授業科目名 年度 学期 開講曜日・時限 学部・研究科 全担当教員 単位数
12781:東洋史概論Ⅱ(L) 2021 春セメスター 火2 文学部 牛根 靖裕 2

キャンパス

衣笠

授業施設

研心館KE302号教室

授業で利用する言語

日本語

授業の概要と方法

講義テーマ《9世紀までのユーラシア東方史》
 本講義は、9世紀までのユーラシア東方の歴史と社会の変遷を概説します。
 我々が暮らす東アジア社会は、各地で独自に発展しつつも、産業・経済・税制・交通等の諸制度や思想に関しては、漢や唐といった中国で発達した大国の影響を強く受けていました。その中国の王朝も、秦・漢の古典的専制国家の形成、4〜6世紀の北半球全体の地球規模の寒冷期を経て北魏〜隋・唐という農牧複合国家を形成する過程において、モンゴル高原の遊牧王朝や他の近隣の社会と交わりながら国家を経営し、さまざまな制度を整えました。授業では、中国とモンゴル高原のユーラシア東方の歴史に大きな影響を及ぼした地域を中心に、国家の成り立ちや、社会の発展過程を振返りつつ、さまざまな制度が形成された要因と影響とはどのようなものだったのかを学びましょう。
 近年、欧米先進諸国に比して、中国だけではなく東南アジアやロシア極東地域も含めたアジア経済の成長は著しいものがあります。それらは全て近年に突然誕生したものではなく、長い生産活動の延長で発展してきました。授業を通して、いまユーラシア東方各地の産業や経済がどのようにして成り立ったのかを意識しつつ、これまでの歴史的経緯を理解することによって、現代社会の諸相考える糧としてもらいたい。

〈出席登録と授業期間中の課題〉
 授業期間中に複数回の課題レポート(400〜600字程度)を出題します。
 授業内容への質問・意見に関しては、毎回の授業の出席カードに記入して提出するか、manaba +R の本授業の掲示板に記入してください。その中で、授業内容に深く係わるもの、特徴的なものについては、次々回の授業冒頭で取り上げ、回答や補足説明を行ないたいと考えています。

受講生の到達目標

(1)9世紀頃までのユーラシア東方の歴史を理解し、それを説明することができる。
(2)ユーラシア東方の各地の社会の相互的な関係について理解し、それを説明することができる。
(3)歴史上の事象が、現代社会とどのように関連しているのか、自ら批判的に考察し、それを説明することができる。

事前に履修しておくことが望まれる科目

東洋史概論 I

授業スケジュール

授業回数/
担当教員(複数担当の場合)
テーマ
キーワード・文献・補足事項等
第1回

導入:「ユーラシア東方史」における当該時期の位置づけと概観

授業の進め方の説明。 風土と歴史/生活形態の多様さ/人口問題/水資源問題/砂漠化問題/華夷観念

第2回

2つの古典国家の相剋

秦/始皇帝/度量衡の統一/漢/匈奴/皇帝/単于/武帝/律令/郡県制/鉄製農具の普及

第3回

「中国」の古典的専制国家体制

王莽/後漢/儒家思想/地方統治/豪族/「正史」と紀伝体による歴史叙述

第4回

中央ユーラシアの遊牧民と遊牧王朝(1)

ウマの家畜化/遊牧/騎馬技術/初期遊牧民文化/スキタイ系文化/農耕・遊牧境界地帯

第5回

中央ユーラシアの遊牧民と遊牧王朝(2)

遊牧王朝の移動性/分封/単于権力の性質/十進法による社会組織/通婚集団

第6回

「中華」の拡散と多元化(1)

三国時代/魏/西晋/九品中正法(九品官人法)/屯田制と兵役/占田法と課田法の実施

第7回

「中華」の拡散と多元化(2)

江南開発/東晋/高句麗/仏教の伝播と隆盛/貴族/宗族

第8回

拓跋とテュルクの時代(1) 〜鮮卑拓跋部と北魏〜

南匈奴/鮮卑/五胡十六国時代/北魏/戸籍制/均田制/徭役/国家儀礼/道教

第9回

拓跋とテュルクの時代(2) 〜突厥の覇権〜

柔然/エフタル/高車/鉄勒/突厥/中央ユーラシア草原地帯のテュルク化

第10回

隋唐帝国治下のユーラシア東方(1) 〜「中国」の再統一〜

隋/楊堅(文帝)/拓跋国家/大運河/科挙/州県制

第11回

隋唐帝国治下のユーラシア東方(2) 〜唐の世界帝国化〜

唐/李世民(太宗)/唐の中央官制の整備/天可汗/羈縻支配/吐谷渾/渤海国/吐蕃

第12回

隋唐帝国治下のユーラシア東方(3) 〜礼教国家の完成と東アジア秩序〜

『大唐六典』/唐律/唐令/律令制/租調庸制/三省・六部/小麦の普及

第13回

「安史の乱」後のユーラシア東方の激動

武周革命/李隆基(玄宗)/節度使/「安史の乱」/ソグド/ウイグル/「絹馬交易」/マニ教/沙陀/党項/契丹

第14回

ユーラシア東方社会の財政の転換

藩鎮/両税法/塩専売の再開/三司/二年三毛作/南海交易/イスラーム商業勢力/「市」・「行」の成立/飛銭

第15回

ユーラシア東方社会における唐制の影響

律令社会/行政書式/漢字文化圏

授業実施形態

【BCPレベル1~2】
(受講登録者数次第)
第1週目、第2週目はWEB授業で実施します。
受講登録者数が教室定員以下の場合は、第3週目から対面授業を実施します。
受講登録者数が教室定員を超えた場合は、第3週目以降もWEB授業を継続します。ただし、グループ分け等の方法により対面授業を実施する場合もあります。

【BCPレベル3~4】
(WEB授業)
WEB授業で実施します。一部、実習・フィールドワーク科目については、科目特性上、対面授業で実施する場合もあります。該当授業については個別にmanaba+R等で通知します。

授業外学習の指示

 各回のレジュメを見直しつつ、参考文献欄に挙げた書籍や、講義中に紹介する関連文献を積極的に読んでもらいたい。また予備知識として、手元に中学歴史、高校世界史の教科書、アジア史の概説書があれば、当該時期のところを通読しておくことを勧める。

成績評価方法

種別 割合(%) 評価基準等
定期試験(筆記)

レポート試験
(統一締切日を締切とするレポート)
30

授業内容に基づいた期末レポートを課す。

上記以外の試験・レポート、平常点評価
(日常的な授業における取組状況の評価)
70

受講生には、各単元の終了時に manaba+R の[レポート]機能で課題レポート(400〜600字)の提出を求める。レポートでは、講師が出題するテーマに基づいて授業内容の要約と、各テーマに対して自身が考えた意見を論述してもらう。レポートの提出状況や内容を評価する。

成績評価方法(備考)

・出席管理は manaba+R の[出席カード]機能で実施する。11回以上の授業への出席が認められない者は、成績評価の対象とはしない場合がある。教育実習など止むを得ない事情により欠席する場合は、必ず事前に担当教員に申し出ること。
・私語、携帯電話の操作、飲食など、真面目に学習する受講生の迷惑になる行為は、目に余るようであれば「欠席」扱いとする。
※ レポート等で提出する文章に関して、全文・部分を問わず引用する際は必ず書籍やwebページなどの典拠を明記して、引用部分を明示すること。典拠を示さずに引用した場合は、剽窃とみなして対応する。

受講および研究に関するアドバイス

 講義内で紹介する様々な歴史事象について、その要因、経緯、影響等について、講義を契機にして、概説的説明や各々の意見を批判的に分析し考察してもらいたい。

教科書

教科書(使用頻度、その他補足)

講師が作成した資料を適宜配布します。

参考書

書名 著者 出版社 ISBNコード 備考
『概説中国史』(上・下) 冨谷至・森田憲司[編] 昭和堂 9784812215166, 9784812215173
『教養の中国史』 津田資久・井ノ口哲也[編著] ミネルヴァ書房 9784623080311
『グローバル・ヒストリー』 妹尾達彦 中央大学出版部 9784805741511
『新版世界各国史 3 中国史』 尾形勇・岸本美緒[編] 山川出版社 4634413302
『新版世界各国史 4 中央ユーラシア史』 小松久男[編] 山川出版社 463441340X
『新版世界各国史 5 東南アジア史 I 大陸部』 石井米雄・桜井由躬雄[編] 山川出版社 4634413507
『生活の世界歴史 2 黄土を拓いた人びと』 三田村泰助 河出書房新社 4309608825, 4309472125
『草原の制覇 大モンゴルまで シリーズ 中国の歴史③』 古松崇志 岩波書店 9784004318064
『中華の成立 唐代まで シリーズ 中国の歴史①』 渡辺信一郎 岩波書店 9784004318040
『中国 マクロヒストリー』 黄仁宇[著], 山本英史[訳] 東方書店 4497944212
『中国社会の歴史的展開』 岸本美緒 放送大学教育振興会 9784595307157
『中国と東部ユーラシアの歴史』 佐川英治・杉山清彦 放送大学教育振興会 9784595321894
『中国の歴史 古代から現代まで』 J. フェアバンク[著], 大谷敏夫・太田秀夫[訳] ミネルヴァ書房 4623026329
『中国の歴史 増補改訂版』 山本英史 河出書房新社 9784309226903
『歴史からみる中国』 吉澤誠一郎[編著] 放送大学教育振興会 9784593314094

参考書(使用頻度、その他補足)

その他の参考文献は、講義中に適宜紹介する。

参考になるwwwページ

授業内外における学生・教員間のコミュニケーションの方法

コミュニケーションペーパー,manaba+R,学生との直接対話

備考

【科目ナンバリング・カリキュラムマップはこちらから/Click here to see the Curriculum-Map and Course-Numbering】
URL:http://www.ritsumei.ac.jp//students/pathways-future/course/curriculum.html