授業科目名 年度 学期 開講曜日・時限 学部・研究科 全担当教員 単位数
12782:東洋史概論Ⅲ(L) 2021 秋セメスター 火3 文学部 牛根 靖裕 2

キャンパス

衣笠

授業施設

敬学館KG208号教室

授業で利用する言語

日本語

授業の概要と方法

〈講義テーマ:10世紀〜14世紀のユーラシア東方史〉
 本講義は、10世紀〜14世紀のユーラシア東方の歴史について概説する。五代十国時代から元朝時代までの中国史を中心に、中央ユーラシア史、海域アジア史等との関わりも視野に入れつつ概観する。
 中国では唐末宋初の頃から商業都市である市鎮や村落において、流通の発達、産業の分業化によって物流経済の発展が著しく、江南の開発とともに経済の重心は南に移るものの、政治・軍事の中心は黄河流域あるいは北京にあったため、両者を連結する交通・漕運が国家における重要性を帯びるようになっていった、大きな変化の時代でもある。
 一方、唐が衰退した後のユーラシア東方では、長く中国の国家体制の中心だった華北の外の各地、とりわけ長江中下流域や南シナ海沿海地域、そして大興安嶺山脈周辺の諸集団が自立を果たし、独自の国家・文化・経済圏を築き、そして自らの歴史を文字で記した時代である。
 現代にも通じるアジア各地の「伝統社会」が成立するすこし前のユーラシア東方社会がどのような歴史的変遷を経たのか、その特徴とはどのようなものであったのかを、具体的な歴史事象の学習を通じて考えていきたい。

〈出席登録と授業時の課題〉
 授業期間中に複数回の課題レポート(400〜600字程度)を出題します。
 授業内容への質問・意見に関しては、毎回の授業の出席カードに記入して提出するか、manaba +R の本授業の掲示板に記入してください。その中で、授業内容に深く係わるもの、特徴的なものについては、次々回の授業冒頭で取り上げ、回答や補足説明を行ないたいと考えています。

受講生の到達目標

(1)10世紀〜14世紀のユーラシア東方の歴史を理解し、それを説明することができる。
(2)ユーラシア東方の各地の社会の相互的な関係について理解し、それを説明することができる。
(3)歴史上の事象が、現代社会とどのように関連しているのか、自ら批判的に考察し、それを説明することができる。

事前に履修しておくことが望まれる科目

東洋史概論 I・II・IV

授業スケジュール

授業回数/
担当教員(複数担当の場合)
テーマ
キーワード・文献・補足事項等
第1回

導入:10〜14世紀のユーラシア東方史の概略

農耕社会/遊牧社会/前田直典/内藤湖南/宮崎市定/「唐宋変革」/K. A. Wittfogel/田村實造/征服王朝論/本田實信/妹尾達彦/古松崇志

第2回

中国の五代十国諸政権と契丹

唐の滅亡/沙陀政権/五代十国/江南開発/契丹/遼/斡耳朶/契丹文字/高麗

第3回

北宋の中国統一と「澶淵の盟」

宋/趙匡胤/藩鎮/禁軍/中央集権化/〔遼〕聖宗/〔北宋〕真宗/「澶淵の盟」/科挙/士大夫

第4回

11 世紀前半「澶淵体制」下の中国

〔北宋〕仁宗/西夏/〔北宋〕神宗/王安石/新法/党争/典籍編纂/契丹仏教

第5回

ジュシェンの大金国とカラ = キタイ(西遼)

ジュシェン(女真)/猛安・謀克/女真文字/「靖康の変」/南宋/〔南宋〕高宗/耶律大石/カラ=キタイ(西遼)

第6回

南宋と西夏の経済・社会

交鈔/会子/〔南宋〕孝宗/〔金〕世宗・章宗/韓侂冑/江南開発/漕運/海運/木版印刷・出版の普及/民間芸能/党項(タングート)/河西回廊/キャラバン交易/西夏文字/敦煌

第7回

附論:中国産業通史

塩・鉄/絹織物/茶/磁器/専売制/官営手工業/匠役制

第8回

モンゴルの勃興

耶律大石/カラ=キタイ(西遼)/ホラズム = シャー朝/大モンゴル国(モンゴル帝国)/チンギス=カン

第9回

モンゴルの拡大と統治

千戸制/分封制/ウルス/ケシク/オルド/ダルガ

第10回

「モンゴル」によるユーラシアの経済・財政的統合

オゴデイ/戸口調査/「乙未年籍」/税制/駅伝(駅逓)/投下/ダルガチ(達魯花赤)/オルトク(斡脱)/銀錠

第11回

モンゴル諸政権の躍動

グユク/モンケ/バト/ジョチ=ウルス/フレグ=ウルス/テュメン(トゥメン)/クビライ/アリクブケ/大都/上都/パクパ(パスパ)文字/行中書省/路・州・県/録事司

第12回

14世紀前半の気候変動と政治の混迷

「カイドゥの国」/チャガタイ=ウルス/「ナヤンの乱」/「Pax Tatarica」/『集史』/アユルバルワダ(仁宗)/科挙の再開/「天暦の乱」/トクテムル(文宗)/キプチャク/アス/『経世大典』/『モンゴル秘史』

第13回

元朝治下のユーラシア東方の社会経済(1)

「四身分制」/根脚/他言語社会の文書行政/宗教/「道仏論争」/道教/禅宗/チベット仏教/帝師/石刻資料/雑劇(元曲)/孔子廟/衍聖公/儒学/「学校」

第14回

元朝治下のユーラシア東方の社会経済(2)

塩専売/塩引/紙幣/交鈔/商税/青花(染付)/天文学・暦学/授時暦/「混一疆理歴代国都之図」/海上交易/元寇/日元交易

第15回

元明交代 〜ポスト=モンゴル時代へ〜

トゴンテムル(恵宗/順帝)/アス軍閥政権/「14世紀の危機」/「紅巾の乱」/張士誠/朱元璋/明/北元/オイラト/ティムール朝/ダヤン = ハーン

授業実施形態

【BCPレベル1~2】
(受講登録者数次第)
第1週目、第2週目はWEB授業で実施します。
受講登録者数が教室定員以下の場合は、第3週目から対面授業を実施します。
受講登録者数が教室定員を超えた場合は、第3週目以降もWEB授業を継続します。ただし、グループ分け等の方法により対面授業を実施する場合もあります。

【BCPレベル3~4】
(WEB授業)
WEB授業で実施します。一部、実習・フィールドワーク科目については、科目特性上、対面授業で実施する場合もあります。該当授業については個別にmanaba+R等で通知します。

授業外学習の指示

 各回のレジュメを見直しつつ、参考文献欄に挙げた書籍や、講義中に紹介する関連文献を積極的に読んでもらいたい。また予備知識として、手元に中学歴史、高校世界史の教科書、アジア史の概説書があれば、当該時期のところを通読しておくことを勧める。

成績評価方法

種別 割合(%) 評価基準等
定期試験(筆記)

レポート試験
(統一締切日を締切とするレポート)
30

授業内容に基づいた期末レポートを課す。

上記以外の試験・レポート、平常点評価
(日常的な授業における取組状況の評価)
70

受講生には、各単元の終了時に manaba+R の[レポート]機能で課題レポート(400〜600字)の提出を求める。レポートでは、講師が出題するテーマに基づいて授業内容の要約と、各テーマに対して自身が考えた意見を論述してもらう。レポートの提出状況や内容を評価する。

成績評価方法(備考)

・出席管理は manaba+R の[出席カード]機能で実施する。11回以上の授業への出席が認められない者は、成績評価の対象とはしない場合がある。実習など止むを得ない事情により欠席する場合は、必ず事前に担当教員に申し出ること。
・私語、携帯電話の操作、飲食など、真面目に学習する受講生の迷惑になる行為は、目に余るようであれば「欠席」扱いとする。

※ レポート等で提出する文章に関して、全文・部分を問わず引用する際は必ず書籍やwebページなどの典拠を明記して、引用部分を明示すること。典拠を示さずに引用した場合は、剽窃とみなして対応する。

受講および研究に関するアドバイス

 講義内で紹介する様々な歴史事象について、その要因、経緯、影響等について、これまでに明らかになっていることについて、どのような資料による考察結果なのかを意識しつつ、「歴史学」の手法や研究史について触れてもらいたい。

教科書

教科書(使用頻度、その他補足)

講師が作成した資料を適宜配布します。

参考書

書名 著者 出版社 ISBNコード 備考
『ビジュアル版世界の歴史 10 草原とオアシス』 山田信夫 講談社 4061885103
『アジアの歴史と文化 3 近世I』 竺沙雅章[監修・編集] 同朋舎 4810408566
『アジアの歴史と文化 7 北アジア史』 竺沙雅章[監修]・若松寛[編] 同朋舎 4810408604
『世界の歴史 7 宋と中央ユーラシア』 伊原弘・梅村坦 中央公論社 9784122049970
『世界の歴史 9 大モンゴルの時代』 杉山正明・北川誠一 中央公論社 9784122050440
『中国経済史』 岡本隆司[編] 名古屋大学出版会 9784815807511
『概説中国史 下 近世−近現代』 冨谷至・森田憲司[編] 昭和堂 9784812215173
『岩波講座世界歴史 9 中華の分裂と再生:3-13世紀』 妹尾達彦 ほか 岩波書店 4000108298
『岩波講座世界歴史 11 中央ユーラシアの統合:9-16世紀』 杉山正明 ほか 岩波書店 400010831X
『中国史 3 五代-元』 松丸道雄[編] 山川出版社 4634461706
『草原の制覇 大モンゴルまで』 古松崇志 岩波書店 9784004318064

参考書(使用頻度、その他補足)

そのほかの参考書や工具書は授業中に随時紹介します。

参考になるwwwページ

授業内外における学生・教員間のコミュニケーションの方法

manaba+R,その他(教員より別途指示)

備考

【科目ナンバリング・カリキュラムマップはこちらから/Click here to see the Curriculum-Map and Course-Numbering】
URL:http://www.ritsumei.ac.jp//students/pathways-future/course/curriculum.html