授業科目名 年度 学期 開講曜日・時限 学部・研究科 全担当教員 単位数
14058:犯罪学(JA) 2023 秋セメスター 木1 法学部 森久 智江 2

キャンパス

衣笠

授業施設

存心館ZS207号教室

授業で利用する言語

日本語

授業の概要と方法

この授業は、BCPレベルが2以下の場合には、教室で対面形式で実施しつつ、同時にオンラインでライブ配信を実施する。BCPレベルが3以上の場合には、この授業が予定されている曜日時限にオンラインでライブ配信形式で実施する。

「犯罪学」と聞いて、あなたはどのような学問内容を想像するであろうか。映画やドラマの影響か、多くの人は「プロファイリング」や「犯罪者の心理」等を追究する学問であるというイメージを持たれているように思う。これらはいずれも、犯罪行為を行った個人のみを対象として、「犯罪」という現象を分析するひとつの試みに過ぎず、「犯罪学」そのものではない。
そもそも「犯罪」という現象が生まれるのは、われわれ人間が社会において生き、そこで行われた一定の行為を「犯罪」として認定しているからである。犯罪を行う人は、社会における生活の中で犯罪に至り、社会における制度の中で一定の裁判と処分を受け、社会での生活へと再び戻ることとなる。そのような「犯罪」という現象について、社会を構成する一人として、また、犯罪の加害者にも被害者にもなり得る存在として、様々な観点から分析・検討し、どのように対応していくべきなのかをみなさん自ら思考する場を、本授業において提供したい。
なお、授業は各回に配布するレジュメに沿って進める。各回の講義後にmanaba+Rを通じた課題に取り組んでもらい、それに対するフィードバックは授業内で行う。

受講生の到達目標

(1)犯罪学の歴史や基本的意義について理解し、説明できる。特に、犯罪に対応するための法制度との関係性を正確に理解し、説明できる。
(2)「犯罪」という現象を多面的に捉え、その原因や対応のあり方に関する理論的基礎を理解し、説明できる。
(3)日本あるいは国際社会における犯罪現象への対応の現状に照らして、その問題点を理解し、改善のための方向性を指摘できる。

事前に履修しておくことが望まれる科目

●刑法、刑事訴訟法、少年法等、刑事法関連科目。
●可能であれば、他学部における社会学、心理学、福祉学、教育学、対人援助学等に関わる授業も履修しておくことが望ましい。

授業スケジュール

授業回数/
担当教員(複数担当の場合)
テーマ
キーワード・文献・補足事項等
1

犯罪学の課題と方法

犯罪学の意義/刑事政策/犯罪への対応

2

犯罪統計の読み方と科学的説明

暗数/犯罪統計の種類/統計から見る犯罪情勢

3

犯罪学理論の変遷

生物学的犯罪学/社会学的犯罪学

4

犯罪への対応、刑罰のあり方とその変遷

死刑/自由刑/財産刑/執行猶予

5

刑務所の役割とその現状①

日本型行刑/刑務所改革/被収容者処遇法の成立/受刑者の法的地位/被収容者に対する処遇の強制

6

刑務所の役割とその現状②

刑務所の現状/刑務所改革の現状/規律秩序の維持のあり方/刑務所のアカウンタビリティ

7

犯罪をした人の社会復帰と当事者間のコミュニケーション

Therapeutic Community/犯罪をした人の当事者性

8

社会内処遇の意義とその現状①

更生保護の歴史/更生保護法の成立

9

社会内処遇の意義とその現状②

仮釈放/保護観察

10

少年の犯罪・非行への対応

少年法の意義/家庭裁判所と保護処分の機能/成長発達権保障

11

多様なニーズを有する犯罪行為者―「司法福祉」の最先端

障がいのある犯罪行為者への対応/司法と他領域の連携/社会復帰支援

12

コミュニティと犯罪行為者―Restorative Justice(RJ:回復的(修復的)司法)の視点

修復的司法(Restorative Justice)/市民参加

13

犯罪被害者と社会①

犯罪被害者の現状

14

犯罪被害者と社会②

被害者の発見/被害者等基本法/刑事司法制度における被害者施策

15

犯罪の当事者との対話と社会的包摂(ソーシャル・インクルージョン)―犯罪学のこれから

授業実施形態

BCP停止の場合は、BCPレベル0~2の記載どおりに授業が行われます。
During the suspension period of BCP, classes will be as described in BCP levels 0-2.

第一回授業時に、より詳細な受講にかかわる留意事項を説明する。

 【BCP レベル1〜2 の場合】
●対面授業を原則とし、大学の定める配慮事由に該当するとして対面受講への配慮を申し出た者に対してはライブ配信を提供する。配慮については、第一回講義から概ね一週間で設定される締切までに、担当者に対して事前申請を行うこととする。(第一回講義において詳細な手続を説明。)
●更にやむを得ない理由により当該授業の時間にライブ配信も含め受講できなかった者で、前記理由の申請があった者に対しては、録画データ等の授業資料をオンラインで提供する。
●原則として、すべての授業回で上記の形態で実施する。
●授業レジュメはすべてmanaba+Rを通じて事前配布を行う。印刷したレジュメの当日配布は行わない。
●録画データ等、オンラインでの授業資料の提供は、manaba+Rを通じて行う。

【BCP レベル3~4 の場合】
●この授業が予定されている曜日時限に、オンラインでライブ配信形式で実施することを原則とする。
●授業レジュメはすべてmanaba+Rを通じて事前配布を行う。

授業外学習の指示

日常的に新聞やニュース等での犯罪にかかわる報道に接し、その事件を多面的に(各事件関係者の視点、捜査機関の視点、社会の視点等)考えてみることを習慣にしてみてほしい。

成績評価方法

種別 割合(%) 評価基準等
定期試験(筆記) 60

●定期試験期間中に対面で試験を実施する。
●定期試験が実施できない場合は、定期試験に代えて定期試験期間にオンラインで試験を実施する。

レポート試験
(統一締切日を締切とするレポート)
0

上記以外の試験・レポート、平常点評価
(日常的な授業における取組状況の評価)
40

●授業中に、映像資料やゲストスピーカーの講演に対する意見・感想等を、コミュニケーションペーパーにより、manaba+Rを通じて聴取することがある。これらは出席点として考慮するものではなく、内容を精査した上で加点する。)
●各回講義の内容を確認するための課題への取り組みを、manaba+Rを通じて課す。これらは出席点として考慮するものではなく、内容を精査した上で加点する。

成績評価方法(備考)

受講および研究に関するアドバイス

教科書

書名 著者 出版社 ISBNコード 備考
刑事政策学 武内謙治・本庄武 日本評論社 978-4535523807
犯罪学リテラシー 岡本英生・松原英世・岡邊健著 法律文化社 9784589038616
刑事政策がわかる〔改訂版〕 前田忠弘・松原英世・平山真理・前野育三 法律文化社 9784589040091
ビギナーズ犯罪学[第2版] 守山正・小林寿一編著 成文堂 4792352940

教科書(使用頻度、その他補足)

●教科書は指定しない。但し、自身で「刑事政策」あるいは「犯罪学」の基本書を手に取り、馴染みやすいものを必ず一冊手元に置くこと。●迷った場合は、上記のうち、馴染みやすいものを購入されることをお勧めする。

参考書

書名 著者 出版社 ISBNコード 備考
刑事司法統計入門 浜井浩一編著 日本評論社 9784535517530
刑事学 [新版] 吉岡一男 青林書院 9784417009801
ルポ・罪と更生 西日本新聞社 法律文化社 9784589036155
刑事司法と福祉 (最新社会福祉士養成講座精神保健福祉士養成講座) 一般社団法人日本ソーシャルワーク教育学校連盟編集 中央法規 9784805882405

参考書(使用頻度、その他補足)

参考になるwwwページ

法務省法務総合研究所が毎年公表している犯罪白書(http://www.moj.go.jp/housouken/houso_hakusho2.html)を参照すれば、犯罪の統計的理解に役立つであろう。

授業内外における学生・教員間のコミュニケーションの方法

コミュニケーションペーパー,インタラクティブシート,manaba+R,学生との直接対話,その他(教員より別途指示)

備考

【科目ナンバリング・カリキュラムマップはこちらから/Click here to see the Curriculum-Map and Course-Numbering】
URL:https://secure.ritsumei.ac.jp/students/pathways-future/course/curriculum.html/