、講義レジュメを印字するか、PCやタブレットのモニターに表示して、適宜参照しながら視聴することを推奨します。
 授業期間中に複数回の小レポートを出題します。
 授業内容への質問・意見に関しては、毎回の授業の出席カードに記入して提出するか、manaba +R の本授業の掲示板に記入してください。その中で、授業内容に深く係わるもの、特徴的なものについては、次々回の授業冒頭で取り上げ、回答や補足説明を行ないたいと考えています。

受講生の到達目標

(1)中国を中心とする東アジアの近世(10世紀〜14世紀)の歴史展開を理解し、それを説明することができる。
(2)東アジア各地の関係の変遷について理解し、それを説明することができる。
(3)歴史上の事象が、東アジア各地の現代社会とどのように関連しているのか、自ら批判的に考察し、それを説明することができる。

事前に履修しておくことが望まれる科目

東洋史概論Ⅰ・Ⅱ

授業スケジュール

授業回数/
担当教員(複数担当の場合)
テーマ
キーワード・文献・補足事項等
第1回

導入:〈唐宋変革〉と〈征服王朝論〉

前田直典/内藤湖南/K. A. Wittfogel/田村實造/本田實信/農耕社会/遊牧社会

第2回

五代十国諸政権と契丹

沙陀/五代十国/江南開発/契丹/遼/契丹文字/高麗

第3回

北宋の中国統一と「澶淵の盟」

宋/趙匡胤/藩鎮/禁軍/中央集権化/〔遼〕聖宗/〔北宋〕真宗/「澶淵の盟」

第4回

11世紀東アジアの多極化

〔遼〕道宗/科挙/士大夫/〔北宋〕神宗/王安石/新法/党争/西夏

第5回

金(女真)の覇権と宋の南遷

女真/猛安・謀克/「靖康の変」/南宋/カラ=キタイ(西遼)/江南開発/女真文字

第6回

西夏の繁栄と「河西」の歴史的位置

党項(タングート)/河西回廊/キャラバン交易/西夏文字/敦煌

第7回

11世紀〜12世紀の文化史

木版出版文化/理学/『資治通鑑』/本草学/水運・海運業/磁器(瓷器)/茶

第8回

モンゴルの衝撃と金・西夏の滅亡

チンギス=カン/〔金〕世宗・章宗/千戸制/分封制

第9回

モンゴルの拡大と統治

オゴデイ/カラコルム/駅伝(駅逓)/投下/ダルガチ/ケシク/「乙未年籍」/モンケ

第10回

元の誕生と南宋の滅亡

クビライ/アリクブケ/史彌遠/賈似道/大都/上都/パスパ文字

第11回

モンゴル諸政権の躍動

ジョチ=ウルス/フレグ=ウルス/「カイドゥの国」/チャガタイ=ウルス/「ナヤンの乱」/「Pax Mongolica」/『集史』

第12回

14世紀前半の気候変動と政治の混迷

アユルバルワダ(仁宗)/科挙の再開/「天暦の乱」/トクテムル(文宗)/『経世大典』/『モンゴル秘史』

第13回

元朝治下の東アジアの社会経済

行中書省/「路」と州・県/「四身分制」/銀/塩/日元交流

第14回

元代の宗教と文化

道教/禅宗/チベット仏教/イスラーム/青花(染付)/海運/運河/「混一疆理歴代国都之図」

第15回

元明交代とポスト=モンゴル時代

トゴンテムル(恵宗/順帝)/「紅巾の乱」/張士誠/朱元璋/探馬赤/ココテムル/明/北元/ティムール

授業実施形態

授業外学習の指示

 各回のレジュメを見直しつつ、参考文献欄に挙げた書籍や、講義中に紹介する関連文献を積極的に読んでもらいたい。
 また予備知識として、手元に中学歴史、高校世界史の教科書、アジア史の概説書があれば、当該時期のところを通読しておくことを勧める。

成績評価方法

種別 割合(%) 評価基準等
定期試験(筆記)

レポート試験
(統一締切日を締切とするレポート)
60

授業内容に基づいたレポートを課す。

上記以外の試験・レポート、平常点評価
(日常的な授業における取組状況の評価)
40

受講生は、各単元の終了時に配布されるコミュニケーションペーパーに、教員が出す設問への回答や授業内容に対して自身が考えた意見(400字程度)の提出を求める。コミュニケーションペーパーの提出状況や内容を評価する。

成績評価方法(備考)

 出席管理は manaba+R にて行なう。3分の2以上の授業への出席が認められない場合は成績評価の対象とはしない。教育実習など止むを得ない事情により欠席する場合は、必ず事前に担当教員に申し出ること。
 なお、私語や携帯電話の操作など、真面目に学習する受講生の迷惑なる行為は、目に余るようであれば「欠席」扱いとする。

 ※ 提出する文章に関して、全文・部分を問わず引用する際は必ず書籍やwebページなどの典拠を明記して、引用部分を明示すること。典拠を示さずに引用した場合は、剽窃とみなして対応する。

受講および研究に関するアドバイス

 講義内で紹介する様々な歴史事象について、その要因、経緯、影響等について、これまでに明らかになっていることについて、どのような資料による考察結果なのかを意識しつつ、「歴史学」の手法や研究史について触れてもらいたい。

教科書

教科書(使用頻度、その他補足)

講師が作成した資料を適宜配布します。

参考書

書名 著者 出版社 ISBNコード 備考
『ビジュアル版世界の歴史 10 草原とオアシス』 山田信夫 講談社 4061885103
『アジアの歴史と文化 3 近世I』 竺沙雅章[監修・編集] 同朋舎 4810408566
『アジアの歴史と文化 7 北アジア史』 竺沙雅章[監修]・若松寛[編] 同朋舎 4810408604
『世界の歴史 7 宋と中央ユーラシア』 伊原弘・梅村坦 中央公論社 9784122049970
『世界の歴史 9 大モンゴルの時代』 杉山正明・北川誠一 中央公論社 9784122050440
『中国経済史』 岡本隆司[編] 名古屋大学出版会 9784815807511
『概説中国史 下 近世−近現代』 冨谷至・森田憲司[編] 昭和堂 9784812215173
『岩波講座世界歴史 9 中華の分裂と再生:3-13世紀』 妹尾達彦 ほか 岩波書店 4000108298
『岩波講座世界歴史 11 中央ユーラシアの統合:9-16世紀』 杉山正明 ほか 岩波書店 400010831X
『中国史 3 五代-元』 松丸道雄[編] 山川出版社 4634461706

参考書(使用頻度、その他補足)

そのほかの参考書や工具書は授業中に随時紹介します。

参考になるwwwページ

授業内外における学生・教員間のコミュニケーションの方法

manaba+R,その他(教員より別途指示)

備考

【科目ナンバリング・カリキュラムマップはこちらから/Click here to see the Curriculum-Map and Course-Numbering】
URL:http://www.ritsumei.ac.jp//students/pathways-future/course/curriculum.html