授業科目名 年度 学期 開講曜日・時限 学部・研究科 全担当教員 単位数
10731:教養ゼミナール(04) 2022 春セメスター 水5 経済学部,経営学部,産業社会学部,国際関係学部,文学部,映像学部,総合心理学部,理工学部,食マネジメント学部,情報理工学部,生命科学部,薬学部,スポーツ健康科学部 津止 正敏 2

キャンパス

衣笠

授業施設

以学館IG203号教室

授業で利用する言語

日本語

授業の概要と方法

【クラステーマ】ケアの社会学-ケア担い手の多様性(男性・老老・ヤング等)に着目して-

※「教養ゼミナール」は、1クラス(2単位)のみ単位修得できます。あるクラスを過去に履修し合格評価を得ていれば、テーマや教員が異なっても、再度「教養ゼミナール」を履修することはできません。

 受講生には、介護者(ケアラー)といえば、すぐにもホームヘルパーや介護福祉士など介護現場で働く専門職の存在が想起されるかもしれませんが、本授業が主題としているのはこうしたプロの介護労働者ではなく、無償の家族等の介護者のことをいっています。授業で随所に登場しキーワードとなる「男性介護者」とは、在宅で主たる介護者として親や妻など家族の世話を担っている息子や夫などという男性たちを総称しています。こうした在宅で家族を介護する男性は、厚生労働省の「国民生活基礎調査」(2019年)によれば、実数にすればもう100万人超、同居の主たる介護者の実に3人に1人を占めています。いずれにしても家族介護者の中では、男性はもう例外的で希有な存在でなくなっていることは確かであるといえます。さらに、介護する人もされる人も高齢者同士という「老老介護」はもう在宅介護の主流であり、「ヤングケアラー」という子ども・若者もケアと無縁ではないことを近年の調査研究は明らかにしています。本授業は、こうしたケアを巡る社会の環境変化を、社会学の知見を借りながら深く学ぶ場とします。そして、ケア/介護という生活行為は私たちの社会との関連でどのような意味を有しているのか、を問いながら「ケア/介護のある暮らしを標準とする暮らしや社会」を構想してみたいと思います。

受講生の到達目標

1.「ケアと社会」の関係について理解を深め、自分の言葉で説明できます。
2.ケアが必要な高齢者の実態について理解を深め、自分の言葉で説明できます。
3.介護者(ケアラー)の多様な実態について理解を深め、自分の言葉で説明できます。
4.テキストの要点をまとめ、自身の考えを対置することができます。
5.与えられたテーマと文量で、レポートすることができるようになります。

事前に履修しておくことが望まれる科目

授業スケジュール

授業回数/
担当教員(複数担当の場合)
テーマ
キーワード・文献・補足事項等
1

イントロダクション。シラバスに基づいてこの授業のガイダンスを行い、授業のすすめ方やテキストの確認及び発表のための班編成を行います。そして自己紹介を兼ねて各自の関心や受講動機についてスピーチの時間を取ります。

ガイダンス/シラバス/班編成/自己紹介

2

ヒトの進化とケアの相関性について、関連する「DVD」鑑賞等を通して学びます。この授業では、ヒトがケアを成したのではなく、ケアこそがヒトをヒトたらしめてきたことを学びます。

ヒトの進化/ドマニシ遺跡(ジョージア)/オールドマンの頭骨化石/介護の徴など)/助け合い/心の進化

3

テキストの「はじめに・第1章 真人間の世界へようこそ-男性介護ネットの10年」を担当班から報告し、意見交換します。ケアのコミュニティの実際を学びます。

男性介護者と支援者の全国ネットワーク/介護・ケア/男性介護者・ケアメン/ネットワーク/ケア・コミュニティ/ジェンダー  

4

前回テーマの関連論文(①長島明子「オヤジたちへの賛歌」、②斎藤真緒「男が介護するということ」)を担当班から報告し、意見交換します。

東京・荒川オヤジの会/男性介護ネット会員調査/支援者の枠割/支援の方法

5

「テキスト第2章 江戸の孝行から『恍惚の人』まで-男性介護者は如何に語られてきたか」を担当班から報告し、意見交換します。今回はその前半部分、江戸時代の家族の介護担い手及び背の責任は誰にあったのか、を中心に議論します。

介護する男たちの語られ方/武士の介護休業制度/看病断/孝義録/介護規範/たそがれ清兵衛/儒教「君に忠 親に孝」/男尊女卑

6

前回のテキスト「第2章 江戸の孝行から『恍惚の人』まで」の後半部分、明治から昭和にかけての介護担い手について担当班からの報告し、意見交換します。育児や介護という家族のケア担い手における「性別役割分業(ジェンダー規範)」の意味を考えます。

介護する男たちの語られ方/富国強兵と良妻賢母/専業主婦/戦後憲法/高度経済成長/恍惚の人/介護弱者/デキる男

7

テキストの「第3章 嫁はもう“絶滅危惧種”-家族と介護の変容」を担当班から報告し、意見交換します。戦後から今日に至る介護と介護者の変遷を俯瞰します。

人間裁判/居宅ねたきり老人実態調査/高度経済成長/福祉元年/在宅福祉/認知症の人と家族の会/日本型福祉社会/ゴールドプラン/介護保険制度・日本初の介護実態調査・特養ホームが全国に4,500床しかなかった時代・「人間裁判」の福祉・ユニバーサルになった福祉・介護殺人

8

1968年に日本で初めて行われた介護実態調査『居宅ねたきり老人実態調査報告書』について担当班から報告し、意見交換します。半世紀前の在宅介護の実態と今日との比較から何が言えるか、議論します。

ねたきり老人/主たる介護者=嫁/看病者(介護者)/特別養護老人ホーム

9

テキスト「第4章 団塊ジュニアの不安-仕事と介護のストレス」を、担当班から報告し、意見交換します。家族機能の変容、主たる介護者の変容は介護にどのように影響してきたのか、そして社会や企業の抱える課題について議論を深めます。

介護のカタチ/老老介護/団塊ジュニアの不安/介護離職ゼロ/ワーキングケアラー/ワークライフバランス

10

ゲストスピーカー(予定):「家族のケアの実態と支援の在り方」(認知症の人を介護する家族の抱える課題と支援の在り方について理解を深める。そして学生の立場で可能な支援行動、例えば認知症サポーター等について考える機会とする)

認知症/家族介護者/家族の会/認知症サポーター/認知症にやさしいまちづくり

11

テキスト「第5章 もっと群れよう!男たち-介護と男の修行」を担当班から報告し、意見交換します。そして、介護する男性特有の課題と支援の在り方について関連専門領域の知見を借りながら方策を考えます。

男性介護体験記」/男の修行(山本五十六)/弱さに向き合えない「弱さ」/誰かに聞いて欲しい/ただ傍にいるだけの支援/寄り添う支援/新しい「修行の場」

12

テキスト「終章 介護のある暮らしを社会の標準に」を担当班から報告し、意見交換します。筆者は、この社会が多分に自明としてきた介護のない社会(つまり、介護は個別家族の責任の範疇に据え置くということ)ではなく、介護のある暮らしや働き方こそ社会の標準とすべきではないか、ということを主張していることをどう考えるか、議論を深めます。

相互依存性/弱いロボット/自立と依存/「依存批判(依存による批判)」という社会批判

13

いま「ケアラー支援条例」制定の動きが各地の自治体に広がろうとしています。そして、ヤングケアラーという言葉も世間の関心を集めています。その背景や意図について、関係資料等を基に担当班が報告し、意見交換します。

ケアラー支援条例/ヤングケアラー/若者ケアラー/

14

各自の修了レポートの計画について報告し、意見交換します。修了レポートは、「介護・ケア」とテーマ(例・介護と仕事の両立、ケアとジェンダー、ヤングケアラー、老老介護等々)にしたものとします。詳細は、授業内での提示します。

修了レポート/研究計画/ケアと〇〇/

15

各自の修了レポートの計画について報告し、意見交換します。修了レポートは、「介護・ケア」とテーマ(例・介護と仕事の両立、ケアとジェンダー、ヤングケアラー、老老介護等々)にしたものとします。詳細は、授業内での提示します。そしてまとめの講義を行います。

ケアの社会学/ケアとジェンダー/男性介護者/介護の社会化/介護のある暮らしを社会の標準に

授業実施形態

授業形態は、新型コロナウイルスの感染状況によって下記の通りとします。
【BCP レベル 1・2】
・第 1 回をメディア授業,第 2 回〜15 回を対⾯授業にて実施
【BCP レベル 3~4】
・第 1 回〜15 回をメディア授業にて実施

授業外学習の指示

各自の発表を行う際は、事前に各自においてテキストの精読、PPTの作成等発表内容の作業を行うこと。また授業内で提示する文献・資料については必ず予習復習を行うこと。下記映画(小説・書籍)はテキスト理解に資すると思われるので視聴することを推奨します(レンタルもある名作です)。 映画『恍惚の人』(原作は有吉佐和子の同名小説) 映画『たそがれ清兵衛』(原作は藤沢周平の同名小説) NHKスペシャル『人類誕生』(書籍化もされている)

成績評価方法

種別 割合(%) 評価基準等
定期試験(筆記) 0

レポート試験
(統一締切日を締切とするレポート)
0

上記以外の試験・レポート、平常点評価
(日常的な授業における取組状況の評価)
100

①出席状況等(ミニレポート含む) 受講態度 50%
③授業後の「修了レポート(下記に備考参照)」の内容 50%

成績評価方法(備考)

「修了レポート」については下記の通り実施し、評価します。
*「修了レポート」は、レポート題・提出方法・受付期間・字数等とは授業内で提示します。
*「修了レポート」評価項目:ⅰ主題は明確に示されているか、ⅱ適切な文献、資料、データに基づいて論じられているか、ⅲ定められた字数を見たしているか、ⅲ考察・結論は妥当か、で評価します。

受講および研究に関するアドバイス

教科書

書名 著者 出版社 ISBNコード 備考
男が介護する-家族のケアの実態と支援の取り組み- 津止正敏 中公新書 978-4-12-102632-3

教科書(使用頻度、その他補足)

教科書をゼミ生で輪読し、解説します。毎回の授業時に持参すること。その他必要な関係資料は授業内で配布します。

参考書

書名 著者 出版社 ISBNコード 備考
ヤングケアラー-介護を担う子ども・若者の現実‐ 澁谷智子 中公新書 978-4-12-102488-6
ヤングケアラー-介護する子どもたち- 毎日新聞取材班 毎日新聞出版 978-4-620-32715-0

参考書(使用頻度、その他補足)

参考になるwwwページ

授業内外における学生・教員間のコミュニケーションの方法

コミュニケーションペーパー,manaba+R,学生との直接対話

備考

【科目ナンバリング・カリキュラムマップはこちらから/Click here to see the Curriculum-Map and Course-Numbering】
URL:http://www.ritsumei.ac.jp//students/pathways-future/course/curriculum.html