授業科目名 年度 学期 開講曜日・時限 学部・研究科 全担当教員 単位数
12790:東洋史学研究の方法 (LA) § 12791:東洋史特殊講義(LA) 2021 春セメスター 木3 文学部 松本 保宣 2

キャンパス

衣笠

授業施設

敬学館KG205号教室

授業で利用する言語

日本語

授業の概要と方法

唐王朝の政治制度―都城・宮城と聴政―
中国史の長い期間を占める皇帝政治の時代は、「中央集権的官僚制国家」という特徴を指摘できる。
もちろん、2000年間不変の状況であったというわけではなく、時代による変化を看取できる。
7世紀から10世紀まで存続した唐王朝は、帝政中国の分水嶺の位置を占める。
具体的にいうと、唐王朝は秦漢帝国以来発展してきた官僚制度の集大成を体現しており、唐王朝以後の諸王朝の模範となった諸制度を編み出したのである。本講義は、官僚制度だけでなく、その上に君臨する皇帝の行動様式・日常の仕事ぶりを、彼の本拠地である都城や宮殿の制度を踏まえた上で論述する。

【授業方法】講義形式
【質問・課題等へのフィードバック方法】授業内,manaba+R

受講生の到達目標

1.中国王朝の顕著な特質である官僚制度の特徴を把握することによって、「帝政中国」とは何かを理解出来る。
2.中国史の転換期である唐代の諸制度を学ぶことにより、中国史全体の流れを見通し、理解出来るようになる。
3.唐代の諸制度を理解することにより、日本などの周辺諸国の制度、国際交流に対する知見を獲得できる。

事前に履修しておくことが望まれる科目

東洋史概論、特に中世時期を扱う概論Ⅱなど。

授業スケジュール

授業回数/
担当教員(複数担当の場合)
テーマ
キーワード・文献・補足事項等
1

はじめに。中国の歴史の特質

Web授業。皇帝政治と中国官僚制の関連。中国史の時代区分について。
キーワード:文官の優位・唐宋変革論

2~3

隋唐史概説

第2週までWeb授業。第3週より対面授業。
唐代の前史である隋朝と合わせた概説。
キーワード:南北の統合・律令体制とその崩壊後の世界・安史の乱・使職と財政国家

4

唐代官制史

主に中央政府の官僚制度についての概説。
キーワード:三省制・宰相制度・科挙

5

唐代文書制度史

中央集権体制を支える文書制度についての概説。特に詔勅の発布過程について。
キーワード:詔勅と上奏文・政策決定過程

6~7

隋唐の都城

隋唐の都である長安と洛陽の解説。中国中世の都城制の特色について。
キーワード:宇宙論と都城制・坊制・唐代後半期の変容

8~9

唐代宮城の構造

長安の3大宮城と洛陽宮についての解説。
キーワード:太極宮・大明宮・興慶宮・洛陽宮・朝会儀礼について

10

宮城と政治および政治制度との関連

宮城で展開された政治構造の変容を直訴を中心に解説。
キーワード:朝堂と閤門・直訴受理機関の問題・宦官勢力の台頭

11

隋唐皇帝の御前会議ーその1、唐代前半期の聴政ー

隋および唐代前半期の御前会議にみる皇帝の執務について、その制度的変容を解説
キーワード:正殿聴政・対仗奏事と仗下奏事・隋文帝・煬帝・唐太宗・高宗・則天武后・玄宗

12

隋唐皇帝の御前会議ーその2、唐代後半期の聴政ー

安史の乱以後の唐代後半期の御前会議の制度
キーワード:便殿聴政の開始:延英殿と紫宸殿

13

唐代後半期の皇帝執務の具体例ーその1:文宗皇帝の場合ー

御前会議に傾注した皇帝として、文宗皇帝を取り上げ、その政治改革を論じる。
キーワード:「勤政」の君主とは・甘露の変・開成年間の制度改革

14

唐代後半期の皇帝執務の具体例ーその2:宣宗皇帝の場合ー

御前会議に傾注した皇帝の2人目として、宣宗皇帝を取り上げ、その治世の特色を述べる。
キーワード:唐朝最後の「名君」・独裁的手法とその問題点

15

まとめ 御前会議にみる皇帝政治の変容

キーワード:再び唐宋変革論の試み

授業実施形態

【BCPレベル1~2】
(受講登録者数次第)
第1週目、第2週目はWEB授業で実施します。
受講登録者数が教室定員以下の場合は、第3週目から対面授業を実施します。
受講登録者数が教室定員を超えた場合は、第3週目以降もWEB授業を継続します。ただし、グループ分け等の方法により対面授業を実施する場合もあります。

【BCPレベル3~4】
(WEB授業)
WEB授業で実施します。一部、実習・フィールドワーク科目については、科目特性上、対面授業で実施する場合もあります。該当授業については個別にmanaba+R等で通知します。

授業外学習の指示

文学部の教学の集大成は、卒業論文の作成であるが、そこに至る過程として高度な学術論文の読解が必須である。本講義はその一端を紹介するが、結局、どれだけの参考文献を収集し、それを咀嚼しているかが、研究の発展につながる。可能な状況下であるならば、図書館・文献資料室におもむき、冊子体の学術書を読破してもらいたい。

成績評価方法

種別 割合(%) 評価基準等
定期試験(筆記)

レポート試験
(統一締切日を締切とするレポート)

上記以外の試験・レポート、平常点評価
(日常的な授業における取組状況の評価)
100

manaba+Rにて、コミュニケーションペーパーを提出する。
それと期末レポートを課す。
コミュニケーションペーパーの提出40%
期末レポート60%

成績評価方法(備考)

受講および研究に関するアドバイス

教科書

書名 著者 出版社 ISBNコード 備考

教科書(使用頻度、その他補足)

プリント配布する

参考書

書名 著者 出版社 ISBNコード 備考
唐王朝の宮城と御前会議-唐代聴政制度の展開 松本保宣 晃洋書房 978-4771017719
概説中国史 上 冨谷至, 森田憲司編 昭和堂 978-4812215166
中国史〈2〉―三国~唐 (世界歴史大系) 松丸道雄他編 山川出版社 978-463446160

参考書(使用頻度、その他補足)

概説書では、山川出版社のものが最も詳細、新しいのは、昭和堂のもの

参考になるwwwページ

授業内外における学生・教員間のコミュニケーションの方法

manaba+R,学生との直接対話

備考

【科目ナンバリング・カリキュラムマップはこちらから/Click here to see the Curriculum-Map and Course-Numbering】
URL:http://www.ritsumei.ac.jp//students/pathways-future/course/curriculum.html