授業科目名 年度 学期 開講曜日・時限 学部・研究科 全担当教員 単位数
14040:政治コミュニケーション(J) 2023 秋セメスター 木2 法学部 村上 剛 2

キャンパス

衣笠

授業施設

存心館ZS207号教室

授業で利用する言語

日本語

授業の概要と方法

【授業概要】
現代社会における、市民同士、メディア、政府・政治エリート間の政治に関するコミュニケーションの特徴、構造、機能について、専門論文から理論と実証を概観し、身近な事例に応用、更にそれらの現代民主主義における含意を考察することを目的とする。とりわけ、マスメディアおよびインターネットメディアが現代の政治コミュニケーションに果たす役割と効果について、多面的に検討を加える。

【フィードバック】
授業内容に関する質問は、授業中(対面が中心、オンライン参加者は気づいたときのみ)およびmanaba+Rの掲示板で随時受け付ける。また、提出課題についても講評を行う。

受講生の到達目標

1) 市民が自身の家族や友人、近隣の住民、他の市民や政治家などと、どのような政治コミュニケーションを実践しているのかについて、その特質や概念、理論の違いを峻別・特定することができる。

2) 政治コミュニケーションにおけるマス・メディアの機能や効果を多面的に捉え、一方的な見方や極端な主張を理論的に退けることができる。

3) 政治コミュニケーションの特性を表す複数の理論の利点や欠点について考え、それらの関係性を有機的に論じることができる。

4) 政治コミュニケーションの特性が、民主主義過程全体にどのような含意を持つのかを自分なりに議論することができる。

事前に履修しておくことが望まれる科目

政治学入門。統計学は履修の必要はないが、基礎を知っていることが望ましい。

授業スケジュール

授業回数/
担当教員(複数担当の場合)
テーマ
キーワード・文献・補足事項等
1

政治コミュニケーションを学んで分かること、分からないこと―概要説明

(授業の概要・方法と到達目標 成績評価方法)
初回授業は、オンラインで配信する可能性が高いです。その場合の詳細はmanabaでお知らせしますので、そちらを参照してください。

2

政策はいいから、名前だけでも覚えて帰ってください-選挙キャンペーンにおける政治コミュニケーション

想田和弘(監督). 2007. 『選挙』(ドキュメンタリー映画)紀伊國屋書店;
Jacobson, Gary C. 2015. "How Do Campaigns Matter?" Annual Review of Political Science 18: 31–47;
三浦麻子、稲増一憲、中村早希、福沢愛. 2017.「地方選挙における有権者の政治行動に関連する近接性の効果」社会心理学研究 32巻3号:174-186頁。

3

私ひとりが投票したところで、何も変わらないじゃない?―投票参加と選挙結果

飯田健、松林哲也、大村華子. 2015.『政治行動論』第4章:74-87頁;
Cancela, Joao and Benny Geys. 2016. "Explaining Voter Turnout. A Meta-Analysis of National and Subnational Elections." Electoral Studies 42: 264-275.

4

またいつもどおり政治家が足を引っ張りあって…―政治不信と有効性感覚、ネガティブ・キャンペーン

Prior, Marcus. 2018. Hooked. Cambridge University Press;
Ansolabehere, Stephen and Shanto Iyengar. 1995. Going Negative. New York: The Free Press;
Geer, John G. 2006. In Defense of Negativity: Attack Ads in Presidential Campaigns. Chicago: University of Chicago Press;
Kahn, Kim Fridkin and Patrick J. Kenney. 1999. "Do Negative Campaigns Mobilize or Suppress Turnout?" American Political Science Review 93(4): 877-889;
荒井紀一郎. 2014.『参加のメカニズム』(勁草書房、第5章:85-108頁)。

5

ちょっと何言ってるかわかんないです。-政治家による曖昧なコミュニケーション

木下健、オフェル・フェルドマン『政治家はなぜ質問に答えないか』(ミネルヴァ書房、2018年);
Feldman, Ofer, Ken Kinoshita and Peter Bull. 2017. "How and Why Wishy-Washy Politicians Equivocate on Japanese Political Interviews." Journal of Language and Politics 16:2: 285–312.

6

今日の首相のファッションチェック!―政治ニュースの娯楽化 インフォテインメント

Taniguchi, Masaki. 2011. "The Electoral Consequences of Candidate Appearances on Soft News Programs." Political Communication 28(1): 67-86;
Baum, Matthew. 2002. "Sex, Lies and War: How SoftNews Brings Foreign Policy to the Inattentive Public." American Political Science Review 96(1): 91-109;
Prior, Markus. 2005. "News vs. Entertainment: How Increasing Media Choice Widens Gaps in Political Knowledge and Turnout." American Journal of Political Science 49, no. 3: 577-592;
Boukes, Mark and Hajo G. Boomgaarden. 2016. “Politician Seeking Voter: How Interviews on Entertainment Talk Shows Affect Trust in Politicians.” International Journal of Communication 10: 1145-1166.

7

議論と課題の説明①

政治家は有権者とどのようなコミュニケーションをしようとしているのか?

8

「オレはメディアに騙されないぞ!」…って、思うじゃん?―敵対的メディア認知と第三者効果

飯田健、松林哲也、大村華子. 2015.『政治行動論』、第6章:109-124頁;
Davidson, W. Phillips. 1983. “The Third-Person Effect in Communication.” Public Opinion Quarterly 47, no 1: 1-15;
Hansen, Glenn J., and Hyunjung Kim. 2011. Is the Media Biased Against Me? A Meta-Analysis of the Hostile Media Effect Research." Communication Research Reports 28(2): 169-179.
Feldman, Lauren. 2018. "The Hostile Media Effect." In Kate Kenski and Kathleen Hall Jamieson, eds., The Oxford Handbook of Political Communication;
正木誠子「テレビ批判態度の規定因:テレビが他者に与える影響の見積りと第三者効果との関連を中心に」社会情報学 7巻3号(2019):1-16頁。

9

「世論はメディアに操られている!」…と、思うじゃん?―議題設定効果、プライミング、フレーミングと対抗フレーミング

飯田健、松林哲也、大村華子. 2015.『政治行動論』、第6章:109-124頁;
辻大輔・是永論・関谷直也. 2014.『コミュニケーション論をつかむ』151-155頁;
McCombs, Maxwell and Jae Kook Lee. 2013. “Mapping the Psychology of Agenda Setting.” In Erica Scharrer, ed., Angharad N. Valdivia, general ed., The International Encyclopedia of Media Studies. Vol. V, pp. 41-62;
Hansen, Kasper M. 2007. "The Sophisticated Public: The Effect of Competing Frames on Public Opinion." Scandinavian Political Studies 30(3): 377-396.

10

嘘だっ!!-フェイクニュースと政治コミュニケーション

Guess, et al. 2020. "Fake News May Have Limited Effects Beyond Increasing Beliefs in False Claims." The Harvard Kennedy School Misinformation Review 1(1): 1-12;
Guess, Andrew, Jonathan Nagler, and Joshua Tucker. 2019. “Less Than You Think: Prevalence and Predictors of Fake News Dissemination on Facebook.” Science Advances 5: 1-8;
笹原和俊『フェイクニュースを科学する』(化学同人 DOJIN選書 79、2019年、Kindle版)。

11

「オレ、ビール!」「あ、私も!」「じゃぁオレも。」…さて、あなたは?―アナウンスメント効果:勝ち馬・負け犬効果とモメンタム効果 

村上剛、荒井紀一郎、河野勝. 2016.「多数派形成に関する調査実験」肥前洋一編著『実験政治学』4章:69-90頁;
van der Meer, Tom W. G., Armen Hakhverdian and Loes Aaldering. 2016. "Off the Fence, onto the Bandwagon? A Large-Scale Survey Experiment on Effect of Real-Life Poll Outcomes on Subsequent Vote Intentions." International Journal of Public Opinion Research 28(1): 46-73;
Barnfield, Matthew. 2020. “Think Twice before Jumping on the Bandwagon: Clarifying Concepts in Research on the Bandwagon Effect.” Political Studies Review (18)4: 553-574.

12

議論と課題の説明①

有権者は、政治情報をどのように消費しているのか?

13

私の周りに与党支持者なんていないけど、一体誰が支持しているの?―同類原理、フォールス・コンセンサス効果とエコーチェンバー

Huckfeldt, Robert, Paul E. Johnson, and John Sprague. 2002. "Political Environments, Political Dynamics, and the Survival of Disagreement." Journal of Politics 64(1): 1-21;
Ikeda, Ken’ichi and Sean Richey. 2012. Social Networks and Japanese Democracy;
Barbera, Pablo et al. 2015. "Tweeting From Left to Right: Is Online Political Communication More Than an Echo Chamber?" Psychological Science 26(10): 1531-1542;
田中辰雄・浜屋敏 2019.『ネットは社会を分断しない』(角川書店);
辻大介「ネットは世論を分極化するか」辻大介編『ネット社会と民主主義』2021年、181-200頁。

14

彼女/彼氏と政治的イデオロギーが合わなくて困ってるんです…?―友人、家族、同僚との政治コミュニケーション

Alford, John R., Peter K. Hatemi, John R. Hibbing, Nicholas G. Martin, and Lindon J. Eaves. 2011. “The Politics of Mate Choice.” Journal of Politics 73, no. 2: 362-379;
Huber, Gregory and Neil Malhotra. 2016. "Political Homophily in Social Relationship." Journal of Politics 79(1): 269-283.

15

政治コミュニケーションから民主主義を考える―まとめ

(これまでの授業内容の振り返り、関連性の確認)

授業実施形態

BCP停止の場合は、BCPレベル0~2の記載どおりに授業が行われます。
During the suspension period of BCP, classes will be as described in BCP levels 0-2.

初回授業は、現在のところメディアによる授業(オンライン配信)を行う予定ですが、教室から行います。配信を行う場合の詳細については、manabaでアナウンスしますので、そちらを参照してください。

基本的な実施形態については、以下のとおりです。

【BCPレベル※が2以下の場合】
原則として全ての授業回で対面授業を実施する。

【BCPレベル※が3以上の場合】
原則としてライブ配信方式で授業を実施し、やむを得ず授業の時間にライブ受講できなかった者に対し、その録画データを学内ネット―ワーク内のOne Driveにてオンデマンド公開する。

対面・オンラインにかかわらず、授業資料(レジュメ)や課題に必要な資料・情報はすべて、manaba+RやOneDriveを通じて提供する。


授業配慮については、2023年春学期より立命館大学の方針が変更されています。
基本的には、学校感染症に罹患した場合や基礎疾患がある場合に、配慮申請書を提出して自宅から受講できるようにする、といったこれまでの配慮方法は無くなります。

詳しくは、以下の「公欠・公欠以外の授業配慮、学校感染症に罹患した場合の取扱い」を参照してください。
https://www.ritsumei.ac.jp/pathways-future/course/absence.html/

※「BCPレベル」とは、立命館大学の「新型コロナウイルス感染症に対する立命館大学の行動指針」のことで、詳細については、以下の大学ホームページの記載を参照。
http://www.ritsumei.ac.jp/news/covid19/

授業外学習の指示

1. 読書
シラバスの各週に書いてある図書のうちのいくつかは、事前に用意してアナウンスする予定ですので、授業前になるべく多くのものに目を通してきてください。ただし、英語で書かれたものが多く、内容も専門的ですので、全て読むのはハードルが高いです。要約と導入・結論部分など、一部でも構わないので、ゆっくり丁寧に2回読んでくると良いでしょう。

2. 概念理解の確認
授業が終わった後は配布したレジュメを読み直し、そこに出てきた鍵となる概念を自分の言葉で説明できるかどうか、チェックしてください。

3. 具体例の検索・事例への応用
授業で学んだ概念や理論などの具体例を引き出すため、あるいはそれらを具体的な事例に応用するため、習慣的に政治のニュースを読んでください。大手新聞のオンライン版は、通常会員にならないと記事が読めませんが、立命館大学は各種の新聞をデータベースから読める契約を結んでいますので、図書館のウェブサイトを経由して記事を読むことができます。少し手間がかかりますが、気になる記事があれば探してみてください。

立命館大学図書館 データベース
https://database.ritsumei.ac.jp/opac/gateway/

NHKのニュースは無料で(というより受信料の徴収により)読むことができます。

NHK News
https://www3.nhk.or.jp/news/


また、この授業では、政治家が何を言っているのかを知ることも重要ですので、自分の地元の選挙区に出馬している候補者が選挙期間中に何を言っていたのか、あるいは当選したら国会で何を言っているのか、などを個人のホームページやSNSアカウントで検索して読んで/聞いてみると良いでしょう。

成績評価方法

種別 割合(%) 評価基準等
定期試験(筆記) 0

レポート試験
(統一締切日を締切とするレポート)
0

上記以外の試験・レポート、平常点評価
(日常的な授業における取組状況の評価)
100

manaba+R上て行う、
 1. 小テスト(2回予定)
 2. 課題レポート(1回予定)
により評価する。詳細は主に授業中に説明する。不正な提出を発見した場合は、無条件でF評価とする。

成績評価方法(備考)

受講および研究に関するアドバイス

【重要】
 立命館大学では、学問的誠実性を重く受け止めており、授業中、課題提出時及びに試験における不正行為(虚偽の報告、剽窃、他の学生の成果物の盗用やコピー、カンニングなど)が発覚した場合は、「立命館大学学生懲戒規程」により厳しく罰せられます。
 とりわけ課題提出においては剽窃(ひょうせつ)が問題となります。剽窃とは、一般に公開・公刊されている他人のアイデア・文章・データなどを正しく引用・明示せず、あたかも自らが考えた/書いたものであるかのように示す行為です。ウェブページ、本、新聞記事、雑誌など媒体の種類を問わず、出版・公表物から得た知識についてはすべてその出典を正しく記すことが求められます。
 また、以前この授業で先輩達が提出したレポートや、他の学生たちが書いたレポート、更にはみなさん自身が他の授業で提出したレポートを一部でも丸写しする行為も剽窃とみなされます。私は他の学生が提出するレポートはもちろんのこと、以前先輩達が提出したレポートもすべて電子ファイルで保管しています。更に、本やウェブページ、他人のレポートにある文言と、提出された課題内の文言に不自然な一致・重複がないかを機械的に判定する便利なソフトウェアも持っていますので、剽窃をしたかどうかはすぐに判明してしまいます。学習する権利を自ら否定する剽窃は、絶対にしないよう心掛けてください。この件のついての詳細は、授業中に解説します。

教学部・学生部「軽い気持ちでやったことが大きな代償に…」(2022年1月21日最終確認)
www.ritsumei.ac.jp/file.jsp?id=481895

教科書

書名 著者 出版社 ISBNコード 備考
政治行動論 飯田健、松林哲也、大村華子 有斐閣ストゥーディア 9784641150294 4章、6章、8章

教科書(使用頻度、その他補足)

教科書はあった方が分かりやすくなりますが、講義は教科書外からの内容がほとんどのため、購入を強くは求めません。使用頻度は、授業時間内で利用することはありませんが、課題や復習試験で用います。

参考書

書名 著者 出版社 ISBNコード 備考
実験政治学 肥前洋一 勁草書房 9784326349135 第4章
コミュニケーション論をつかむ 辻大輔、是永論、関谷直也 有斐閣 978-4-641-17720-8 第3章、unit 16-18
Hooked Marcus Prior Cambridge University Press 9781108355001 第3部

参考書(使用頻度、その他補足)

参考書を買う必要はありません。

参考になるwwwページ

授業内外における学生・教員間のコミュニケーションの方法

manaba+R,学生との直接対話,その他(教員より別途指示)

備考

ひとこと教員紹介:毎日体重をエクセルに入力しています(そういう年頃)。
【科目ナンバリング・カリキュラムマップはこちらから/Click here to see the Curriculum-Map and Course-Numbering】
URL:https://secure.ritsumei.ac.jp/students/pathways-future/course/curriculum.html/