授業科目名 年度 学期 開講曜日・時限 学部・研究科 全担当教員 単位数
32665:[2025 春セメスター]相対論と量子論の世界(T2) § 32666:相対論と量子論の世界 (T1) 2025 春セメスター 水2 理工学部 藪 博之 2

キャンパス

BKC

授業施設

コラーニングⅠ 402号教室

授業で利用する言語

日本語

授業の概要と方法

本講義では物理を理解する上で重要な相対論と量子論について入門的に述べる。
科学においては実験観測によって確かめられたことのみが真実であるし、すべての知識は実験的に確かめられねばならない。それが科学の定義でさえある。Newton力学に代表されるそれ以前の物理では、空間・時間・物体などの基本的な部分を日常的な直感にたよっており、それらは観測によって確かめられることなく正しいと仮定されていた。20世紀に入り、光速度一定の法則が発見され、電磁気現象とNewton力学との不一致が明らかとなった。これを説明するため、EinsteinはNewton力学において仮定されていた時間・空間の考え方が観測と一致しないことを明らかにした。観測に基づく時間・空間概念を用いて作り上げられたのが特殊相対性理論である。また、熱現象と統計力学との矛盾から原子のようなミクロな世界の運動では粒子の位置や速度という概念そのものが変更されることになった。この理論も形式としては力学の形式に基づいているため、量子力学(quantum mechanics)とよばれる。Newton力学は精度の高い観測結果によって、その基本的な仮定の問題点が明らかとなり、修正されたのである。原子、原子核、素粒子といったミクロな世界の物理はいうまでもなく、物質の基本的な性質はもちろん天体や宇宙の構造が、相対論と量子論によって明らかになって行った。これはそれ以前の物理では理解不能であったのである。現代においては相対論や量子論が技術的に応用されており、それは我々の日常におよんでいる。原子や分子の量子論によって作動している原子時計は3000万年に1秒の驚異的な精度をもち相対論的な時間のおくれといった効果を補正しているが、我々はそれを電波時計という形で家庭にとりこみ、またGPSという形でnavigation systemや測量に利用しているのである。驚くべき科学技術の発展である。そして我々はすでにそういう時代に生きているのである。
この講義により皆さんが相対論と量子論について興味をもち、より進んだ理解をえるための出発点となることを希望します。

受講生の到達目標

1)現代物理学における時間空間の考え方を理解し、特殊相対性理論におけるローレンツ収縮, 時間のおくれ, 同時刻性の破れといった基本的なことがらおよび波動や質点の力学について理解するとともに、光のドップラー効果や質量とエネルギーの等価性など簡単な運用ができるようにする。2)量子論の基礎となる光の粒子性と電子の波動性に関する代表的な現象を学び不確定性関係を理解する。それらの現象を記述するために現れる、観測量と不確定性関係,粒子性と波動性の関係,確率解釈, 相補性といった物理的な考え方を理解し、簡単な運用ができるようにする。

事前に履修しておくことが望まれる科目

力学1-2, 物理数学1の単位を取得している、あるいは相当の知識を有していることが望まれる。

授業スケジュール

授業回数/
担当教員(複数担当の場合)
テーマ
キーワード・文献・補足事項等
-

+R授業

補足的内容をPaboptoを用いて配信し、授業開講期間中は随時見れるようにする。

A1章:特殊相対性理論の物理的基礎

特殊相対性理論の基本的な仮定、並進座標系とLorentz変換、Lorentz変換の物理的意味、時空の不変計量、Wignerブースト

A2章:Lorentz 群とその構造

Lorentz群、Lorentz群の分類

A3章:Minkowski 空間と絶対時空

Minkowski空間、Minkowski空間の座標変換

A4章:特殊相対論的運動学

速度の変換、光行差、相対論と波動、

A5章:相対論的質点の力学

粒子の相対論的運動方程式、粒子のエネルギー、力学の共変形式

B1章:光の粒子性---光は粒子だった---

波動、光の波動性、光電効果、Einsteinの光量子仮説、Planck定数、Compton散乱、Youngの干渉実験、光子における粒子性と波動性、不確定性原理

B2章:電子の波動性

電子、電子の波動性、電子の運動の不確定性

B3章:不確定性関係の応用

調和振動子への不確定性関係の応用、水素原子への不確定性関係の応用

B3章:確率振幅

電子によるYoungの干渉実験、確率振幅、確率振幅による干渉実験の解析、電子のスリット通過を観測する干渉実験、確率振幅の規則

B4章:波動関数とSchr\"odinger方程式

波動関数、Schr\"odinger方程式

付録:Heisenbergの顕微鏡による不確定性関係の思考実験

スリットによるFraunhofer回折、光学機器の分解能、Heisenbergの顕微鏡実験

付録:量子力学における経路積分(直感的説明)

Huygensの原理、二重スリット実験における経路と確率振幅、量子力学における確率振幅と作用、量子力学における経路積分

以上の内容を15回の講義で行う。(講義回数は進行に応じて変化します。また付録は部分的にとりあげることがあります。)

授業実施形態

原則的に対面で授業を行います。対面で行った授業の補助としてオンデマンドの動画を用いることがあります。

授業外学習の指示

授業にはもともと皆さんが教室外で勉強する時間も入っています。プリントはmanaba-R(manaba+Rじゃないかって、ハイフンは-に決まっているでしょう)での配布になります。これは私が話すことを想定して設計してあるものですが、2020年度により詳しい解説を付け加え、改良を続けて2023年度以降はそれを取り入れて改良を行い、2024年度はそれを再改良したものになる予定です。もうお前の顔なんか見なくてもこれでわかる?そうなってほしいと思います。わかるのであればそれでかまわないのです。授業で配布されるプリントには計算の詳細や関連した問題が載せてあります。これを見れば授業内容に関係する細かい部分までわかるはずなのでご研究下さい。<-2021年2月24日修正<-2022年2月11日修正<-2023年1月20日修正<-2024年2月20日修正

成績評価方法

種別 割合(%) 評価基準等
定期試験(筆記) 0

定期試験はありません(皆様に過度の負担をかけることなく定期試験を行う有効な方法を見出しえないため)

レポート試験
(統一締切日を締切とするレポート)
0

レポート試験はありません。レポート試験とレポートを混同しないようご注意ください。

上記以外の試験・レポート、平常点評価
(日常的な授業における取組状況の評価)
100

上記の到達目標が達成されているかどうかについて、達成度を評価する。

成績評価方法(備考)

今年度は、徒然に行う小テストとレポート等で成績評価を行う予定です。manaba-R等の情報をご注意ください。

受講および研究に関するアドバイス

何かを学ぶということの基本は自学自習にあります。講義というものそして教師というものも結局は自分が勉強するための手段でしかありません。相対性理論や量子力学を勉強するするのは受講する皆さんで、わかりたいのも皆さんです。そのために講義を大いに活用してください。

教科書

教科書(使用頻度、その他補足)

教科書は特に指定しません。プリントを配布して、それに従って講義を行ないます。

参考書

書名 著者 出版社 ISBNコード 備考
相対論(共立全書) 後藤憲一 共立出版 4320001958 入門的によく書けている、絶版
ファインマン物理学I ファインマン, レイトン, サンズ 岩波書店 4000077112 特殊相対性理論のみごとな解説を含む
相対性理論 上下 W. パウリ ちくま学芸文庫 448009119X, 4480091203 入門的ではないが芸術的な本
詳解物理学演習 下 後藤, 西山, 山崎 共立出版 4320030125 相対論と量子論の入門的な演習を含む
ファインマン物理学V ファインマン, レイトン, サンズ 岩波書店 4000077155 量子論のみごとな解説
量子力学の一般原理 W. パウリ 講談社 ない? 入門的ではないが芸術的な本、絶版
理論熱学 プランク 裳華房 ない 量子論の創設者による古典から現代への魂の遍歴は感動的、東京大空襲で版が焼失。図書館から毎年入手できませんといわれてきたのですが、いつのまにか手に入れたらしい。感謝

参考書(使用頻度、その他補足)

上に上げた参考書は私が相対性理論や量子力学を学ぶうえで大きな影響を受けた本です。したがって、それは私の講義に必然的に影響をおよぼしています。そういう意味で参考書にあげておきました。読まなければいけないという意味ではありません。その他の本は講義で紹介します。

参考になるwwwページ

授業内外における学生・教員間のコミュニケーションの方法

インタラクティブシート,その他(教員より別途指示)

備考


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