授業科目名 年度 学期 開講曜日・時限 学部・研究科 全担当教員 単位数
33851:[2025 春セメスター]外国史Ⅰ(E) 2025 春セメスター 水4 経済学部 谷 秀樹 2

キャンパス

BKC

授業施設

コラーニングⅡ 605号教室

授業で利用する言語

日本語

授業の概要と方法

 本講義は講義形式で行い(詳細は下欄の「授業実施形態」参照)、中国における前近代帝国から近代国民国家への移行過程を検討対象とする。具体的には、まず17世紀半ばの清帝国の成立時期から説き起こし、完成期における前近代中華帝国の諸相について概説する。ついでアヘン戦争以後に次第に中国が近代西欧国際体制に組み込まれていった過程について詳述し、辛亥革命から中国共産党政権発足に至る中国革命の推移、及び中華人民共和国における毛沢東専権の樹立から現在の習近平体制に至る歴史的経緯について議論を進める。
 前近代を、過去の寓話のようにメランコリックな甘い感情で安全圏から眺めるのではなく、今日の中国国家が抱える重大な構造的欠陥の直接的淵源であるという観点から捉え直していくことを狙いとする。現代世界において、中国国家の動静は常に巨大でリアルな波紋を巻き起こす震源となり得る力を持っている。他国人である我々も、自らの生活の安定に直結する不可避の脅威として、中国国家が孕む問題性に対峙していく必要がある。
 本講義は、歴史的観点から現代の中国国家が抱える宿痾について省察し、その克服に挑戦する方途を探る試みである。

 なお、manaba+R上で提出する課題定期レポート(中間レポート1回及び期末レポート1回)については、各々受理後に個別講評及び一括講評を行う。
 また、+R授業は第1回講義時に実施することとし、詳細についてはmanaba+Rにて周知する。

受講生の到達目標

●アヘン戦争後の中国の近代化過程について説明することが出来る。
●中国革命の歴史について説明することが出来る。
●中華人民共和国の歴史について、概要を説明することが出来る。

事前に履修しておくことが望まれる科目

授業スケジュール

授業回数/
担当教員(複数担当の場合)
テーマ
キーワード・文献・補足事項等
第1回

清帝国形成史〔―多面的君主像の形成―〕
 ◉+R授業の実施// 詳細は、manaba+Rのコースニュースで通知する。
   

●満州族の「ハン」〈女真系諸部族連合の盟主〉
●漢族の「皇帝」〈狭義の「中国」の主、儒教的王道の体現者としての君主像〉
●モンゴル世界の「ハーン」〈遊牧民世界に屹立する最強統一者〉
●チベット仏教世界の「大施主」〈転輪聖王〉、●ムスリム世界の「理解者・保護者」

第2回

清帝国の中華的世界秩序(The Chinese World Order)
   

●中国を中心とする同心円的世界構造〈省制施行地域、藩部、朝貢国体系〉の完成
●李氏朝鮮の「小中華」思想
●ベトナム阮朝の「南帝」意識
●日本の「大君」外交

第3回

アヘン戦争と近代西欧国際体制への包摂過程

●広東貿易体制と「近代世界システム」〔近代西欧国際体制〕の脅威
●アヘン戦争と南京条約,香港割譲
●アロー戦争と北京条約、「世界の中心」から「辺境の地の途上国」への転落

第4回

太平天国の乱

●洪秀全と“客家”の「滅満興漢」〈「反清復明」〉思想
●太平天国の乱と南京定都、北伐の挫折
●漢族郷紳層の台頭と郷勇の成長
●中国革命の淵源としての太平天国

第5回

洋務運動と同治中興

●洋務運動と「中体西用」理念、資本主義経済の発達と民族資本家(漢族資本家)の躍進
●海防論と塞防論〔近代的領土支配の形成に関する諸構想と省制施行地域の拡大、多面的君主像の放棄と同化論の導入〕
●清仏戦争と日清戦争,台湾割譲〔伝統的朝貢関係の解体過程〕
●フランスのインドシナ植民地化と日本の朝鮮植民地化

第6回

変法運動と北清事変

●康有為等による変法運動と戊戌変法の挫折
●仇教運動と義和団事件〔北清事変〕
●光緒新政と「上からの近代化」:中央議会及び各省議会への漢族郷紳層の進出
●孫文の登場と中国同盟会の発足

第7回

辛亥革命と孫文

●孫文と“客家”の「滅満興漢」思想
●孫文の五族共和論と「中華民族」構想〔漢民族による同化主義〕
●民族資本家及び各省議会の決起と辛亥革命(第一革命)、中華民国の樹立と南京定都
●清帝国の滅亡と北京還都

第8回

袁世凱と軍閥政権

●袁世凱と第二革命、第三革命 ~近代国民帝国建設の模索と挫折~ 
●日本による対華二十一ヵ条要求と五・四運動
●軍閥諸政権(安徽派、直隷派、奉天派)の興亡とワシントン体制
●中国国民党及び中国共産党の結成と第一次国共合作

第9回

蒋介石と北伐

●党国体制の理念と国民革命軍〔党直属の軍隊〕の編成
●「訓政期」の概念
●第一次北伐と上海クーデタ、南京国民政府の樹立
●第二次北伐と日本による山東出兵、奉天事件、国民党政権による中国再統一

第10回

満州事変と第一次国共内戦

●満州事変と満州帝国の発足
●日本の華北進出と親日傀儡政権の樹立
●第一次国共内戦と中国共産党の逃避行(「長征」)
●反日運動の高まりと西安事件

第11回

日中戦争と第二次国共合作

●盧溝橋事件と南京事件、国民政府の重慶遷都
●第二次国共合作の成立と抗日民族統一戦線の結成
●日本による「大東亜新秩序」構想及び「大東亜共栄圏」構想
●日中戦争と太平洋戦争の展開過程

第12回

第二次国共内戦と中華人民共和国の建国

●太平洋戦争及び日中戦争での日本の敗戦
●第二次国共内戦と人民解放軍の発足
●国民党の敗退と中華民国の台湾移転
●中国共産党による北京定都、中華人民共和国の樹立〔~「二国時代」の始まり~〕
●冷戦の開始と「向ソ一辺倒」、朝鮮戦争とチベット併合、平和五原則外交の展開

第13回

毛沢東と文化大革命

●共産党政権のもとでの「党国体制」形成と「中華民族」構想の進展
●「百花斉放・百家争鳴」運動と反右派闘争
●「大躍進」運動と調整政策
●文革と非毛沢東派の大粛清、紅衛兵と「造反有理」、下放と四人組による恐怖政治
●米ソ両大国に対する対決路線と国際的孤立
●国連加盟とニクソン大統領訪中、田中角栄首相の訪中と日中共同声明
●第一次天安門事件と毛沢東時代の終焉

第14回

改革・開放政策と天安門事件
社会主義市場経済と習近平体制

●「改革・開放」政策の開始と「北京の春」圧殺
●第二次天安門事件と学生民主化運動の圧殺
●鄧小平時代から集団指導体制への移行過程 ~香港,マカオ返還~
●「社会主義市場経済」理念の浸透と経済大国化
●「党国」体制の再構築とIT監視網確立:グレート・ファイヤー・ウォール構築による情報統制、チベット,ウイグル,モンゴル族等の少数民族に対する同化政策:自治区の国内植民地化、「再教育」施設という名の強制収容所の増設、民族ジェノサイドの実行
●南シナ海での人工島・軍事基地建設と台湾併合への野心、「一帯一路」共栄圏構想とインド洋及び西太平洋進出構想:世界再分割の企図
●中国発コロナ不況と「新常態」への転換構想、習近平個人崇拝と文化大革命2・0
●中国バブルの崩壊と共産党政権の黄昏

授業実施形態

 第1回~第14回全て対面授業で実施する。
 対面受講が種々の理由により困難な学生に関しては、その申請により、対面授業の際にライブ配信も同時に行うこととする。連絡用として、担当教員の学内メールアドレスをmanabaのコースニュース欄で公開する。オンデマンド(+R授業)及びライブを受信するために必要なアクセスリンク先・URLについても、manabaのコースニュース欄で告知する。
 また、出欠確認は、対面受講の場合は学生証によるカードリーダーで行い、ライブ受講の場合は、ライブ録画の閲覧記録等によって行う。

授業外学習の指示

 受講前に、中国史に関する簡単な概説書に目を通しておくこと。特に高等学校時代に社会科の『世界史』を選択していなかった者や、選択しても十分に勉強していなかった者については、必ずそうすること。また、高校の『世界史』にある程度自信のある者でも、受験後一定期間離れていたならば、驚くほど内容を忘れているものなので、やはり教科書や資料集等を用いて復習しておくことが望ましい。
 講義では、高等学校レベルの基礎的説明は省略するので、その辺りは自助努力を心掛けてもらいたい。

成績評価方法

種別 割合(%) 評価基準等
定期試験(筆記) 0

レポート試験
(統一締切日を締切とするレポート)
0

上記以外の試験・レポート、平常点評価
(日常的な授業における取組状況の評価)
100

 中間レポートを1回、期末レポートを1回実施する。出題はmanaba+R上で行い、提出受付もmanaba+R上で行う。中間レポートは40点配点、期末レポートは60点配点で合計点数を算出する。詳細については、manaba+Rのコースニュースで随時公示していく。出題する該当範囲の理解度及び文章作成能力を基準として成績評価を行う。

成績評価方法(備考)

 

受講および研究に関するアドバイス

 不要なおしゃべりは禁止。講義中のスマホやノート型,タブレット型PC等の操作も(受講内容と無関係な操作の場合は)遠慮すること。飲食も勿論禁止(水などは有効)。講義中の教室からの恣意的な出入りは、他の受講生にとって迷惑になるため、原則禁止である。講義内容の質問は、講義終了時に教室内で応対する。
 課題レポートについては、事前に告示を行い、また出題から受付開始まで1週間くらいの期間を設定し、受付開始から締め切りまでは4日間くらいの期間を設定する予定である。

教科書

教科書(使用頻度、その他補足)

 毎回、講義レジュメをmanaba+R上で配信する。レポート作成時の根本資料となるので、大切に保管すること。

参考書

書名 著者 出版社 ISBNコード 備考
大清帝国への道 石橋崇雄 講談社 9784062920711
大清帝国と中華の混迷 平野聡 講談社 9784062924702
巨龍の胎動 天児慧 講談社 9784065230954
ラストエンペラーと近代中国 菊池秀明 講談社 9784065230947
中華人民共和国史 天児慧 岩波書店 9784004314417

参考書(使用頻度、その他補足)

参考になるwwwページ

授業内外における学生・教員間のコミュニケーションの方法

manaba+R,学生との直接対話,その他(教員より別途指示)

備考

【科目ナンバリング・カリキュラムマップはこちらから/Click here to see the Curriculum-Map and Course-Numbering】
URL:https://secure.ritsumei.ac.jp/students/pathways-future/course/curriculum.html/