授業科目名 年度 学期 開講曜日・時限 学部・研究科 全担当教員 単位数
15590:IR18‐EAJ209 平和・紛争論(R) § 15591:IR-EAR209 平和・紛争論(R) 2022 秋セメスター 火3 国際関係学部 藤田 明史 2

キャンパス

衣笠

授業施設

洋洋館YY301号教室

授業で利用する言語

日本語

授業の概要と方法

本授業を通じて、現代平和学の方法の開発におけるパイオニアであるヨハン・ガルトゥング(1930-)の平和理論から最大限に学びつつ、「平和学(peace studies)の体系化」の可能性を追究する。ここでいう平和学とは、「社会科学としての平和学」である。そこで問題はつぎの3つである。「社会科学としての平和学」とは何を意味するのか? それは果して成立可能か? それが可能だとして、その方法はどのようなものか? これらの議論の展開はかなり抽象的にならざるをえない。しかし、議論が干からびたものにならないよう、現実の生きた表象を示しつつ、授業を進めたい。全体のキーワードは「紛争の平和的転換」(peaceful transformation of conflict)である。 
毎回、原則として講義日の前日午前中にmanaba+Rのコンテンツ(教材)を通じて講師がレジュメを発信する。受講生はそれを読み、内容に関する質問・コメント等をスレッドに書き込む。講師は必要に応じスレッドにおいてそれらに回答する。受講生と講師の間のこのようなフィードバックのサイクルを基本として、本授業は進行する。

受講生の到達目標

①社会科学としての平和学は、理論と実践の統合であることを理解する。
②平和学の対象は、われわれの日常の身近な世界からグローバルな世界に至る、きわめて広範囲にわたることを理解する。
③平和学の方法において、「紛争転換」(conflict transformation)がもっとも基礎的な概念であることを理解する。
④現実は変更可能であり、一人一人がそうした変革の主体になりうることを感得する。
⑤平和の創造は、われわれの主体的・反省的な生き方そのものであることを納得する。

事前に履修しておくことが望まれる科目

「人間にとって人間ほど有益なものはない」(スピノザ)との精神で、あらゆる科目に興味をもってほしい。すべてが平和学の創造に寄与するであろう。とくに学生の間に、言葉(母語をも含め)への深い関心、思想の普遍的伝達手段としての数学への関心を意識的に培ってほしい。

授業スケジュール

授業回数/
担当教員(複数担当の場合)
テーマ
キーワード・文献・補足事項等
1

授業の概要と導入。「社会科学としての平和学」(1)ーー平和研究者もまた戦争に反対することができる

現実の表象、常識批判、価値、価値の選択、平和的価値、社会科学的認識の「客観性」

2

「社会科学としての平和学」(2)ーー創造現場の社会科学

認識とは何か、分析(下向)と総合(上向)、同定(全く違うものを同じものとして置く)、平和学の方法ー経験主義・批判主義・構成主義

3

平和とは何か(1)

ガルトゥング平和学、「暴力」の定義、「暴力」概念の拡張:直接的→構造的→文化的、暴力の三角形、暴力の否定としての平和

4

平和とは何か(2)

コンフリクト(紛争)の定義、紛争の3要素、コンフリクトは「悪」か、生き方としてのコンフリクト、紛争の平和的転換としての平和

5

トランセンド・メソッド(1)[トランセンド・メソッドとは紛争解決の一方法]

トランセンド(超越)とは何か、紛争のレベルーミクロ・メゾ・マクロ・メガ、コンフリクト・マッピング、診断・予後・治療、紛争解決

6

トランセンド・メソッド(2)

対話とは何か、共感、非暴力、創造性、平和ワーカー

7

社会科学の歴史から(1)ーーマルクスの思想

生産、階級、搾取、再生産、蓄積、抵抗、『資本論』、『ルイ・ボナパルトのブリュメール18日』、資本制的搾取の数理モデル

8

社会科学の歴史から(2)ーーヴェーバーの思想

『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』、鉄の檻、精神のない専門人、心情のない享楽人、理念と行為

9

社会科学の歴史から(3)ーーガンディーの思想

アヒムサ(非暴力)、サティアーグラハ(真理把持)、『自伝―真実を求める私の様々な実験の物語』、ガンディーとラスキン、ガンディー思想の現代性

10

トランセンド・メソッド(3)

暴力後の調停・謝罪・和解、責任

11

芸術と平和(1)

音楽の文化的暴力性、音楽のもう一つのあり方、グレン・グールド、サイードとバレンボイム

12

芸術と平和(2)

権力の言説、もう一つの言説としての文学、「文化的暴力」批判、非暴力抵抗、批評文学

13

科学・技術と平和

科学と技術、技術とは何か、原子力の問題(核兵器と原子力発電)、湯川秀樹の平和思想

14

平和学の体系化(1)ーー ガルトゥング平和学の進化と深化

紛争の複雑度、構造的紛争、消極的平和・積極的平和、構造分析

15

平和学の体系化(2)ーーガルトゥング平和学の進化と深化

深層自然・深層構造・深層文化、深層態度・深層行動・深層矛盾、意識化

授業実施形態

【BCPレベルが1もしくは2の場合】
・初回授業も含め全15回の授業をすべて対面形式で行います。
・オンラインでの授業は行わないので注意してください。
・担当教員の連絡先は初回授業までにmanaba+Rコース内に記載します。
・下記の条件に該当し、対面授業に参加できない学生がいた場合は、manaba+Rのコンテンツを通じて配布するレジュメを基に質疑応答等により指導します。該当する学生は、初回授業までに担当教員に申し出てください。

[Webフォロー対象となる条件]
①基礎疾患や持病がある等、感染した場合に重症化するリスク(※)の高い学生
②基礎疾患や持病がある等、感染した場合に重症化するリスク(※)の高い同居家族がいる学生
③海外との往来制限により、学生本人が渡日・入国できない場合
(※) 呼吸器疾患、糖尿病、心不全等の国が定める基礎疾患を有する場合

【BCPレベルが3もしくは4の場合の場合】
・原則Web授業を行います。Web授業の形態についてはmanaba+Rのコース内で案内します。
・学期の途中にBCPレベルが2以下に変更になった際は、対面授業を再開します。

※立命館大学のBCPレベルについては以下URL先の1. 立命館大学における新型コロナウイルス感染症に関する対策を参照。
http://www.ritsumei.ac.jp/news/detail/?id=1679


授業外学習の指示

「世界という大きな書物」(デカルト)を「読む」という態度を身につけてほしい。こうした不断の努力の中でこそ、平和学を含む社会科学の知識を本当に自分のものにすることができよう。

成績評価方法

種別 割合(%) 評価基準等
定期試験(筆記) 0

レポート試験
(統一締切日を締切とするレポート)
0

上記以外の試験・レポート、平常点評価
(日常的な授業における取組状況の評価)
100

講義全体を通じて2つの小レポートを課す。1レポートの分量はA4で1頁。テーマ・提出期限はその都度通知する。独創性(自分の考えが書かれているか)・論理性・説得性のある論述を高く評価する。
授業の全体が緊密に構成されているため、可能な限りの参加が基本である。参加の度合いは毎回manaba+Rを通じて配布する講義レジュメへのコメント・フィードバックで判断する。レジュメは講義日の前日中にmanaba+Rを通じて配布する。
成績評価の基準は次のとおり。
レポート:70%(35%×2)
授業参加:30%

成績評価方法(備考)

受講および研究に関するアドバイス

受講にあたってつぎの3点を要望する。
①教師の話をうのみにせず、批判的に聴く。
②自分の考えと違っても、はなから否定せず、寛容の精神で聴く。
③疑問があればいつでも質問する。
注:①と②は矛盾するように思えるであろう。しかし、両立させてほしい。

教科書

書名 著者 出版社 ISBNコード 備考
ガルトゥング平和学の基礎 ヨハン・ガルトゥング 法律文化社 978-4-589-04027-5 藤田明史編訳(2019)

教科書(使用頻度、その他補足)

本書はガルトゥングの代表的な論文・エッセイ5篇から構成される。それらは次の通り。「積極的平和とは何か」、「暴力・平和・平和研究」(新訳)、「文化的暴力」、「革命の構造的理論」、および「生き方としてのコンフリクト」。巻末には編訳者による解題「ガルトゥング平和学の進化と深化」が付されている。「平和」とは何かを考えることを通じて、社会科学的思考そのものを感得することができよう。

参考書

書名 著者 出版社 ISBNコード 備考
平和研究第45号「積極的平和」とは何か 日本平和学会編(藤田明史・松元雅和編集) 早稲田大学出版部 978-4-657-15015-8 政府の「積極的平和主義」批判
ガルトゥング紛争解決学入門 ヨハン・ガルトゥング 法律文化社 978-4-589-03621-6 ミクロ・メゾ・マクロ・メガの各レベルの紛争における平和的転換の方法が丁寧に述べられている。
ガルトゥング平和学入門 ヨハン・ガルトゥング+藤田明史編著 法律文化社 4-589-02689-9 ガルトゥング平和学の土台をなす基礎的諸概念を丁寧に解説する

参考書(使用頻度、その他補足)

基本文献として上の3点をあげる。その他の参考文献は毎回の授業ごとに紹介する。次の5つの論考は本講義全体にわたる講師の問題意識を示すもの。(1)「社会科学としての平和学を求めて――平和学における価値および客観性の問題」(『大阪女学院短期大学紀要』44号、2014)(2)「大西巨人著『神聖喜劇』に見える非暴力抵抗の思想――平和学からの考察」(『大阪女学院短期大学紀要』46号、2016)、(3)「ソースタイン・ヴェブレン『平和の性質および永遠平和のための諸条件に関する探究』の現代的意義」(『大阪女学院短期大学紀要』47号、2017)、(4)「現代において非暴力による社会変革は可能か――ガンディーと河上肇との現代的交流ーー」(『京都精華大学紀要』第53号、2020)、(5)「山本宣治『戦争の生物学』の現代的意義」(『トランセンド研究』第17巻第1号、2021)。

参考になるwwwページ

担当者が直接かかわっている、そしてそれのみの理由から、つぎの2つのNGOのアドレスを紹介する。その他は各自の関心にしたがって探索してほしい。
①Transcend International:http://www.transcend.org/
②トランセンド(平和的手段による紛争転換)研究会:https://transcendjapan.jimdofree.com

授業内外における学生・教員間のコミュニケーションの方法

manaba+R,学生との直接対話

備考

【科目ナンバリング・カリキュラムマップはこちらから/Click here to see the Curriculum-Map and Course-Numbering】
URL:http://www.ritsumei.ac.jp//students/pathways-future/course/curriculum.html