授業科目名 年度 学期 開講曜日・時限 学部・研究科 全担当教員 単位数
13971:国際法総論Ⅰ(J) 2023 春セメスター 水1 法学部 湯山 智之 2

キャンパス

衣笠

授業施設

存心館ZS310号教室

授業で利用する言語

日本語

授業の概要と方法

 本講義は、対面授業により、秋学期の国際法総論Ⅱとともに国際法総論を扱い、国際法の構造を理解することを狙いとする。
 まず、国際法の概要や国際法の歴史的な流れを押さえる(第1~3回)。次に、国際法において誰が権利義務の担い手になるかという国際法の主体について、その中心である国家に焦点をあて、連邦の解体などによる新国家の誕生や一国内の政府の革命的変動に伴って生じる国際法の問題を学ぶ(第4~6回)。
 さらに、国際法の法構造である国際法の法源について授業する。ただし、条約法は、詳細は国際法各論Iで取り上げられるので、本講義では概略にとどめる(第7~9回)。
 そして、国家相互間での基本的な権利義務関係(主権、平等権、内政不干渉、主権免除、管轄権など)や国家間の外交関係に関する法を学ぶ(第10~13回)。最後に、国際法の法的性質について説明する(第14回)。

 国際法総論Ⅰ・Ⅱ全体を通じての獲得目標は、各テーマに関する、国際法の基本的な論点や考え方の基礎をしっかり身につけることにおかれる。その上で、各章の単元ごとにならった知識をその範囲だけで覚えるのではなく、これらを応用して現実の総合的問題に対応する基礎力を養う。細かい知識よりも考える力を養ってほしい。

 なお、総論の性質上、本授業は、内容は抽象的でやや難解であろうが、国際法の基礎にあたる部分であり、履修しておかないと国際法総論II以降の国際法関連科目が十分に理解できないので、本科目を受講し学習していただきたい。また、国際法総論IとIIの両方を続けて履修することを特に勧める。

 授業は、manaba+Rにアップロードしたレジュメ・資料を用いて行う。課題に対するフィードバックはmanaba+Rにおいて行う。

受講生の到達目標

 1.国際法の構造について理解できる。
 2.国際社会の歴史的な流れ・動きと法との関係について理解できる。
 3.国際法における国家の役割・成立について理解できる。
 4.国家間の外交関係の基礎や権利義務関係について理解できる。

事前に履修しておくことが望まれる科目

 憲法、民法などはその基礎知識が国際法の学習に役立つことも多いので履修しておくこと。

授業スケジュール

授業回数/
担当教員(複数担当の場合)
テーマ
キーワード・文献・補足事項等
1

国際法の概要

 主権国家 合意は拘束する 国際連合 国際司法裁判所

2

国際法の歴史(1) 伝統的国際法

 グロティウス ヴァッテル 文明国 無差別戦争観

3

国際法の歴史(2) 現代国際法

 国際法の構造転換 戦争の違法化 国際人権法 自決権

4

国際法の主体(1) 総論・国家

 国家の要素 従属国家 永世中立国 自由連合国

5

国際法の主体(2) 国家承認・政府承認・国家承継

 創設的効果説 宣言的効果説 不承認主義 エストラーダ主義

6

国際法の主体(3) その他の主体

 国際機構 個人 人民 NGO

7

国際法の法源(1) 総論・条約

 批准 国会承認条約 留保 条約の無効

8

国際法の法源(2) 慣習法

 一般慣行 法的確信 国際法の法典化

9

国際法の法源(3) その他の法源・法源間の優劣関係

 法の一般原則 学説・判例 ソフト・ロー 強行規範

10

国家の基本的権利義務(1)  主権・主権平等・不干渉・普遍的義務

 形式的平等 機能的平等 国内事項不干渉 対世的義務

11

国家の基本的権利義務(2) 国家管轄権

 立法管轄権 執行管轄権 属地主義 属人主義 普遍主義

12

国家の基本的権利義務(3) 主権免除

 絶対免除主義 制限免除主義 行為性質説 行為目的説

13

国家機関の地位

 外交特権 ペルソナ・ノン・グラータ 領事特権 国家元首

14

国際法の法的性質

 法と強制 自助 相互主義

15

まとめと展望

 国際法の歴史 国際法の主体 国際法の法源 国家の基本的権利義務

授業実施形態

BCP停止の場合は、BCPレベル0~2の記載どおりに授業が行われます。
During the suspension period of BCP, classes will be as described in BCP levels 0-2.

【BCPレベル2以下の場合】
 教室での対面授業を実施する。
 すべての授業回でこの方法で授業を行う。
 ただし、第1回目の授業は、受講登録者数が教室の収容定員を超える可能性もあるので、ライブ配信を併用して実施する予定である(詳細はmanaba+Rのコースニュースで連絡する)。
 授業資料(レジュメなど)は、事前にmanaba+Rにアップロードするので、各自でダウンロードすること(教室での授業の場合にも紙媒体での配布は行わない)。

授業外学習の指示

 毎回の授業後に欠かさず復習をすること。また、授業で触れられなかった条約の条文は条約集で確認しておくこと。

成績評価方法

種別 割合(%) 評価基準等
定期試験(筆記) 60

 すべての到達目標に対応して、若干の小問(語句説明、空欄補充、選択式など)と論述問題2問を出題し、国際法の内容と考え方が修得できているかという観点から到達目標の達成度を評価する。

レポート試験
(統一締切日を締切とするレポート)

上記以外の試験・レポート、平常点評価
(日常的な授業における取組状況の評価)
40

 到達目標すべてに対応して、いくつかの課題を出題し、その達成度を評価する。
 まず、定期的にミニ・レポート(コミュニケーションペーパー)を複数回実施し、授業の理解度を確認する(小テストに代える場合がある )。
 また、講義で得られた知識や考え方を深めてもらうため、文献を読んでのレポートを課す(1回の予定)。
 詳細は授業内でアナウンスするとともに、manaba+Rのコースニュースで連絡する。

成績評価方法(備考)

 定期試験が実施できない場合は、定期試験に代えて定期試験期間にオンラインで試験を実施する(詳細は定期試験中止が決定された際にmanaba+Rで指示する)。

受講および研究に関するアドバイス

 ふだんから新聞(特に国際面)に目を通し、実際に世界で起きていることを把握し、授業で学んだこととの関連性を意識しながら受講してほしい。

教科書

書名 著者 出版社 ISBNコード 備考
ベーシック条約集 浅田正彦 東信堂
国際法(Sシリーズ) 松井芳郎ほか 有斐閣
国際法(第5版) 浅田正彦(編) 東信堂

教科書(使用頻度、その他補足)

 条約集は、授業中、条文を参照するのに用いるので、毎回必ず手元に用意すること。定期試験には指定条約集の持ち込みが認められるが、授業では『ベーシック条約集』を使用するので留意されたい。最近のものであれば最新版でなくてもよいが、受講する上では最新版の方が便利である。  『国際法(Sシリーズ)』と『国際法』は国際法の教科書であるが、授業で直接使用することはない。予習・復習用に、または欠席した場合に、もしくは国際法をより体系的に理解するための独習用に、必要に応じて入手してもらえればよい。

参考書

書名 著者 出版社 ISBNコード 備考
国際法判例百選(第3版) 森川幸一ほか(編) 有斐閣 国際法の判例集
判例国際法(第3版) 薬師寺公夫ほか(編) 東信堂 国際法の判例集(収録判例数が多い)
国際法基本判例50(第2版) 杉原高嶺・酒井啓亘(編) 三省堂 国際法の判例集(コンパクトにまとまっている)

参考書(使用頻度、その他補足)

 これらの判例集は授業で直接使用することはない。国際法をより詳しく勉強したいと思った場合にどれか1冊を入手したのでかまわない。

参考になるwwwページ

国際法学会・国際関係リンク集(日本語) https://jsil.jp/linkcollection
外務省・外交政策のページ(日本語) https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/
国際連合(英語) https://www.un.org
国際司法裁判所(英語) https://icj-cij.org

授業内外における学生・教員間のコミュニケーションの方法

manaba+R,学生との直接対話

備考

【科目ナンバリング・カリキュラムマップはこちらから/Click here to see the Curriculum-Map and Course-Numbering】
URL:https://secure.ritsumei.ac.jp/students/pathways-future/course/curriculum.html/