授業科目名 年度 学期 開講曜日・時限 学部・研究科 全担当教員 単位数
51906:[2025 秋セメスター](教)学級担任論(G) 2025 秋セメスター 木4 映像学部,情報理工学部,情報理工学研究科 恩庄 澄 2

キャンパス

OIC

授業施設

H345セミナールーム

授業で利用する言語

日本語

授業の概要と方法

日本の学級集団は学校教育における基礎的な集団であり,学習集団としての機能だけでなく,心理社会的な発達の促進を目的としているため,学級集団のあり方は生徒の成長に多大な影響を与える。そこで本授業では,生徒理解を深めよりよい学級集団づくりのために担任として求められる知識や方法,よりよい学級集団作りを側面から支えるさまざまな教育活動および保護者・他の教職員・専門家との連携等について,講義,ワーク等の演習,実践事例を通して学んでいく。

受講生の到達目標

講義演習を通して下記のテーマについてそれぞれ到達させることを目標とする。
1.講義は、できるだけ現場に近いまたは現職先生の参加を依頼し、学生諸君が、現場に近い感覚で学校現場の諸問題を議論できるようにします。学生諸君が、学校現場を実感し、学校教育の肌感覚を身につけることができるようにします。
2.学生諸君が、相互に自分達自身の学校体験を語り合い、そこから感じたことやそのときの思い、疑問を率直に語り合い、お互いの感情を受け止め合い、討議できる力を身につけます。
3.学生諸君が、学校現場で様々な思いや育ちの異なる子どもたちに出会うとき、接近する手法、仕掛け、構想力を身につけられるようにします。そのために、遊びや歌、踊りを取り入れ、企画する力、自ら指導し、そこに入りきれない子どもにまで配慮できる力を身につけます。
4.学生諸君が、具体的な実践事例を通して、学級集団から最も疎外された子どもの家庭状況や育ち、人間関係に関わる情報を収集・分析し、ケア、支援・指導できる力量、能力を身につけ、将来の学校での学級づくりを構想し、実践できる力を身につけます。
5.学生諸君が、「困難」生徒を集団づくりの中心に据え、その彼・彼女に関わり、相互ケアを生み出せる集団づくりを構想し、実践できる力を身につけます。
6.学生諸君が、学校現場で担任の果たすべき役割を理解し、明日からでも職場の同僚と協力・共同して、学級担任ができる力を身につけます。
7.学生諸君が、困難に直面したとき、「やれて当然」ではなく、「できません」「どうすればよいのですか」「助けて」といえる力を身につけます。また、困難な同僚の話しを聴き、一緒に「困難」を受け止め、これに向き合える力を身につけます。
8.学生諸君が、学校現場で、教育労働者として、権利の侵害に向き合えるように基礎的な労働者の権利を学び、これを説明できるようにしていきます。


事前に履修しておくことが望まれる科目

授業スケジュール

授業回数/
担当教員(複数担当の場合)
テーマ
キーワード・文献・補足事項等
1

教育を語り合う
-自分達の学校体験ー

講義担当者の自己紹介を行ないます。次に、学生たちが、自分達の学校体験を語り合い、交流します。教師になぜなろうと考えるのか、なぜ教師になることにためらいを感じるのか、考えたことを共有し、深め合いながら、教師の仕事を考えていきます。(絶対教師になる人という前提は持ちません) 
<+R授業>
学修要覧、シラバスを見て、疑問点、自分が特に興味関心を深めたい点などを200字程度で書いて、できるだけ第2回目前々日までにmanabaに送ってください。

2

くす玉を創る
ー学級開きでの出会いを考えるー

グループで創意工夫をこらし、一つの学級開きの道具として、協力し合いながらくす玉を創ります。学生たちは、くす玉を作りながら、自分達で交流を深め、やがて出会うであろうクラスの子どもたちの表情を思い浮かべていきます。このことが、教師のやりがいの生み出す源泉になっていくのではないか。たかが「くす玉」ですが、学生諸君はこれを作り、披露する意味を考えていきます。

3

通いたくなる学校を創造する(1)
-集団遊びの世界を体験するー

 学生諸君は、グループで集団「遊び」を構想します。グループで話し合い、自分達でできそうなものを考え、集団を指導して全員で遊びます。遊びを通して、つながることの「楽しさ」「主体性」を養い、同時に「楽しく」遊ぶために「ルール」が必要になってくることを学んでいきます。

4

通いたくなる学校を創造する(2)
ー歌、踊りでつながるー

 学生諸君は、グループで後に出会うであろう子どもたちを思い浮かべ、一緒にできそうな歌、踊りを考えていきます。それは若い先生の特権でもあります。若い先生ほど子どもたちに近い感覚があり、子どもたち目線で歌、踊りを捉える感性があるからです。学生諸君はその意味、意義、取り組み方法を一緒に考え、構想していきます。

5

通いたくなる学校を創造する(3)
ー集団遊び、歌、踊りを実践するー

 学生諸君は、各グループで集団遊び、歌、踊りを披露し、お互いに講評をします。そのことで、自分達のやる内容を相対化し、その問題点をも発見し、取り組みを再創造していき、将来の教師力の基盤を養います。

6

「私はかつて不登校だった」
ー当事者目線で不登校を捉えるー

 不登校の当事者であった方にオンラインで参加いただき、交流を深めます。学生諸君は、当事者の話しを聞きながら、どのような教師の言葉、振る舞いが、どのように子どもの心を傷つけていたのかを聴きとり、どうすれば良かったのかを考えていきます。

7

「困難」だった3年間の学年集団づくりを振り返る
ー3年間のリーダーづくり、行事づくりー

 かつて経済的家庭的に困難な地域にいた講義者が、どのように3年間の学級・学年集団づくりを行なったのか、かつての記録を読み、議論します。その記録は、教師目線で書かれた民間教育機関に発表された雑誌と、立命館大学教職大学院で議論され、記録されたものです。学生諸君は、3年間を見通して、学級・学年運営をする構想力、実践力を培います。

8

先生が倒れる理由 
ー「助けて」「できません」といえる先生にー

 この内容は、昨年度日本生活指導連盟の例会に依頼され、報告した内容を基にしています。なぜ先生は辞めていったのか、どうすればやめなくてすんだのか、何が足りなかったのかを考えます。また、その学年に当時在籍した先生にもできれば参加してもらおうと考えています。

9

若い教師の活力の源泉  
ー若い教師を支えた力の源泉を探るー

 人前で話すのが苦手な先生、子どもたちを力で押さえつけることを暗に要請されなプレプレッシャーをかけられた若い先生。教室で「暴れる」子どもを相手に、若い先生はどう向き合ったか。「こわくないんだよ」風の谷のナウシカで語られたこの言葉が、子どもと若い先生を支えたという。その背景にどのようなことがあったのだろうか。民間研究会で実践報告されたこの内容は、討議で激論が交わされた。その内容を紹介します。報告者の先生の参加を考えています。

10

精神疾患、自殺願望を抱く子どもたち
ートラウマをどう捉え、子どもをどう救出するのかー

 不登校の子どもたち、教室にいる子どもたちの中に、時には、深刻な精神疾患を発症させている子どもがいる。学校現場には、命に関わる子どもたちが目の前に存在することがある。彼ら、彼女たちをどのように捉え、救出すればよいのか。担任教師の対応が、もしかすると、その子の人生、未来を左右することがある。

11

教師の成長とその軌跡 
ー教師人生を総括するー

 講義者自身の「教師人生」を相対化し、どのような節目にどのような成長と課題があったのか、グループで話し合い、教師仕事の困難とやりがいを議論します。内容は、講義者が2024年に生活教育に寄稿した記録を基にしています。

12

教育の「成果」とは 
ー教え子たちの記憶が語る先生の「断片」ー

 この内容は、2023年立命館大学教職大学院で講演した内容です。40年前、30年前、20年前の教え子たちにインタビューし、講義者の(中学校で教壇に立ち、教師をしていた)教育行為の記憶を語ってもらいました。インタビューを相対化し、教師の果たす教育行為の意味・意義を考えます。

13

通いたくなる学校を創る
ー学級から、学年、学校の変革を見通す-

 現職の若手の先生に現在進行形の行事づくりを語っていただき、交流を深めます。現在の高校生の姿を捉えます。

14

職場づくりを創造する
ーどんな先生も仲間ー

 昨年度生徒指導講義で「自治」を語っていただいたH先生に、今度は自治づくりと職場づくりを語っていただきます。教育観の異なる先生に攻撃的な先生、力の行使でしか生徒に指導できない先生、学校には様々な先生がいます。この先生の教育信念は「どんな先生も仲間」。さて、H先生はどのように学年をまとめていかれたのでしょうか。

 

授業実施形態

対面授業を基本とします。
対面以外の実施形態をとる場合は、適宜指示します。

授業外学習の指示

1.講義に先立ち、manaba+Rで、学修要覧、シラバスを見て、疑問点、自分が特に興味関心を深めたい点などを200字程度で書いて、できるだけ第2回目前々日までにmanabaに送ってください。
2.講義では、自分達で何かを創ったり、考えたり、発表し合ったりすることが多くなります。事前に、内容を提示するので、ものの準備や、論文などは事前に読んでおいていただけると、より理解がしやすくなります。また、討議やメモをとる時間を確保するために、できるだけ事前に資料を読んでおいてください。
3.講義は、教師になったときに直面する内容を40年間の公立中学校の体験をもとに、取り上げました。また、できるだけ現場の先生や当事者視点で語れる方々の参加を求めて、議論を深めたいと考えています。もちろん、教師になることを前提にしていますが、必ずしも「絶対」ならなければならないというものでもありません。シラバスを見て、教育問題を深めようとされる学生諸君もできるだけ受講していただきたいと考えています。
4.本講義は、製作やグループ発表、討議が多くなります。講義中にできるだけ、考えたことを書いて、これを提出してください。
5.課題は、できるだけ少なく、負担が重くならないようにしたいと考えています。ゲストスピーカーが来る場合も、考えたことをできるだけ講義時間内に感想として書いていただけたらと考えています。

成績評価方法

種別 割合(%) 評価基準等
定期試験(筆記) 0

レポート試験
(統一締切日を締切とするレポート)
0

上記以外の試験・レポート、平常点評価
(日常的な授業における取組状況の評価)
100

討議、グループ発表、レポート等で評価します。受講態度(討議、発表)(50%)、レポート(50%)。

成績評価方法(備考)

〇規定の出席率を満たしていること。
*規定の出席率(10回以上)は、単位認定上必要です。
*様々な特殊な事情はその都度相談してください。
*学生証忘れは、必ずその講義後にノートに日付、名前等を記録してください。
〇評価基準
1.授業中の態度は、主に出席状況、討議の参加状況、発表の参加状況等を見ます。
2.極力受講時間内に感想を求め、これを課題レポートとします。字数制限を設けません。
3.第2回目から第5回目は、構想・製作し、発表する時間になります。「プロジェクト」にそれぞれのグループで話し合った内容や感想を書いてください。また、発表時には、他のグループの発表の講評を簡単に書いてください。
4.第6回、8回、9回、13回、14回も、ゲストスピーカーと議論して考えた内容を感想として書いてください。

受講および研究に関するアドバイス

1.講義者は、40年間公立中学の教員をしており、主に学級担任、学年主任、人権指導、生徒指導に長く関わっており、民間教育研究の雑誌等にも実践記録を書いています。その体験から、教師になるのに必要な内容を厳選しました。また、現在においても、小・中・高校の現役の先生、その他不登校の当事者とも多くのつながりを持っています。講義はできるだけ当事者目線で考えられるように構成しています。みなさん、是非受講してください。
2.クラブや課外活動等で多忙な人が多いと思います。講義も、課題は少なくし、また、時間内に処理できる工夫もしています。また、様々な忙しさに対して可能な限り配慮しますので、積極的に受講してください。
3.講義内容は、できるだけ討議時間や課題レポートを書く時間を確保しようと考えています。それには、できるだけ事前に提示する資料や論文を読んできていただけるようお願いします。
4.集団遊びは、一定こちらから提示しますが、歌、踊りは、自分達で考え、場合によっては持ってきていただかなくてはなりません。絶対でもないのですが、もし、材料があるなら、持ち込みオッケーです。(ただし、わざわざ、購入することは避けてください。)
5.グループでの発表が多くなります。欠席時はお互いに連絡を取り合ってください。あまりにもメンバーがそろわない場合は、他のグループと合体することもあります。

教科書

教科書(使用頻度、その他補足)

要りません。

参考書

書名 著者 出版社 ISBNコード 備考
新・生活指導の理論 竹内常一 高文研 自治的集団づくりの最新の理論書です。
自己肯定感ってなんやろう? 高垣忠一郎 かもがわ 臨床心理学者高垣忠一郎氏が自己肯定感をわかりやすく説明する
心的外傷と回復 J・L・ハーマン みすず アメリカ、トラウマ研究の権威ハーマンの名著である。重厚な文献だが、学校の教師になろうと考える人はなる前に是非一読してほしい。

参考書(使用頻度、その他補足)

上記の参考書で、文部科学省のものは、最新版を購入してください。それ以外は、教師の実践力の基盤を培うものです。是非読んでください。

参考になるwwwページ

 http://www.kyoseiken.com/13kityokyotoban.pdf 
 自治的学級集団づくりを組み立てる理論文書です。京都生活指導研究協議会(略称京生研)の実践家たちが議論しながら練り上げた自治的学級集団づくりの最も優れた文書です。「優れた」というのは、学級の最も困難な生徒を真正面に据え、彼ら彼女らの本音を聴きとり、対話を積み重ねながら「もう1人の自分」を立ち上げ、そのもう1人の自分を支える仲間集団を創っていくという自治的学級集団づくりの道筋を示した文書だからです。講義では、学級集団づくりのところで紹介します。

 

授業内外における学生・教員間のコミュニケーションの方法

manaba+R,その他(教員より別途指示)

備考

 担当者は、京都の公立中学に35年間在職し、長年にわたって、学級担任、生徒指導担当、人権指導担当、生徒会担当、学年主任を担当してきました。また、在職時は、民間研究会に積極的に参加し、自分の実践レポートを議論してもらうなど、より積極的な生徒対応、集団づくり論を深め、実践探求してきました。59歳の時、立命館大学が教職大学院を立ち上げるというので、現職のまま、その一期生となって実践研究をさらに深め、理論化を図ってきています。退職後は、同志社国際中・高等学校での教員歴、一昨年度も地元の公立中学での非常勤講師歴を持っています。また、今でも京都教育センター、京都生活指導研究協議会、日本生活指導連盟等の研究会、学習会、例会に参加し、研究者や教育現場の先生方と深いつながりを持って研究活動を行なっています。さらに、地元では30年間に渡って「登校拒否の子どもと育つ父母の会」と関わり、「困難」を抱える保護者と関わりを持ち、現在代表世話人を務めています。教育の仕事は、困難や難問も多いが、本来「人権」を基盤とした創造的な仕事であると考えています。教職をめざす人は、学校時代によい思い出をもつ人だけではなく、自分自身の自信のなさや今日の学校の抱える「重さ」「しんどさ」を感じている人も多いと思います。本授業は、学生諸君の率直な思い、不安、疑問も出していただくことも大切にしながら、一緒に子どもたちが求める教師像・学校像とその実現の道筋を考えていきたいと考えています。
【科目ナンバリング・カリキュラムマップはこちらから/Click here to see the Curriculum-Map and Course-Numbering】
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