授業科目名 年度 学期 開講曜日・時限 学部・研究科 全担当教員 単位数
50151:交通システム論(BB) 2024 秋セメスター 水2 経営学部 近藤 宏一 2

キャンパス

OIC

授業施設

C372講義室

授業で利用する言語

日本語

授業の概要と方法

この講義では、これからの日本の交通システムの課題について、ドイツで編集された交通政策についてのテキストをてがかりとして検討していく。

 今日、交通システムのあり方は社会の様々な側面と深く関係している。近年ではSDGsに対する関心の強まりから、地球環境問題との関係で交通システムが論じられることも増えてきたが、以前から問題になってきた渋滞や交通事故についても、なお解決には遠い状況である。さらに、日本では少子高齢化や経済格差の拡大による「買い物難民」などの発生が新たな社会問題にもなっている。

 こうした状況は、企業経営に対しても影響を与え、時には深刻な反省を迫ることもある。例えば、コンビニや、amazonなどのインターネット通販のビジネスモデルは多頻度配送によって支えられているが、公害、路上駐車による渋滞や事故の発生などにもつながっているという批判があり、人手不足ともあいまってビジネスモデルの見直しが必要という指摘もある。他方で、ドローンや無人輸送装置、あるいはシェアリングエコノミーの発想を使った新たなビジネスが、社会問題の解決にもつながるのではないかという期待もある。

 これからは、世界から交通のあり方についての多様な考え方を学ぶことを通じて、今後の企業経営のあり方や、個々人の生活のあり方を見直していく ことも必要になるだろう。テキストはドイツで編集されたものであるが、現在のドイツ政府の交通政策について書かれたものではなく、交通システムのあり方についてより一般的な検討課題を論じたものであるので、今日の日本において参照する価値は十分にある。とりあげる論点については、毎回の講義内容を参照してほしい。

 講義は、最初に今日の日本の交通問題がどのようにして生じてきたのか、現状はどうなっているのかを概観した上で、その後ゲスト講義も交えながら日本での具体的な交通問題解決への取り組みを紹介する。また、経営学部で学んでいくうえで必要な、物流やサプライチェーンに関する基本的な知識もあわせて提供する。後半では、テキストに基づきこれからの交通の在り方を考える上で必要な視点、考え方を提供する。現実についての知識と、基本的な視点や考え方をふまえて、各人が自分で交通について考えることができるようになるのが、この講義の目標である。

 なお、講義では毎回質問を集め、有意義な質問について次回の講義で回答することで、受講生の理解を深める形で進める。

受講生の到達目標

①交通システムのあり方について、社会の多様な側面から考えることができるようになる。
②①を通じて、今後の経営学部での学習において、そして将来は一市民、あるいは企業などで働く組織人として、交通や輸送に関わる課題に直面した際に、問題を的確に把握して幅広い視野から十分に考えることができるような知識と考え方を身につける。

事前に履修しておくことが望まれる科目

「企業と経営」

授業スケジュール

授業回数/
担当教員(複数担当の場合)
テーマ
キーワード・文献・補足事項等
1

交通とは何か ※ライブ配信のみで実施。10/2

キーワード:交通、輸送、運輸、物流、交通サービス、運搬具、通路、派生需要、自家輸送
内容:講義の前提になる概念の説明。
ライブ配信 zoom
Zoomミーティングに参加する
https://ritsumei-ac-jp.zoom.us/j/98700791698?pwd=wh0JQFdzTQVhIxfSAi3OSKLpOO7qn2.1

ミーティングID: 987 0079 1698
パスコード: 462395

2

今日の交通問題(1)都市の郊外化と私鉄企業の地域開発 10/9
※第2回以降は、通常であれば教室での対面で実施

キーワード:鉄道、都市、郊外、住宅開発、都市開発、私鉄、開発利益
内容:大都市の郊外化によって鉄道が発展するが、その後モータリゼーションが引き起こされた経過から、今日の交通問題の原点を探る。第2~4回の講義を通じて、第5回以降の検討に向けた問題の基礎的な理解を得る。

3

今日の交通問題(2)都市の面的拡大とモータリゼーションの進展 10/23

キーワード:社会の自動車化、スプロール化、モータリゼーション、過疎・過密
内容:移動の自由を追求した結果のモータリゼーションが、逆に移動の自由を束縛し、社会にも負荷をかけていくプロセスを振り返ることで、何が問題の背景にあるのかを知る。

4

今日の交通問題(3)現在の諸問題と、それへの対策 10/30

キーワード:渋滞、大気汚染,交通事故,地域社会の衰退、外部不経済、TDM
内容:現代の交通問題にはどのようなものがあるのかを概観し、それへの対策としてどのような手法がとられようとしているのかを知る。

5

日本の交通のこれから(1)地域交通と交通権 11/6

キーワード:コミュニティバス、「小さい交通」、MaaS、交通権
内容:日本の公共交通の今後について、路線バス改革や注目されているLRTなどの新しい交通システム導入、政府の政策的な方向性などについて解説する。

6

日本の交通のこれから(2)バス事業の現状と課題 11/13
  ※ゲスト講義を予定。

キーワード:バス事業の経営、路線バス、高速バス、自動運転
内容:実際にバス事業者で働く本学卒業生を招き、もっとも生活に密着した公共交通であるバス事業の現状と課題、関連事業などをふくめた今後の方向性などについて語っていただく。

7

日本の交通のこれから(3)災害対策とインフラ整備  11/20

キーワード:高速道路、新幹線、大規模災害
内容:能登半島地方は、元旦の大地震によってインフラに大きな打撃をうけ、救援や復旧・復興に支障をきたしている。こうした状況をふまえ、災害対策も視野にいれたインフラ整備の在り方について検討する。

8

日本の交通のこれから(4)物流とロジスティクス 11/27

キーワード:グリーン物流、モーダルシフト、国際一貫輸送、交通権
内容:経営学部で学んでいくうえで不可欠な知識である物流をめぐる課題と今後の方向性について紹介する。

9

持続的な交通:何が問題なのか 12/4

テキスト:序章・第1章
キーワード:持続的な交通、効率戦略、再生戦略、充足戦略、モビリティ、モビリティのイノベーション
内容:現在の交通が直面している大きな課題と、その打開の基本的な方向。

10

交通と環境 12/11

テキスト:第3、5章
キーワード:気候変動、公害、騒音、交通への欲求と手段、持続可能性の三つの次元、交通の転移、交通の回避、バリアフリー
内容:交通と環境の問題を考えるためのそもそもの枠組みを示し、今後の方向性を探る。

11

モビリティと社会 12/18

テキスト:第8,9章
キーワード:買い物難民、過疎、貧困、キャプティブな顧客、モビリティの社会化、
内容:現在の日本において交通が社会に与えている問題をふまえ、ドイツで交通と社会の問題がどのようにとらえられているかを知る。

12

都市交通、渋滞対策 12/25

テキスト:第13、10章
キーワード:スプロール化、統合的交通政策、交通マネジメント、モビリティマネジメント、外部費用、混雑料金
内容:交通計画の視点から見た都市交通の課題と解決の方向としての交通マネジメント。テキストの他に、主にアメリカで発案されたTDM(交通需要マネジメント)についても紹介する。

13

公共交通 1/8

テキスト:第15、12章、訳者解説
キーワード:運輸連合、近距離交通計画、財源、顧客の権利
内容:これからの公共交通を運営する枠組みと財源調達、顧客の権利などの個別の課題について知る。

14

交通政策の歴史と文化的影響 1/15

テキスト:第6、16章
キーワード:技術、競争と協調、自動車信仰、モータリゼーション
内容:ドイツの(多くの西欧諸国や日本も同様の)交通政策の変化と、それによって人々の自動車に対する意識がどのように変化してきたのかを知る。

15

交通の未来 1/21(予定)

テキスト:第18、19章
キーワード:電気自動車、持続可能なモビリティ
内容:シナリオ分析の方法を用いて、今後の交通政策の選択肢を検討する。

授業実施形態

 

1回目はzoom、その後は対面。

授業外学習の指示

(1)毎回の講義終了後、manaba+Rを通じて質問を提出すること。
(2)毎回の講義終了後、配付資料、テキスト、自分のメモをまとめて、A4判2~4ページ程度の講義ノートを作成すること。また、翌週の講義で行われる質問の回答をふまえて、講義ノートにさらに加筆すること。
(3)テキストを使用する後半の講義では、毎回の講義の前にあらかじめテキストの該当章を読み、重要と思われる点やわからない点をメモしておくこと。講義では、自分が重要と考えた点が適切であったか検証し、疑問点を解消するように努める。それでもなお疑問が残る場合には、あらためて質問すること。
(4)講義全体の終了後(7月)に、再度自分の講義ノートを見直し、全体として講義でどのような点についての理解が得られたか確認すること。

成績評価方法

種別 割合(%) 評価基準等
定期試験(筆記)

レポート試験
(統一締切日を締切とするレポート)

上記以外の試験・レポート、平常点評価
(日常的な授業における取組状況の評価)
100

毎回の講義への有意義な質問 10%
期末レポート 90%
レポートは、講義内容の基礎的な理解できているかどうかと、その内容を現実的な課題に応用して考えることができるかを問う。

成績評価方法(備考)

①質問は義務ではなく、特に優れた質問に対して毎回1点、最大10点まで加点する。全ての質問に回答するとは限らない。

②中間・期末レポートの内容は、後日講義中に指示する。

③レポートの合計点が54点(合計90点の6割)以上であれば、毎回の講義への質問がなくても合格(C以上)となる。逆に、A+は90点以上であるので、質問による得点がなければA+の評価を得ることはできない。

④レポートにおいて剽窃が強く疑われるものや、内容の大半(8割以上)が資料の単なるコピーであるようなものには単位を与えない。このため、レポートには必ず参考資料リストを記し、引用部分は「 」に入れるとともに、どの参考資料からの引用かを明示すること。

⑤内容の大半(8割以上)が同一のレポートが複数あった場合には、どれがオリジナルでどれがコピーなのかを追究せず、全部を不合格とする。友人と協力してレポートを作成してもかまわないが、それぞれのオリジナリティを確保すること。

受講および研究に関するアドバイス

(1)講義配付資料は、毎回の講義の前日午後にはmanaba+Rの「コンテンツ」にアップロードするので、対面講義に出席の場合はそれをプリントアウトするか、自分の端末にとりこんで持ち込むこと。教室での資料配付は行わない。
 講義での説明にそって配付資料にメモをとることが望ましいので、プリントアウトまたはpdfファイルに自由に入力できるアプリの利用を推奨する。

(2)講義をライブ配信する場合は、zoomを用いる。

(3)講義への質問は、講義翌日の朝10時まで受け付ける。manaba+Rの「アンケート」に質問フォームを置く。
 毎回の講義は、前回の講義に対する質問へのコメントと今回の内容からなる。したがって、有意義な質問が多いほど、講義内容の理解が深まるので、積極的に質問してほしい。

(4)心身の障害、あるいは留学生で来日できない等でmanaba+Rの利用に困難がある場合は、状況に応じて対応するので、なるべく早く連絡してほしい。

教科書

書名 著者 出版社 ISBNコード 備考
交通政策ードイツにおける新しい潮流 O.シュヴェーデス ミネルヴァ書房 9784623085965

教科書(使用頻度、その他補足)

後半の講義で使用する。

参考書

書名 著者 出版社 ISBNコード 備考
地域交通政策づくり入門 : 人口減少・高齢社会に立ち向かう総合政策を 土居靖範, 可児紀夫, 丹間康仁編著 自治体研究社 9784880376653 講義5,6回の参考
都市交通の世界史-出現するメトロポリスとバス・鉄道網の拡大- 小池滋・和久田康雄(編) 悠書館 9784903487533 講義第2,3回の参考
ドイツにおける運輸連合制度の意義と成果 青木真美 日本経済評論社 9784818825345 ドイツの公共交通システムを理解する上では必携

参考書(使用頻度、その他補足)

参考書は、講義の理解を助けるので各自参照することが望ましい。

参考になるwwwページ

授業内外における学生・教員間のコミュニケーションの方法

その他(教員より別途指示)

備考

教員との直接の連絡はメールkondok@ba.ritsumei.ac.jp またはmanabaのコレクションを用いること。

教室での注意事項
・私語などの騒音は、他人の学習権の侵害である。注意してもやめない者には退出を命じる。
・パソコンでノートをとってもよいが、キーを打つ音はまわりにとって騒音になりうるので、配慮してほしい。
・講義中に飲み物を飲んでもかまわない。また、喉のために飴またはキャンデーを摂ってもかまわない。それ以外の食べ物を食べることは禁止する。
【科目ナンバリング・カリキュラムマップはこちらから/Click here to see the Curriculum-Map and Course-Numbering】
URL:https://www.ritsumei.ac.jp/students/pathways-future/course/curriculum.html/