授業科目名 年度 学期 開講曜日・時限 学部・研究科 全担当教員 単位数
10828:発達保障論(S) 2024 春セメスター 火4 産業社会学部 荒木 穂積 2

キャンパス

衣笠

授業施設

以学館IG401号教室

授業で利用する言語

日本語

授業の概要と方法

【授業の概要】
発達保障とは、社会福祉や保育・教育、医療などの実践や理論と関わる、人権や社会保障を根底から成り立しめるためにうまれてきた権利保障の思想と科学である。人間が一生をかけて自己実現を成し遂げるためには、生まれてから死をむかえるまでのライフサイクルをとおして、人生のそれぞれの時期にどのような人間的自由を獲得し、人間発達が保障される中で、人格の拡大・充実・発展の諸相を迎えるかを考える学問である。
 本年度は、ライフサイクルの視点から人間発達の研究の現代の到達点と発達保障の今日の諸課題を取り上げる。

【授業の方法】
本科目は大学設置基準ならびに立命館大学産業社会学部則、立命館大学大学院社会学研究科研究科則において、区分を面接授業とする。詳細な実施方法については、manaba+Rのコースニュース、「授業スケジュール」および「授業実施形態」欄を確認のこと。

受講生の到達目標

・発達保障が誕生し、成り立ってきた歴史的背景を学ぶことができる
・現代社会における人間発達の阻害と発達保障の現状を国内外の取り組みから学ぶことができる
・人間のライフサイクルおよびその発達過程(系統発生と個体発生の両面)の諸相における行動発達や人格発達を学ぶことができる
・21世紀の発達保障の国際的動向について、国連や国際機関(WHO、UNICEF、UNESCOなど)の仕事やSDG's(持続可能な発展目標)について学ぶことができる

事前に履修しておくことが望まれる科目

社会福祉概論、障害者福祉論、児童福祉論、人間発達論、児童・発達心理学、人権の歴史など

授業スケジュール

授業回数/
担当教員(複数担当の場合)
テーマ
キーワード・文献・補足事項等
1

第1章 人間発達と発達保障(1)-発達保障の誕生-

授業のすすめ方、発達保障とは、人権の歴史、第3世代の人権、国境を越える権利、  ノーマライゼーション(1959)、発達保障(1961)、発展の権利宣言(1986)、国連ミレニアム発展目標(MDGs:2000)、びわこミレニアム宣言(2002)、人間の安全保障(2003)、障害者権利条約(2006)、国連持続可能な発展目標(SDGs:2015-2030)

2

第1章 人間発達と発達保障(2)-糸賀一雄と「この子らを世の光に!」(慈悲から権利へのパラダイム転換)-

太平洋戦争(第2次世界大戦)と戦災孤児、近江学園、就学・猶予免除(在宅)、重症心身障害児、「この子らを世の光に!」(慈悲から権利へのパラダイム転換)、「夜明け前の子どもたち」(1968年)、療育とは?、発達の可能性

3

第1章 人間発達と発達保障(3)-ヤヌシュ・コルチャック(子どもの権利条約の父)と「子どもの権利」-

ヤニュシュ・コルチャック、ユダヤ人孤児のための孤児院、ホロコースト、第2次世界大戦の反省、国連と人権、国連憲章(1945年)、世界人権宣言(1948年)、子どもの権利宣言(1924年・1959年)、子どもの権利条約(1989年)

4

第1章 人間発達と発達保障(4)-女性・子ども・障害者・難民の人権:権利宣言から権利条約へ-

国連の創設(1945)、国連憲章(1945)、世界人権宣言(1948)、国際人権規約(1966)、女性に対する差別撤廃宣言(1967)、女性に対するあらゆる差別撤廃条約(1979)、子どもの権利宣言(1959)、子どもの権利条約(1989)、障害者の権利宣言(1975年)、障害者の権利条約(2006)、難民問題、現代におけるアパルトヘイト

5

第2章 人類の進化と発達保障(1)-生命の誕生・系統発生・障害の成立・人類の誕生・文明の誕生-

地球の誕生から48億年、生命の誕生、系統発生、障害の成立、遺伝病と遺伝子病、霊長類の誕生(6500万年)、人類の誕生(700万年)、ホモ・サピエンス(20万年?)、文明の誕生(1万年?) 

6

第2章 人類の進化と発達保障(2)-人間らしさ(humanity)と社会の形成-

花を愛でる人類、垂直関係の愛情から水平関係の愛情へ(分け合う)、仲間による協同(助け合う)、他者認識から自己認識へ、長い子ども期、長い高齢期、男・女(ジェンダー)とは、家族とは、人種・民族・社会

7

第3章 ライフサイクルと発達保障(1)-田中昌人と「大階層-階層-段階」理論-

受精から個体死まで(個体発生)、田中昌人、日本発信の発達理論、可逆操作の高次化における「階層-段階」理論、3つの「大階層」(胎生期、乳幼児期、児童・青年成人・熟年高齢期)、一つの「大階層」は3つの「階層」からなる、一つの「階層」は3つ発達段階からなる、発達の質的転換期、発達の原動力、対称性原理

8

第3章 ライフサイクルと発達保障(2)-胎生期の大階層:卵体期、胎芽期、胎児期-

受精、着床、器官形成期、神経ネットワークの形成、人工授精、妊娠の継続・中絶、リプロダクティブライツ・「性と生殖に関する権利」、出生前胎児診断、流産と死産

9

第3章 ライフサイクルと発達保障(3)-乳児期前期-

乳幼児期の大階層(乳児期前半、乳児期後半、幼児期)、回転可逆操作の階層(乳児期前半)、原始反射から条件反射(反応)、ひと知りそめし微笑(ほほえみ)、目と手の協応、お坐りから寝返りへ、重症心身障害児の発達

10

第3章 ライフサイクルと発達保障(4)-乳児期後期-

連結可逆操作の階層(乳児期後半)、坐位から立位へ(姿勢の移動)、到達行動(リーチング)、手指操作(マニュピレーション)、まね(模倣)、やりとり(ギブとテイク)、指さし、伝達(コミュニケーション)、注意共有機構(SAM)、我(われ)知りそめし心、運動障害、コミュニケーション障害

11

第3章 ライフサイクルと発達保障(5)-幼児期 その1-

次元可逆操作の階層(幼児期)、直立二足歩行、道具の操作、話しことばの獲得、自分の発見(自我の誕生)、ふり遊び(表象機能)、自分と相手

12

第3章 ライフサイクルと発達保障(6)-幼児期 その2-

自分の中の自分(内言・思考)、自制心、心の理論、他者視点、小さな市民、自己形成視(時系列的評価)、理(ことわり)知りそめし心の営み

13

第3章 ライフサイクルと発達保障(7)-少年・少女期 その1-

変換可逆操作の階層(少年・少女期)、書きことばの獲得、保存の獲得、状態の中の法則性、生活概念、科学的概念、小1プロブレム、ギャング・エイジ、仲間意識、集団的自己

14

第3章 ライフサイクルと発達保障(8)-少年・少女期 その2-

変化の中の法則性、中1ギャップ、思春期、劣等感、少年非行、価値知りそめし心の営み、見えない世界の法則性、アイデンティティの獲得をめざして、自分探しの旅、

15

第4章 21世紀と発達保障-地球市民として生きる:個人・家族・コミュニティ・国・地球の発達・発展と持続可能性-

第3世代の人権、平和権、環境権、健康権、発達権、文化遺産の保全(人類の共有財産)、核兵器禁止条約、プラスティックの海洋汚染、地球温暖化、難民問題、アパルトヘイト、民族紛争、ウクライナ戦争、犠牲になるのは子ども・障害者・高齢者・難民、SDG's(2015-2030)、地球市民、人新世

授業実施形態

対面授業で実施する。

授業外学習の指示

授業ごとに小テストの提出をもとめる。
授業の中間でレポートの提出をもとめる。
授業内容と関連する資料(文献や動画)を配付・紹介するので自主学習をすすめてほしい。

成績評価方法

種別 割合(%) 評価基準等
定期試験(筆記) 0

レポート試験
(統一締切日を締切とするレポート)

上記以外の試験・レポート、平常点評価
(日常的な授業における取組状況の評価)
100

授業中の教材(レジュメ・資料・動画など)へのアクセス・小テスト・レポートの提出状況によって評価する。
評価にあたっては以下の視点を重視する。

日常点評価(30%)
①教材(レジュメ・資料・動画など)にきちっとアクセスしているか。
②小テストが期限までに提出されているか。
③中間および期末レポートが期限までに提出されているか。

レポート評価(70%)
中間レポートと期末レポート、2回のレポート両方を評価の対象とする。
評価のポイントは次の通りである。
・資料や文献の読み込みがしっかりできているか。資料や文献の紹介のみのレポートは減点となる。日本語としての文章や表記が正確でない場合は減点となる。
・課題(テーマ)にそって自分の意見や考えが適切に論じられているか。事実や知識の羅列だけとなっていたり、自分の意見や主張の根拠が不明確であったり、不十分な場合は減点となる。
・レポートの一部があきらかにコピー&ペーストと判断された場合や引用の明示がない場合は、評価の対象としない。

成績評価方法(備考)

受講および研究に関するアドバイス

人権や教育・福祉の歴史にふれるが、人物や歴史的背景、国際的動向(国連の動向など)には、講義中十分にふれる時間的余裕がないので、詳しくは関連する文献で学習を発展させ、深めてほしい。
ライフサイクルにおける発達保障の内容については、視聴覚教材やインターネット・新聞などの記事を利用し、現代的な課題を取りあげていく。授業時間内に紹介できなかった動画などの視聴覚教材にも目をとおしておいてほしい。
毎回小テスト(講義内容を考え、深めるための課題)を実施するので、期日までに提出すること(日常点評価の一つとする)。
シラバスを変更する場合は、授業時およびmanaba+Rで知らせる。
授業のレジュメの他にも、資料(文献や動画)をmanaba+Rにアップするので予習・復習になどに活用してほしい。

教科書

教科書(使用頻度、その他補足)

教科書は用いない。授業の配布資料(文献や動画)をmanaba+Rにアップロードするので欠席の場合や授業中に配布できなかった場合にはダウンロードまたは視聴して自学自習して授業内容を補ってください。

参考書

書名 著者 出版社 ISBNコード 備考
発達保障の探求 田中昌人・清水寛(編著) 全国障害者問題研究会出版部
障害のある人びとと創る人間教育 田中昌人 大月書店
復刻この子らを世の光に―近江学園二十年の願い- 糸賀一雄 NHK出版
世界子供白書(各年版) ユニセフ 財団法人日本ユニセフ協会
人間開発報告書(各年版) UNDP 阪急コミュニケーションズ
人間発達の理論 田中昌人 青木書店
人間発達の科学 田中昌人 青木書店
子どもの発達と診断1~5 田中昌人・田中杉恵 大月書店
安全保障の今日的課題―人間の安全保障委員会報告書 人間の安全保障委員会 朝日新聞社
発達のひかりは時代に充ちたか 田村和宏・玉村公二彦・中村隆一 クリエイツかもがわ
糸賀一雄研究の新展開-ひとと生まれて人間となる- 渡部昭男他 三学出版
未来をつくるあなたへ 中満泉 岩波書店
私の仕事 国連難民高等弁務官の10年と平和の構築 緒方貞子 朝日新聞出版

参考書(使用頻度、その他補足)

その他の参考図書は、授業の中で紹介する。

参考になるwwwページ

UNDP:http://www.undp.org/
UNICEF:http://www.unicef.org/
国連広報センター:http://www.unic.or.jp/
日本ユニセフ協会:http://www.unicef.or.jp/
日本WHO協会:https://www.japan-who.or.jp/

全国障害者問題研究会:http://www.nginet.or.jp/
外務省:http://www.mofa.go.jp/mofaj/index.html
文部科学省: http://www.mext.go.jp/
厚生労働省:http://www.mhlw.go.jp/

授業内外における学生・教員間のコミュニケーションの方法

コミュニケーションペーパー,manaba+R,学生との直接対話,その他(教員より別途指示)

備考

授業のレジュメおよび資料(文献や動画など)はコースツール(manaba+R)上にアップロードするので、各自ダウンロードして授業外での学習に活用してください。

担当教員のメールアドレスは下記の通りです。
個別の質問や相談がある場合に活用してください。
hozumi@ss.ritsumei.ac.jp
【科目ナンバリング・カリキュラムマップはこちらから/Click here to see the Curriculum-Map and Course-Numbering】
URL:http://www.ritsumei.ac.jp//students/pathways-future/course/curriculum.html