授業科目名 年度 学期 開講曜日・時限 学部・研究科 全担当教員 単位数
16316:IR18‐DJ103 国際連合入門(R1) § 16317:IR-DR103 国際連合入門(R1) 2024 春セメスター 木5 国際関係学部 石川 幸子 2

キャンパス

衣笠

授業施設

恒心館KS209号教室

授業で利用する言語

日本語

授業の概要と方法

「20世紀に創設された国連は21世紀の新たな課題に対応できるのか。」第二次世界大戦後に平和と安全の維持を主目的に創設された国連は、2023年で78年を迎えた現在、環境問題、感染症、国内・地域紛争、難民問題、テロ等のグローバル化する世界が抱える課題に直面しており、その役割の重要性は増している。しかし、その一方で、未だ国家主権対国連の問題は、国連活動の大きな制約要因となっている。2022年2月には安全保障理事会の常任理事国であるロシアが主権国家のウクライナに侵攻するという事態にまで発展した。
これらの状況を踏まえて、本授業では、まず、国連の目的、創設の経緯、原則を理解したうえで、国連の活動に関与するアクターと組織(加盟国、主要機関、専門機関、プログラム、基金)を把握する。次に、国連の活動をその目的から3つに分け、平和の創造・維持・構築、人権促進と人道支援、並びに経済社会活動の順にその活動内容を考察していく。平和の創造・維持・構築分野では、集団安全保障の概念、安全保障理事会の機能と限界、平和維持活動(PKO)に加えて、比較的新し活動として和平調停や平和構築委員会の活動にも触れる。人権・人道分野では、人権促進活動とともに、難民救援活動を中心に解説する。経済社会活動分野については、この78年間の国際社会の変動に対応した国連の活動を振り返るとともに、現在全加盟国が取り組んでいる維持可能な開発目標(SDGs)とそれを支える人間の安全保障の概念について考える。また、現状に鑑みて必至であろう国連改革についても問題点とその解決について考えていく。
本授業全体を通して、組織としての国連のみならず、国連の活動に関与してきた人々(国際公務員を含む)にもスポットライトを当て、受講生がより臨場感を伴って国連の活動を理解できるように講義を進める。学期中に2名のゲスト講師を招いて、それぞれの専門分野を踏まえて「国連(専門機関)のマンデートと課題」についてお話いただく予定である。基本的に授業は講義形式で行うが、受講生との対話、Q&Aの時間も設けながら進める。また、講義に関する質問やコメントについては、適宜授業の中で補足説明を行っていく。

受講生の到達目標

 国連の6主要機関(国連総会、安全保障理事会、経済社会理事会、国際司法裁判所、信託統治理事会、並びに事務局)の役割について説明できるようになる。
 国連の創設時から冷戦期を経て今日に至るまでの国際社会の変化に、国連がどのように対応してきたかを、安全保障、人権と人道支援、並びに経済社会活動の面から、それぞれ説明できるようになる。
 第1の国連(加盟国)、第2の国連(事務局、専門機関、プログラム)、並びに第3の国連(NGOs)の立場の違いと、それぞれの役割を、国益と国際的な共通の利益の観点から説明できるようになる。

事前に履修しておくことが望まれる科目

授業スケジュール

授業回数/
担当教員(複数担当の場合)
テーマ
キーワード・文献・補足事項等
1

国連の目的と創設経緯

第二次世界大戦後に創設された国連の目的とそれに至る歴史的経緯を紐解くことによって、国連に期待されている役割、及びその特徴を理解する。

第一次世界大戦と国際連盟、第二次世界大戦と国際連合、国連憲章、敵国条項

2

国連の原則

国連憲章第2条で規定されている7つの原則を精査することによって、各分野における国連の活動の可能性と限界を理解する基盤を作る。

主権平等、義務遂行、国際紛争の平和的解決、領土保全と政治的独立の尊重、国連への協力、国連非加盟国、内政不干渉

3

国連の加盟国及び事務局

国連の構成員である加盟国について、その資格、及び新加盟国の承認問題(冷戦、国家承認、国家統合と分離)を理解すると共に、国連の運営に不可欠な事務総長と事務局、国際公務員の機能を把握する。

国連加盟国の地位、国連事務局、事務総長、国際公務員

4

国連の組織と機能(1)

国連の主要6機関のうち、事務局を除く5機関(総会、安全保障理事会、経済社会理事会、信託統治理事会、国際司法裁判所)の権限と機能について理解する。また、国連の理念を実践する国連の専門機関、プログラム、基金の創設と活動、並びにそれらの財源について考察する。

総会、安全保障理事会、経済社会理事会

5

国連の組織と機能(2)

国連の主要6機関のうち、事務局を除く5機関(総会、安全保障理事会、経済社会理事会、信託統治理事会、国際司法裁判所)の権限と機能について理解する。また、国連の理念を実践する国連の専門機関、プログラム、基金の創設と活動、並びにそれらの財源について考察する。

信託統治理事会、国際司法裁判所、専門機関との協定、基金とプログラム

6

国連による平和の創造・維持・構築(1):理念と仕組み

武力行使の原則的禁止、自衛権(個別的、集団的)の行使、国連軍を想定した集団的安全保障といった国連憲章の理念を理解するとともに、安全保障理事会の機能と限界を掘り下げる。

武力不行使原則、個別的自衛権、集団的自衛権、国連軍、安全保障理事会、常任理事国、拒否権

7

国連による平和の創造・維持・構築(2):実施措置

紛争の平和的解決、強制措置(経済制裁、軍事制裁)と、不完全な国連の集団安全保障体制を補完する平和維持活動(PKO)と多国籍軍の活動に加え、世界の情勢変化に伴い、和平調停や平和構築が国連の活動に加えられたことを理解する。

紛争の平和的解決、強制措置(経済制裁、軍事制裁)、多国籍軍、PKO、和平調停、平和構築委員会

8

国連による平和の創造・維持・構築(3):平和維持活動(PKO)の変遷

平和維持活動(PKO)の創設から現在に至るまでの機能の変容を考察し、時代の要請に合わせて展開されてきた活動について、具体的なPKOの事例を考察して理解を深める。

伝統的PKO, 第二世代のPKO, 第三世代のPKO, パレスチナ休戦監視(UNTSO)スエズ危機(UNEF)、カンボジア(UNTAC)、ソマリア(UNOSOM)、ボスニア・ヘルツェゴヴィナ(UNPROFOR)、ルワンダ(UNAMIR)、東ティモール(UNAMET)

9

国連による平和の創造・維持・構築(4):課題と展望

安保理からの授権なき武力行使や、国連の正当性を利用して行われる占領政策、国連主導の和平調停の無力化など、近年の大国による「国連の濫用」問題について考える。

多国籍軍の展開、イラクの国家再建、シリア紛争和平調停

10

国連による人権促進及び人道支援(1):人権規約と実施体制

世界人権宣言に始まる国連の人権擁護・促進活動の展開を、各種の人権規約と条約、及び人権理事会、国連人権高等弁務官(OHCHR)の活動等から考察する。

世界人権宣言、国際人権規約(社会権規約、自由権規約)、人権理事会、国連人権高等弁務官(OHCHR)

11

国連による人権促進及び人道支援(2):難民問題と人道危機

戦後70年に渡って国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)を中心に行われてきた難民支援の変遷を理解するとともに、人道危機への対応措置である人道的介入、保護する責任について、その効果と限界を考える。

国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)、難民条約及び議定書、難民に関するグローバル・コンパクト、人道介入、保護する責任

12

国連による経済社会活動(1):非植民地化と南北問題

国連創設時から70年代にかけて、焦点となった、戦後復興、新興独立国支援と、その後の南北問題について国連内の動向を理解する。

ブレトンウッズ体制、民族の自決権、国連開発の10年、UNCTAD, 南北問題

13

国連による経済社会活動(2):構造調整と開発へのパラダイムシフト

途上国債務問題が深刻化した1980年代には、世界銀行主導の構造調整が主流となり、その後、1990年代に開発へのパラダイムシフトとそれに伴う気候変動への対応が国連の重要なマンデートになっていることを理解する。

途上国債務問題、構造調整、開発パラダイム、人間開発指標、気候変動

14

国連による経済社会活動(3):人間の安全保障と開発目標

2000年以降には、平和と開発を統合した人間の安全保障の概念が国連によって構築されてきたこと、及びミレニアム開発目標(MDGs)とそれに次ぐ維持可能な開発目標(SDGs)が採択され、現在、全加盟国の努力により目標達成が期待されていることを理解する。

人間の安全保障、ミレニアム開発目標(MDGs)、持続可能な開発目標(SDGs)

15

国連の展望と課題

「20世紀に創設された国連は21世紀の新たな課題に対応できるのか」との問いに対し、国家主権、日本を含めた各国の国連政策、グローバル課題と国連というテーマを通して、国連の展望と課題を考える。

国家主権と国連、グローバル課題解決への求心力、安保理改革

授業実施形態

初回の授業はオンラインで実施する。その他の授業は、講師からの連絡がない限り、原則として全て対面で行うものとする。

授業外学習の指示

 事前にシラバスに記載されているキーワードについて調べてから授業に臨む。
 授業後に、パワポ資料(ないしはレジュメ)の内容を再確認し、復習を行う。
 授業内に出てくる国連憲章条項、及びその他条約、協定の内容を条約集等で確認する。
 下記に挙げている参考書、または授業内で紹介する参考文献の内、最低一冊は精読し、国連活動の全容把握に努める。
 メディアの報道、国連のホームページ等で国連の活動をフォローしていく。

成績評価方法

種別 割合(%) 評価基準等
定期試験(筆記) 0

レポート試験
(統一締切日を締切とするレポート)
0

上記以外の試験・レポート、平常点評価
(日常的な授業における取組状況の評価)
100

40%は、クラスへの参加度を評価する。具体的には、与えられたテーマにかかる回答を記載したコミュニケーション・ペーパー及び出席カードの提出状況、及びクラス内での質疑応答などの状況を考慮する。
60%は、与えられた課題についてのレポートで評価を行う。

成績評価方法(備考)

受講および研究に関するアドバイス

教科書

教科書(使用頻度、その他補足)

教科書は特に指定しない。

参考書

書名 著者 出版社 ISBNコード 備考
国際機構論講義 最上敏樹 岩波書店 ISBN978-4-00-022954-8
国際連合:その役割と機能 植木安弘 日本評論社 SBN978-4-535-58714-4
国際機構論入門 山田哲也 東京大学出版会 ISBN978-4-13-0032224-9
国連の政治力学 北岡伸一 中公新書 ISBN978-4-12-101899-1
国際連合 明石康 岩波新書 ISBN4-00-431052-0
いま平和とは 人権と人道をめぐる9話 最上敏樹 岩波新書 ISBN4-00-431000-8
コンパクト学習条約集 第3版 芹田健太郎 他 信山社 SBN978-4-7972-5913-1

参考書(使用頻度、その他補足)

その他、授業項目ごとの参考文献については、適宜、紹介する。

参考になるwwwページ

授業内外における学生・教員間のコミュニケーションの方法

manaba+R,学生との直接対話

備考

本授業の担当者は、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)にて7年勤務した実務経験を有する。その後、日本の財団、国際協力機構(JICA)における実務経験の中でも、国連機関や地域協力機関との連携・協力を推進してきた。授業では、これらの実務経験も紹介しながら、受講生が国連や国際協力の活動をより身近に、かつ多角的に理解できるように努めたい。
【科目ナンバリング・カリキュラムマップはこちらから/Click here to see the Curriculum-Map and Course-Numbering】
URL:http://www.ritsumei.ac.jp//students/pathways-future/course/curriculum.html