授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科 | 全担当教員 | 単位数 |
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11429:刑法Ⅰ(総論)(JC) | 2021 | 春セメスター | 木3,金1 | 法学部 | 嘉門 優 | 4 |
キャンパス
授業施設
授業で利用する言語
授業の概要と方法
刑法総論では、犯罪がどのような要素から成り立っているかを分析し、その成立要件を分け、さらに、それを体系的に整理することによって、犯罪とは何かを明らかにしようという努力がなされています。「犯罪になるのか、あるいは、どのような犯罪になるのか」いう判断が、事件ごとに「場当たり的で、感情に流される」ようなものであってはなりません。刑法総論の分野において、体系的に「犯罪とは何か」を問うことにより、犯罪の成否について統一的で、安定した判断がもたらされることになるのです。例えば、正当防衛、責任能力、未遂、共犯といったことを扱います。
最も峻厳な制裁を科すことから「最終手段」とも呼ばれる刑法には、すべての犯罪を覆う厳格なルールが不可欠です。総論ではこのような刑法学の骨組みとも言える部分を取り扱うことになります。したがって、非常に抽象度の高い内容にならざるをえず、苦手意識をもつ人が例年多いように思います。そのため、本講義では具体的な事例問題をできるかぎり取り扱う予定です。
以上のように、犯罪論の体系全体を学修する刑法総論では、一回サボってしまうと、次の授業の理解が困難になり、単位の修得も困難となります。毎回がんばりましょう。
授業内容に関する質問は、manaba+Rやメールなど、オンラインで随時受け付けます。質問に関する回答については原則としてmanaba+Rにおいて行います。また、定期試験及び提出課題については、講評を行います。
受講生の到達目標
①刑法総論における基本的な概念を理解できるようになる
②刑法総論における重要論点について、特に判例について理解できるようになる
③法的三段論法を使って、説得的な論述ができるようになる
ただし、以上の能力を獲得するためには、1)必ず授業に出席して、2)授業時には集中して、授業内容のポイントを聞き取りメモする、3)後述する予習・復習に取り組む
必要があります。
試験前に慌てて勉強するのでは間に合いません。毎週コツコツがんばりましょう。
事前に履修しておくことが望まれる科目
授業スケジュール
授業回数/ 担当教員(複数担当の場合) |
テーマ |
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キーワード・文献・補足事項等 | |
1 | 刑法を始めるにあたって |
刑法総論入門、刑法の意義、刑法における考え方
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2 | 刑法の原則、とくに罪刑法定主義 |
刑法の原則
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3 | 犯罪論体系の基礎、行為論 |
行為論、具体的な事例を用いて犯罪論体系概観 |
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4 | 構成要件 |
構成要件とは?構成要件要素 |
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5 | 実行行為と結果、不能犯 |
実行行為
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6 | 因果関係(1) |
条件関係、条件説、原因説、相当因果関係説 |
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7 | 因果関係(2) |
相当因果関係の危機、判例の立場、危険の現実化説の検討 |
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8 | 犯罪認定の手順① |
犯罪論の基礎の確認、実際に事例問題を解いてみる |
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9 | 不作為犯 |
作為と不作為、真正不作為犯と不真正不作為犯、判例における不真正不作為犯 |
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10 | 故意 |
故意犯処罰の原則、故意と過失、未必の故意、認識説と認容説、判例における故意責任
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11 | 錯誤 |
故意と錯誤、事実の錯誤と法律の錯誤、具体的事実の錯誤と抽象的事実の錯誤
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12 | 過失 |
例外としての過失犯、故意犯処罰の原則、過失論、注意義務違反、予見可能性、結果回避可能性
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13 | 違法性総論 |
形式的違法性・実質的違法性、可罰的違法性、違法性阻却事由、法令行為・正当業務行為、被害者の承諾 |
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14 | 正当防衛(1) |
正当防衛の根拠・要件 |
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15 | 正当防衛(2) |
自招防衛、過剰防衛、誤想過剰防衛 |
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16 | 緊急避難 |
正当防衛と緊急避難の違い、緊急避難の要件、過剰避難 |
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17 | 犯罪認定の手順② |
違法性阻却事由の論点が含まれた事例問題を解いてみる |
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18 | 責任総論 |
責任論、責任主義、期待可能性の理論、責任能力、原因において自由な行為 |
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19 | 責任故意という概念と違法性の意識 |
違法性の意識に関する学説、事実の錯誤と法律の錯誤の区別、
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20 | 未遂犯の基礎 |
既遂犯処罰の原則、実行の着手 |
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21 | 未遂犯の問題、中止犯 |
早すぎた結果実現
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22 | 犯罪認定の手順③ |
複合的な論点が含まれる事例問題を解いてみる |
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23 | 共犯の基礎理論 |
正犯と共犯、正犯と共犯の区別、共犯の因果性 |
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24 | 共同正犯 |
共同正犯の基礎、共謀共同正犯、狭義の共犯との区別、様々な共同正犯 |
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25 | 教唆犯・幇助犯 |
共犯従属性、共犯の処罰根拠、教唆犯・幇助犯の諸問題、教唆犯と間接正犯 |
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26 | 共犯の諸問題(1) |
共犯と身分、共犯と錯誤 |
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27 | 共犯の諸問題(2) |
共犯関係の解消、予備と共犯 |
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28 | 犯罪認定の手順④ |
共犯の論点が含まれる事例問題を解いてみる |
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29 | 罪数論 |
罪数論の基礎、法条競合、包括一罪、観念的競合、牽連犯、併合罪 |
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30 | 犯罪認定の手順について最終確認 |
犯罪論体系の復習、犯罪認定の手順について最終確認 |
授業実施形態
対⾯授業を原則とし、教室に来ることができない理由のある者に対してライブ配信を提供し、更にやむを得ない理由により当該授業の時間にライブ配信も含め受講できなかった者に対し、録画データ等の授業資料をオンラインで提供する。
原則として、すべての授業回でこの形態で実施する。
オンラインでの授業資料は、マナバの「コンテンツ(教材)」でアップする。
【BCP レベル 3~4 の場合】
この授業が予定されている曜⽇時限にオンラインでライブ配信形式で実施する。
授業外学習の指示
授業前には、できるかぎり、以下の2点をしておくことをお勧めします。
①教科書の該当箇所を一通り読む
②重要なキーワードにラインを引いて、内容をだいたいでいいので理解しておく
授業時には
①六法と教科書を準備する。
②教科書は、授業中に指示されたページを開き、必要と思った個所に、ラインを引くなどをする。
授業後には、以下の3点に取り組んでください。
①授業時のメモを見直して、わからなかったところを教科書で復習しておく
②それでもわからなかったことについては、マナバを通じて、教員に質問する
③授業時に出される「課題」を解いて提出する
「授業前に予習する→授業を受ける→授業後の復習・課題の提出」
をしっかりと行って、単位取得を目指すようにしましょう。
成績評価方法
種別 | 割合(%) | 評価基準等 |
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定期試験(筆記) | 60 | 定期試験が実施できない場合は、定期試験に代えて定期試験期間にオンラインで試験を実施する。 |
レポート試験 (統一締切日を締切とするレポート) |
0 | |
上記以外の試験・レポート、平常点評価 (日常的な授業における取組状況の評価) |
40 | その他の課題(マナバを利用した小テスト)で評価する。 |
成績評価方法(備考)
受講および研究に関するアドバイス
教科書
書名 | 著者 | 出版社 | ISBNコード | 備考 |
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刑法総論〔第2版〕 | 浅田和茂 | 成文堂 | 9784792352738 |
教科書(使用頻度、その他補足)
参考書
書名 | 著者 | 出版社 | ISBNコード | 備考 |
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刑法判例百選Ⅰ総論 8版 | 山口厚ほか編 | 有斐閣 | 9784641115507 | |
刑法の時間 | 佐久間修、橋本正博編 | 有斐閣 | 9784641139459 |
参考書(使用頻度、その他補足)
参考になるwwwページ
授業内外における学生・教員間のコミュニケーションの方法
備考
URL:http://www.ritsumei.ac.jp//students/pathways-future/course/curriculum.html