Course Name Year Term Period Faculty / Graduate School All Instructors Credits
15395:Labor Law (J) 2024 Spring Wed1,Thu1 College Of Law SATO KEIJHI 4

Campus

KIC/KIC

Class Venue

ZONSHINKAN ZS310/ZONSHINKAN ZS310

Language

Japanese

Course Outline and Method

 「格差社会」という認識が共通のものになりつつあります。たとえば、非正規労働者が全労働者の4割を超え、その賃金水準は正社員の半分ですし、男女間においても労働条件の大きな格差があります。また、若年労働者におけるいわゆるニートが増大しており、正社員への就職難は強まっています。この「格差社会」という認識は他方で、「勝ち組」志向を煽る考えでもあります。しかし正社員あるいは男性は「勝ち組」ではありません。正社員は、欧米よりも年間で2ヶ月から3ヶ月分もの長時間労働のもとにあり、年間1万人と推定されている過労死が発生しており、過労死の大半は男性です。ですから、「格差社会」というよりも、「過労死か不安定雇用かの選択を迫る社会」と考えるべきでしょう。この中で政府は、「勝ち組」志向に沿った労働法改定を行おうとています。果たして、労働者が働きやすい社会のためにはいかなる法制度であるべきなのか、考えていくことが本講義の目的です。
 そのために講義では、まず①具体的事例から法的論点を探しだす作業を行い、続いて②関連する法制度の解説を行い、③その論点についてのいくつかの考え方を紹介します。最後に④以上の三点についてまとめた自己点検を提出してもらいます。皆さんがどのように考えるのかは、試験の際に見解表明してください。②は、法律と裁判例の解説ですが、現実社会においては守られていないことが多くみられますので、皆さんが社会に出た際に武器として使ってほしいと思います。④の提出物は、採点した上で、次回の講義開始前に返却する形でフィードバックしますので、それによって自らの理解度を自己点検してください。定期試験の試験講評は、学部として発表するもの以外に、私のweb siteに掲載します。
 なお、本講義は対面講義で実施します。ただし、第1週の講義は、受講者数が確定していませんので、ライブ配信型授業との併⽤で行います。ライブ配信用のURLは、コースニュースでお知らせします。

Student Attainment Objectives

受講生は、次の2つの能力をつけることができます。
1.複雑な現実から、労働法上の論点を発見する力
2.論点について、労働法の基本視点を踏まえて、解決に向けて自ら考える力
労働法規や裁判例を理解することは当然の前提ですが、それを記憶しても複雑な現実には対処できません。労働法規や裁判例自身も大きく変動しています。自ら考えていくことが必須です。
更にその際には、自分勝手な「考え」(これは単なる「戯言」です)ではなく、労働法の基本視点を踏まえて考えることが必要です。

Recommended Preparatory Course

該当科目を履修していないと本講義が履修できない、という意味での前提科目は法学部の講義には存在しません。
履修が望まれるのは、基本科目に指定されている科目です。
憲法規範は大前提ですし、契約法と刑法の基礎知識がなければとりわけ「労働保護法」分野の理解は難しいでしょう。

Course Schedule

Lecture/Instructor(When there are multiple instructors) Theme
Keyword, References and Supplementary Information
1(この数字は対面講義を想定した回数です。Webによる講義の場合、実質的にはこの30回の内容の講義を行いますが、各回の内容は、必ずしもここでの回数に対応するものではありません。)

労働法の概要

労働法の体系、労働法改正

2

労働団体法①総論....A:日本の労使関係

…Q:日本の企業別組合=「御用組合」だろうか;…KW:企業別組合、産業別組合
*KWとは、「キーワード」、の意味です。以下も同様です。

3

労働団体法①総論....B:労働基本権

…Q:公務員へのストライキ禁止立法は合憲であろうか;…KW:憲法28条

4

労働団体法②労働組合.A:労働組合組織

…Q:自営的労働者の作った組織は「労働組合」といえるのだろうか;…KW:労務供給型契約、労働組合

5

労働団体法②労働組合.B:組合と組合員

…Q:労働組合強化のために組合加入を義務づけることは可能だろうか;…KW:組合自治、ユニオン・ショップ

6

労働団体法③組合活動.A:便宜供与

…Q:労働組合は組合事務所を自由に使えるのだろうか;…KW:便宜供与

7

労働団体法③組合活動.B:日常活動

…Q:仕事中あるいは職場内で組合活動はできるのだろうか;…KW:リボン闘争、ビラ貼り

8

労働団体法④団体交渉.A:併存組合

…Q:多数派組合を少数派組合より優遇することは認められるのだろうか;…KW:中立義務

9

労働団体法④団体交渉.B:要件

…Q:労働組合はいかなる事項についても交渉を要求できるのだろうか;…KW:経営権事項

10

労働団体法⑤労働協約.A:効力

…Q:労働者は協約で決まったことには従わなければならないのだろうか;…KW:規範的効力、有利原則

11

労働団体法⑤労働協約.B:終了

…Q:協約終了後には使用者は一方的に労働条件を決定できるのだろうか;…KW:余後効

12

労働団体法⑥争議行為

…Q:「病欠スト」は正当な争議行為なのだろうか;…KW:遵法闘争

13

労働団体法⑦不当労働行為

…Q:労使関係において使用者に言論の自由はあるのだろうか;…KW:プラスファクター

14

労働団体法のまとめと中間試験

…労働団体法

15

中間試験の返却と解説
労働保護法の変容・働き方改革

…労働団体法
…Q:高度プロフェッショナル制度は廃止するべきか;…KW:働き方改革

16

労働保護法①総論....A:労働者と使用者

…Q:「芸能人」は労働者だろうか;…KW:労働者、使用者

17

労働保護法①総論....B:市民的権利

…Q:「お礼奉公」は適法なのだろうか;…KW:封建遺制、人格権、賠償予定の禁止

18

労働保護法①総論....C:男女雇用平等

…Q:女性の昇進・昇格差別は法により是正できるだろうか;…KW:男女雇用機会均等法、人事権

19

労働保護法②労働契約.A:締結

…Q:採用内々定の取り消しは救済されないのだろうか;…KW:労働契約、採用内定

20

労働保護法②労働契約.B:変更

…Q:単身赴任命令に従わなければならないのだろうか;…KW:人事異動、配転

21

労働保護法②労働契約.C:終了

…Q:変更解約告知によるリストラは許されるだろうか;…KW:整理解雇、変更解約告知

22

労働保護法③労働条件.A:賃金・福利厚生

…Q:賃金を労働者の自由意思で放棄できるか;…KW:賃金、福利厚生

23

労働保護法③労働条件.B:労働時間

…Q:残業を拒否することはできないのだろうか;…KW:法定労働時間、変形労働時間、時間外労働

24

労働保護法③労働条件.C:休息

…Q:長期間の連続休暇をとることはできないのだろうか;…KW:休憩、休日、年次有給休暇、時季指定権

25

労働保護法④職場環境.A:就業規則と懲戒

…Q:使用者が決めたことには必ず従わなければならないのだろうか;…KW:就業規則

26

労働保護法④職場環境.B:労働災害と過労死

…Q:過労死の認定基準はどうあるべきか;…KW:労働安全衛生法、労働災害、安全配慮義務

27

労働保護法④職場環境.C:ハラスメント

…Q:ハラスメント防止のため使用者は職場環境保持義務を負うだろうか;…KW:セクハラ

28

労働保護法⑤多様な就業形態.A:パートタイマー

…Q:パートタイマーは低賃金で使い自由に辞めさせることができるのだろうか;…KW:パートタイム・有期労働法

29

労働保護法⑤多様な就業形態.B:派遣

…Q:違法派遣の救済として労働契約の成立を認めるべきか;…KW:労働者派遣法

30

労働保護法⑥権利救済機構

…Q:労働基準法違反につき労働者は行政救済を受けることができないのだろうか;…KW:労働基準監督署

備考/Note
講義は、上の「Q」に挙げた具体的論点に沿って進めます。自分なりの答えを考えてみてください。

Class Format

30回すべて対面講義で実施します。ただし、第1週講義(第1回講義と第2回講義)は、受講者数が確定していませんので、ライブ配信と併用で講義します。受講者数に不安のある人は、ライブ配信で受講してください。その場合でも第3回講義以降は対面講義となります。ライブ配信用のURLはコースニュースでお知らせします。

Recommendations for Private Study

 毎回の講義において次回講義用のリーディング・アサインメントを提示します。それは当該講義内容にかかわる初学者用の法学文献です。次回講義の最初に、そのリーディング・アサインメントに関する問題に解答してもらいます。次項目で示すように、この結果も成績評価の一要素となります。
 リーディング・アサインメントの読了に要する時間は個人差がありますが、初学者用の文献とは言え、法律学の文献にはなじみがないでしょうから、やはり3時間程度はかかるものと思います。講義方法の箇所で説明してるように、毎回、自己点検を提出し、次回にそれが返却されますので、理解の不十分な箇所について修正していく作業が必要です。これがいわゆる「復習」に該当し、1時間程度はかかると思います。大学設置基準上、講義時間の二倍の自学自習時間が必要とされていますので、予習・復習あわせて4時間程度を要することになります。

Grade Evaluation Method

Kind Percentage Grading Criteria etc.
Final Examination (Written) 40

事例に対して、法的論点、法、諸説、自説、を問うものです。それぞれ、説明できている、不足がある、実質的に記述がない、の三段階で評価します。

Report Examination
(A report to be submitted by the unified deadline)
0

Exams and/or Reports other than those stated above, and Continuous Assessment 
(Evaluation of Everyday Performance in Class)
60

ふさわしい記載項目がありませんから、ここに書いていますが、日常点でもなければ出席点でもありません。毎回の講義で自己点検を行ってもらい、その内容を採点します。成績評価は、自己点検の点数と中間試験の点数の合計点によって行います。

Grade Evaluation Method (Note)

真剣に講義を受講すると、毎年合格率は9割を超えています。
2023年度の合格率は、96.3%
2022年度は、93.3%、2019年度は、94.0%、2018年度は、97.9%、2017年度は、95.0%、2016年度は、96.3%、2015年度は、93.2%、2014年度は、92.7%、2013年度は、90.6%、2012年度は、95.7%、2011年度は、92.5%、2010年度は、97.7%、2009年度は、95.6%、2008年度は、94.5%、2007年度は、93.2%でした。
2023年度の合格者中における評価割合は、A+:4.8%、A:26.0%、B:42.3%、C:28.9%
2022年度は、A+:5.5%、A:26.1%、B:42.4%、C:26.1%
2019年度は、A+:4.5%、A:19.9%、B:39.1%、C:36.5%
2018年度は、A+:5.5%、A:25.2%、B:38.2%、C:31.1%
2017年度は、A+:6.2%、A:26.8%、B:38.9%、C:28.1%
2016年度は、A+:5.6%、A:21.6%、B:42.2%、C:30.6%
2015年度は、A+:5.5%、A:26.5%、B:43.4%、C:24.7%
2014年度は、A+:5.8%、A:24.7%、B:41.6%、C:27.9%
2013年度は、A+:5.7%、A:22.6%、B:37.0%、C:34.8%
2012年度は、A+:5.0%、A:23.8%、B:43.0%、C:28.3%
2011年度は、A+:4.6%、A:22.8%、B:39.8%、C:32.4%
2010年度は、A+:5.5%、A:27.6%、B:41.7%、C:25.2%
2009年度は、A+:5.2%、A:26.0%、B:43.5%、C:25.3%
2008年度は、A+:4.7%、A:21.1%、B:45.0%、C:29.2%。
なお、講義欠席者が単位を取得することは困難です。
*2020年度は、224人の受講者のうちで不合格者は2人だけですから、合格率は99.1%となりますが、全面的にオンライン講義でしたので、参考にはならないと思います。2021年度も類似

Advice to Students on Study and Research Methods

若い学生の皆さんは、純粋に正論を追及できる一方で、現実離れして理屈だけになってしまうことがあります。逆に社会人学生の皆さんは、違法状態の横行している現実社会に流されてしまう傾向が強くみられます。ぜひ、当たり前の社会感覚をもって臨んでください。

Textbooks

Title Author Publisher ISBN Code Comment
労働法Ⅰ-集団的労働関係法 名古道功・吉田美喜夫・根本到編 法律文化社 978-4-589-03454-0 第2回から第13回までの講義で使用します
労働法Ⅱ-個別的労働関係法[第3版] 吉田美喜夫・名古道功・根本到編 法律文化社 978-4-589-03936-1 第15回から第28回までの講義で使用します

Textbooks (Frequency of Use, Note)

労働法分野では重要な法改定が続いていますので、最新の教科書でなければなりません。また、法学部の専門講義ですから、六法を使用することは当然の前提です。

Reference Books

Title Author Publisher ISBN Code Comment
労働判例百選[第10版] 村中孝史・荒木尚志編 有斐閣 978-4-641-11531-6
労働法の争点 土田道夫・山川隆一編 有斐閣 978-4-641-11323-7

Reference Books (Frequency of Use, Note)

講義は、具体的論点を軸として全体像を解説する方式で進めます。具体的論点自体についての理解を進めるためには、この二つの参考文献が役立ちます。各回の講義内容に関する参考文献は、各回の講義レジュメの中で提示します。興味ある人はそれらを読んで考えてみてください。

Web Pages for Reference

私自身のWebPageを挙げておきます。
http://www.ritsumei.ac.jp/~satokei/
過去の試験問題と解説、文献検索のリンク集、などが参考になるでしょう。

How to Communicate with the Instructor In and Out of Class(Including Instructor Contact Information)

Interactive Sheet,Other (Separate instructions will be provided)

Other Comments

1.初回の講義を欠席する悪弊が蔓延しています。しかし、受講上の注意や試験の説明は講義の初回に行いますから、必ず出席してください。受講しないことによる不利益は受講生自身が負い、欠席者に対して後で私が繰り返して説明することあり得ません。
2.講義に欠席する場合には、理由を書いて一週間前までに私に提出してください(書式は私のWebSiteに掲載のもの、課外活動と教育・介護実習の場合は所定の用紙)。私から課題を課します。欠席した場合には、欠席した回の講義については自ら勉強し、資料も入手した上で、次回講義に臨んでください。
【科目ナンバリング・カリキュラムマップはこちらから/Click here to see the Curriculum-Map and Course-Numbering】
URL:http://www.ritsumei.ac.jp//students/pathways-future/course/curriculum.html