授業科目名 年度 学期 開講曜日・時限 学部・研究科 全担当教員 単位数
14639:東洋史概論Ⅰ(L) 2020 秋セメスター 水4 文学部 谷 秀樹 2

キャンパス

衣笠

授業施設

明学館MG401号教室

授業で利用する言語

日本語

授業の概要と方法

 本講義はWEB講義形式で行い、中華帝国の原型式が形成される混迷の時期である「先秦時代」及び秦帝国の諸相について概観していく。先秦時代に関する系統的記述を初めてまとまった形で示したのは漢代の『史記』であったが、本書は当該期が終焉を迎えた約100年後に纂述された“編纂物”であって、同時代史料のような再現性を期待することはもとより危険であり、史実の誤認や妄説、更には漢王朝に迎合した正統観に基づく潤色が散りばめられている。
 それ故本講義では、一旦後世の正史による記述を等閑に付し、同時代史料に軸足を置いて再構成していくという手法をとる。
 おそらく本講義の受講生は、先秦時代の実相と『史記』等の既成の史書(または高等学校で使用していた『世界史』教科書)との内容の乖離に驚くことも少なくないであろう。

 なお、manaba+R上で提出する課題定期レポート(中レポート1回、大レポート1回)については、各々受理後に個別講評及び全体講評を行う。

受講生の到達目標

●中国の先秦時代(殷・周・春秋・戦国)の実相について、最新のデータをふまえて説明することが出来る。
●中国の先秦時代の同時代史料(甲骨文、金文、簡牘)に対する理解を深めることが出来る。
●中国の先秦時代に関する、高等学校『世界史』の内容の誤謬を指摘することが出来る。

事前に履修しておくことが望まれる科目

授業スケジュール

授業回数/
担当教員(複数担当の場合)
テーマ
キーワード・文献・補足事項等
第1回

中国古代史研究の視点〔―長期持続の歴史学について―〕

●ブローデルと「長期持続」;「構造史」の概念
●中国史における長期持続事例〔歴代王朝の東西対立構造〕
●中国史における構造断絶事例〔第一次南北朝時代と第二次南北朝時代〕

第2回

中国の新石器時代

●仰韶文化期の諸文化
●竜山文化期の諸文化

第3回

初期王朝〔二里頭文化・夏〕

●二里頭文化
●伝説の王朝「夏」
●現代中華人民共和国政府と古代史編纂の関連性

第4回

殷(1)

●先商文化
●二里岡文化
●遷徙期の殷王朝

第5回

殷(2)

●初期の殷王朝研究と疑古派・釈古派
●殷墟期の概観
●殷王朝と同時期の諸文化

第6回

西周(1)

●先周文化
●西周前期政治史

第7回

西周(2)

●西周「中期改革」の諸相
●西周後期政治史

第8回

中国古代史の史料(1)〔殷周期〕

●甲骨史料〔占卜方式の変化と、殷王朝支配体制との対応関係〕
●青銅器史料〔器種・文様の変化と、西周王朝支配体制との対応関係〕
●金文史料〔賞賜金文から冊命金文への変化と、西周王朝支配体制との対応関係〕
●清華簡『繋年』

第9回

春秋時代(1)

●周王室の東遷期
●春秋前期政治史〔斉覇の出現から晋覇への移行過程、楚の台頭〕

第10回

春秋時代(2)

●春秋中期政治史〔晋覇・楚覇の両覇者体制確立期〕
●春秋後期政治史〔晋覇・楚覇の解体と呉越の台頭〕

第11回

戦国時代(1)

●戦国前期政治史〔三晋の形成と魏の覇権樹立〕
●戦国中期政治史〔秦・斉の台頭と「西帝」・「東帝」及び七国称王〕

第12回

戦国時代(2)

●東周王朝と戦国時代〔「天下の共主」と「覇王」体制:兄弟国関係〕
●戦国後期政治史〔秦の覇権形成と唯一の「帝」〕

第13回

中国古代史の史料(2)〔春秋・戦国期〕

●『春秋左氏伝』、『国語』、『春秋事語』
●『戦国策』、『竹書紀年』、『戦国縦横家書』
●諸子百家諸文献
●戦国簡牘史料

第14回

●西周・春秋時代の秦史
●戦国秦王国の国家構造〔内臣邦・外臣邦〕
●秦帝国の統一政策

第15回

楚漢戦争から漢帝国への道程

●楚の「覇王」体制と漢帝国
●漢帝国の郡国制と「東帝」:呉楚七国の乱
●漢帝国の内臣・外臣構造と兄弟国関係

授業実施形態

授業外学習の指示

 受講前に必ず中国史に関する簡単な概説書(「参考書」欄に呈示している文献等)に目を通しておくこと。特に高等学校時代に教科の『世界史』を十分に勉強していなかった者については、復習のつもりで教科書及び資料集を見直しておくように。
 講義は、高等学校までの基礎知識を前提に進める(全くの初心者に対するような説明は省略する)ので、その辺りは自助努力で備えるように心掛けてもらいたい。

成績評価方法

種別 割合(%) 評価基準等
定期試験(筆記)

レポート試験
(統一締切日を締切とするレポート)

上記以外の試験・レポート、平常点評価
(日常的な授業における取組状況の評価)
100

 中レポートを1回、大レポートを1回実施する。出題はmanaba+R上で行い、提出受付もmanaba+Rで行う。中レポートは40点配点、大レポートは60点配点で合計点数を算出する。詳細については、manaba+Rのコースニュースで随時公示していく。出題する該当範囲の理解度及び文章作成能力を基準として成績評価を行う。

成績評価方法(備考)

 教材(講義レジュメ)の配布及び授業動画の配信は計15回行う。15回の教材ダウンロード履歴がいわば講義の出席確認になるので、必ず自分でダウンロードして閲覧記録を残すようにしてほしい。

受講および研究に関するアドバイス

 教材配布,動画配信や学習指示等はmanaba+R上で定期的に行っていくが、配信開始日は講義日に限らないので、日常的にmanaba+Rの配信情況をチェックしておくようにしてほしい(各配信項目の配信期間は3日間以上を設定する)。なお、課題レポートについては、出題から受付開始まで1週間くらいの期間を設定し、受付開始から締め切りまでは4日間くらいの期間を設定する予定である。

教科書

教科書(使用頻度、その他補足)

講義レジュメをmanaba+R上で計15回配信する。

参考書

書名 著者 出版社 ISBNコード 備考
神話から歴史へ 宮本一夫 講談社 4062740516
夏王朝 岡村秀典 講談社 9784061598294
古代中国 貝塚茂樹・伊藤道治 講談社 4061594192
ファーストエンペラーの遺産 鶴間和幸 講談社 4062740532
概説中国史(上) 冨谷至・森田憲司編 昭和堂 9784812215166

参考書(使用頻度、その他補足)

参考になるwwwページ

授業内外における学生・教員間のコミュニケーションの方法

manaba+R

備考

【科目ナンバリング・カリキュラムマップはこちらから/Click here to see the Curriculum-Map and Course-Numbering】
URL:http://www.ritsumei.ac.jp//students/pathways-future/course/curriculum.html